ぱせりさん
レビュアー:
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「子どもたちとの本当の散歩のときもあれば、先人や先達との、時空を超えた思索の散歩のこともあった」
2017年の夏から冬にかけての半年間、日本経済新聞夕刊の「プロムナード(散歩・散策の意)」欄の連載を中心にしたエッセイ集。
散歩についてのエッセイであるけれど、
「子どもたちとの本当の散歩のときもあれば、先人や先達との、時空を超えた思索の散歩のこともあった」
との言葉通り、本当に果てしなく広い散歩。
哲学者や俳人、音楽家や数学者たち、それから、一期一会の高校生まで、たくさんの道連れに出会えたのも楽しかった。私もその散歩の道連れにしてもらった。
散歩の折に見える景色はさまざまで、「静かさを言葉たちが支えている」とか、「数学は存在すらしないものについての科学」であるとか、「懐かしさとは、郷愁と同じではない」とか、「時間を無駄にしてはいけないという発想そのものが間違っていると思う」とか……こうした謎かけみたいな言葉は、散歩の折に見えた大きな景色からちょっとだけ切り取ってみたもの。それぞれ、はっとして、立ち止まり、もう一度きょろきょろと見まわしたり、振り返ってみたりした。
どの言葉も開かれた言葉で、どの道にでも繋がっていそうで、実際、どの道に進んでいってもいいのだと思う。あともどりだっていいのだから。
だからこの散歩は心地いいのだろう。
はじまりは、仕事から帰ってきたおとうさんに、小さな子どもたちが駆けよるところ。まだ玄関をあがりもしないのに。子どもたちは口々にさそいかけるのだ。「おとうさん、おさんぽいこう!」
この場面がすごく好きだ。子どもはきっと一番上等な散歩の道連れ。
「花に呼びかけ、石に驚く。
子どもはじっとその場で、自分でないものの声を聞く」
まだおむつもとれていないような小さな子どもの仕草や言葉から、なんてたくさんの気づきを与えられることだろう。
本の中の散歩もいいけど、歩きやすい靴を履いて、外に出かけて行きたくなるね。
散歩についてのエッセイであるけれど、
「子どもたちとの本当の散歩のときもあれば、先人や先達との、時空を超えた思索の散歩のこともあった」
との言葉通り、本当に果てしなく広い散歩。
哲学者や俳人、音楽家や数学者たち、それから、一期一会の高校生まで、たくさんの道連れに出会えたのも楽しかった。私もその散歩の道連れにしてもらった。
散歩の折に見える景色はさまざまで、「静かさを言葉たちが支えている」とか、「数学は存在すらしないものについての科学」であるとか、「懐かしさとは、郷愁と同じではない」とか、「時間を無駄にしてはいけないという発想そのものが間違っていると思う」とか……こうした謎かけみたいな言葉は、散歩の折に見えた大きな景色からちょっとだけ切り取ってみたもの。それぞれ、はっとして、立ち止まり、もう一度きょろきょろと見まわしたり、振り返ってみたりした。
どの言葉も開かれた言葉で、どの道にでも繋がっていそうで、実際、どの道に進んでいってもいいのだと思う。あともどりだっていいのだから。
だからこの散歩は心地いいのだろう。
はじまりは、仕事から帰ってきたおとうさんに、小さな子どもたちが駆けよるところ。まだ玄関をあがりもしないのに。子どもたちは口々にさそいかけるのだ。「おとうさん、おさんぽいこう!」
この場面がすごく好きだ。子どもはきっと一番上等な散歩の道連れ。
「花に呼びかけ、石に驚く。
子どもはじっとその場で、自分でないものの声を聞く」
まだおむつもとれていないような小さな子どもの仕草や言葉から、なんてたくさんの気づきを与えられることだろう。
本の中の散歩もいいけど、歩きやすい靴を履いて、外に出かけて行きたくなるね。
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いつまでも読み切れない沢山の本が手の届くところにありますように。
ただたのしみのために本を読める日々でありますように。
この書評へのコメント
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- 出版社:ミシマ社
- ページ数:0
- ISBN:9784909394743
- 発売日:2022年09月22日
- 価格:2200円
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