ぽんきちさん
レビュアー:
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頭脳ゲーム+学園少女小説
ゆるっとした見た目ながら、勝負ごとに滅法強い女子高生、射守矢真兎(いもりやまと)。
真兎のクラスは、文化祭の場所取りのため、校内の他団体と争うことになる。以前は抽選で決められていたのだが、運任せではなく、勝負で決めたいという声が上がり、トーナメント形式で対戦することになったのだ。
真兎はクラスメートの鉱田ちゃんの頼みでクラス代表者となる。
代表者たちは平和的・かつ明確な勝敗がつけられる勝負で対決する。真兎は順調に勝ち上がり、決勝戦まで来た。その相手は生徒会。最強の敵である。
さて、勝敗はどうつけるのか。
提案されたのは「地雷グリコ」。石段46段を先に上りきった方が勝ち。
いわゆるじゃんけんの「グリコ」なのだが、いささかひねりがある。グーで勝てば「グリコ」で3段、チョキなら「チヨコレイト」で6段、パーなら「パイナツプル」で6段、というルールはそのままだが、双方、階段内の3つに「地雷」を仕掛けることができる。もちろん、比喩的な地雷で本物ではない。Aが仕掛けた「地雷」の段にBが止まると、「被弾」と称して10段下がらなければならない。Aが仕掛けた「地雷」の段のA自身が止まってしまった場合、10段下がるペナルティはないが、「ミス」として、相手方にその段に「地雷」があることがバレてしまう。
さて、「地雷」をどこに仕掛けるか。そして、じゃんけんをどのように進めるか。
双方、腹の探り合いの頭脳ゲームが始まる。
2話目はかるた部と喫茶店のマスターとの戦いに真兎が首を突っ込む。勝負は「坊主衰弱」という、坊主めくりと神経衰弱を併せたゲーム。
3話目は真兎の勝負強さを伝え聞いた生徒会長が真兎を手駒にしようと近づいてくる。会長は別の私立高校に戦いを挑もうとしていたのだ。その高校には、真兎と鉱田ちゃんの中学の同級生であった雨季田絵空(うきたえそら)がいた。会長からその名を聞いた真兎の目の色が変わる。勝負の方法は「自由律じゃんけん」。普通のじゃんけんのグー・チョキ・パーのほかに、双方1種類ずつ新たな独自手を作ることができる。但し、「すべての手に勝つ」といったような強すぎる手は禁止。この手がどんな手かは作った本人と審判だけが知っている。7回勝負の勝ち越し戦。勝負を繰り返すうちに、相手の独自手がどんなルールで、そして何を出せば勝てるか考えなければならない。これも頭脳戦である。
4話目は絵空本人と戦う前の私立高生徒会との戦い。勝負の方法は「だるまさんがかぞえた」で、「だるまさんが転んだ」の変形である。
5話目で真兎と因縁があるらしい絵空が登場する。勝負はポーカーにひねりを加えた「フォールーム・ポーカー」。果たして勝利はどちらの手に。
ゲームのひねり方はなかなかおもしろい。設定の出来としては、表題作の「地雷グリコ」が一番のように思う。残りは結構トリッキーで、ルール違反ではないが、フェアかどうかややグレーの、アクロバティックな勝ち方になっている。
5つのゲームをつなぐのが、真兎、鉱田ちゃん、絵空の3人の因縁だ。
中学時代、彼女らに何があったのか。最終的に明かされる「それ」は、個人的には若干軽いというか、もう少し深刻であってもよかったようにも思うが、人の生き死にが関わるようなものでなかったのはよかったかな。
ちゃらんぽらんに見えて勝負強い真兎と、怜悧に切れる絵空をつなぐのが、「普通」の女子高生、鉱田ちゃんである、という関係性も楽しいところ。
真兎のクラスは、文化祭の場所取りのため、校内の他団体と争うことになる。以前は抽選で決められていたのだが、運任せではなく、勝負で決めたいという声が上がり、トーナメント形式で対戦することになったのだ。
真兎はクラスメートの鉱田ちゃんの頼みでクラス代表者となる。
代表者たちは平和的・かつ明確な勝敗がつけられる勝負で対決する。真兎は順調に勝ち上がり、決勝戦まで来た。その相手は生徒会。最強の敵である。
さて、勝敗はどうつけるのか。
提案されたのは「地雷グリコ」。石段46段を先に上りきった方が勝ち。
いわゆるじゃんけんの「グリコ」なのだが、いささかひねりがある。グーで勝てば「グリコ」で3段、チョキなら「チヨコレイト」で6段、パーなら「パイナツプル」で6段、というルールはそのままだが、双方、階段内の3つに「地雷」を仕掛けることができる。もちろん、比喩的な地雷で本物ではない。Aが仕掛けた「地雷」の段にBが止まると、「被弾」と称して10段下がらなければならない。Aが仕掛けた「地雷」の段のA自身が止まってしまった場合、10段下がるペナルティはないが、「ミス」として、相手方にその段に「地雷」があることがバレてしまう。
さて、「地雷」をどこに仕掛けるか。そして、じゃんけんをどのように進めるか。
双方、腹の探り合いの頭脳ゲームが始まる。
2話目はかるた部と喫茶店のマスターとの戦いに真兎が首を突っ込む。勝負は「坊主衰弱」という、坊主めくりと神経衰弱を併せたゲーム。
3話目は真兎の勝負強さを伝え聞いた生徒会長が真兎を手駒にしようと近づいてくる。会長は別の私立高校に戦いを挑もうとしていたのだ。その高校には、真兎と鉱田ちゃんの中学の同級生であった雨季田絵空(うきたえそら)がいた。会長からその名を聞いた真兎の目の色が変わる。勝負の方法は「自由律じゃんけん」。普通のじゃんけんのグー・チョキ・パーのほかに、双方1種類ずつ新たな独自手を作ることができる。但し、「すべての手に勝つ」といったような強すぎる手は禁止。この手がどんな手かは作った本人と審判だけが知っている。7回勝負の勝ち越し戦。勝負を繰り返すうちに、相手の独自手がどんなルールで、そして何を出せば勝てるか考えなければならない。これも頭脳戦である。
4話目は絵空本人と戦う前の私立高生徒会との戦い。勝負の方法は「だるまさんがかぞえた」で、「だるまさんが転んだ」の変形である。
5話目で真兎と因縁があるらしい絵空が登場する。勝負はポーカーにひねりを加えた「フォールーム・ポーカー」。果たして勝利はどちらの手に。
ゲームのひねり方はなかなかおもしろい。設定の出来としては、表題作の「地雷グリコ」が一番のように思う。残りは結構トリッキーで、ルール違反ではないが、フェアかどうかややグレーの、アクロバティックな勝ち方になっている。
5つのゲームをつなぐのが、真兎、鉱田ちゃん、絵空の3人の因縁だ。
中学時代、彼女らに何があったのか。最終的に明かされる「それ」は、個人的には若干軽いというか、もう少し深刻であってもよかったようにも思うが、人の生き死にが関わるようなものでなかったのはよかったかな。
ちゃらんぽらんに見えて勝負強い真兎と、怜悧に切れる絵空をつなぐのが、「普通」の女子高生、鉱田ちゃんである、という関係性も楽しいところ。
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分子生物学・生化学周辺の実務翻訳をしています。
本の大海を漂流中。
日々是好日。どんな本との出会いも素敵だ。
あちらこちらとつまみ食いの読書ですが、点が線に、線が面になっていくといいなと思っています。
「実感」を求めて読書しているように思います。
赤柴♀(もも)は3代目。
この夏、有精卵からヒヨコ4羽を孵化させました。そろそろ大雛かな。♂x2、♀x2。ニワトリは割と人に懐くものらしいですが、今のところ、懐く気配はありませんw
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- 出版社:KADOKAWA
- ページ数:0
- ISBN:9784041111659
- 発売日:2023年11月27日
- 価格:1925円
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