かもめ通信さん
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「帚木」といえば「雨夜の品定め」が有名だけど、他にもツッコミどころが満載だ!?
光源氏、すばらしい名で、青春を盛り上げてできたような人が思われる。自然奔放な好色生活が想像される。しかし実際はそれよりずっと質素な心持ちの青年であった。その上恋愛という一つのことで後世へ自分が誤って伝えられるようになってはと、異性との交渉をずいぶん内輪にしていたのであるが、ここに書く話のような事が伝わっているのは世間がおしゃべりであるからなのだ。自重してまじめなふうの源氏は恋愛風流などには遠かった。好色小説の中の交野の少将などには笑われていたであろうと思われる。
中将時代にはおもに宮中の宿直所に暮らして、時たまにしか舅の左大臣家へ行かないので、別に恋人を持っているかのような疑いを受けていたが、この人は世間にざらにあるような好色男の生活はきらいであった。まれには風変わりな恋をして、たやすい相手でない人に心を打ち込んだりする欠点はあった。
こんな書き出しではじまるのは、源氏物語第2帖、帚木(ははきぎ)。
好色の噂はあるが、そのじつは“質素な心持ちの青年”だと紹介されつつ、山のように積まれている恋文の中に面白いものがあったら見せてくれよ~という、頭中将のおねだりにまあいいかか~と見せてしまったりする。
中坊じゃあるまいし、他人様の恋文なんか見たがるな!もらったラブレターを他人に見せるな!!と思ったら、推定年齢17歳ぐらいとのこと。
まあ、平均寿命が50歳ぐらいだったそうだし、源氏の君も頭中将も既に結婚もしているのだから、今の感覚で言うと20代半ばぐらいなのかなあ?
この帖で有名なのはなんといっても、自らの経験談を交えながら男性たちが理想の妻を論じあう「雨夜の品定め」。
「女性と付き合うなら「中の品」(中流)の女性が一番よい」などという品評を真に受けたのか、源氏の君は、中流階級の人妻空蝉に惹かれて強引に一夜を共に。
だからさ。なんでそこで試してみるかな!?
好き勝手に言いたい放題に論じ合っていたこの「女性論」が、実はこれから次々と登場してくる源氏の君のお相手の、あの女性、この女性の前表だったとわかるのは、もう少し先の話ではある。
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本も食べ物も後味の悪くないものが好きです。気に入ると何度でも同じ本を読みますが、読まず嫌いも多いかも。2020.10.1からサイト献本書評以外は原則★なし(超絶お気に入り本のみ5つ★を表示)で投稿しています。
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