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たけぞう
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短歌と散文。難しかった。
くどうれいんさんの作品が好きで手に取りました。歌人兼作家とは知っていたのですが、歌集を読むのは初めてです。黒文字と青文字の頁が交互に出てくるので、東さんとくどうさんの書き分けという意味だと思います。ハギノさんとの恋愛話でやたらと引っ張っている黒字のほうがくどうさんかなと思ったのですが、残念ながら書いてありません。

青文字で、ドキッとした短歌はこちらです。
うったえている左手を右の手でつつむ対なる体を立たせ

見開き頁に散文が書いてあります。

左手の手首が痛い、と思う瞬間がある。右手がすかさずそこを包む。そのとき別人格が手に宿る。

なにかがすとんと腹の底に落ちてきました。なんなのでしょうというくらい、すとんと。叙情的な文章ですが、短歌の率直さが対となって訴えかけてきました。こういう文章は、往々にして自己満足的な表現に陥りやすいのですが、そうなっていないところに作者の技術の高さと鮮やかさをみました。

黒文字からも紹介しますね。
手に入れるのがこわいのに手に入らないのもいやで月がまぶしい

欲しいかもしれないと、通販の頁のミラーボールをハギノに見せると、「そんなの買ってどうするの、まぶしいだけじゃん」とハギノは眉を下げました。「買おう」と言ってミラーボールがわたしのものになっても、ハギノはわたしのものにはなってくれなかったと、散文は終わっています。短歌の、月がまぶしい、がよかったです。映像が動く感じがありました。もう一首、鏡の短歌も映像的で気に入り、どちらを紹介するか迷いました。

青文字は叙情的。黒文字は映像的。それぞれの魅力が伝わりました。申し訳ないですが、わたしには二人のコラボの効果は分からなかったのですが、少なくとも短歌×散文の効果は分かり、楽しめましたよ。
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たけぞう
たけぞう さん本が好き!免許皆伝(書評数:1468 件)

ふとしたことで始めた書評書き。読んだ感覚が違うことを知るのは、とても大事だと思うようになりました。本が好き! の場と、参加している皆さんのおかげです。
星の数は自分のお気に入り度で、趣味や主観に基づいています。たとえ自分の趣味に合わなくても、作品の特徴を書評で分かるようにしようと務めています。星が低くても作品がつまらないという意味ではありません。

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よかったらのぞいてみて下さい。

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