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ぷるーと
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文豪たちが記したさまざまな「九月一日」。
大正12年9月1日の関東大震災から、百年が経った。

震災体験を書いてほしいと請われて書かれたもの、覚え書や日記として書いたもの。この本には、震災直後の写真とともに、作家たちの体験記が集められている。

東京といっても場所によって震災の影響がかなり違っており、さまざまな地点から描かれることで、一人ひとりの感じ方が少しずつ違っている。作家ならではの感性、表現も興味深いものがあった。また、大変なさなかであるにも関わらず、無事な者は即座に知人の安否を訪ね合っていて、作家同士の繋がりの深さを感じた。

生々しいのは、東京から鎌倉へと向かった広津和郎と、箱根で被災した谷崎潤一郎の手記。まさに九死に一生を得たという感じの谷崎の体験記は、震災の怖さをリアルに記している。

京都にいたが東京の父を案じて状況した志賀直哉の手記からは、震災直後の人々の動き、その混乱ぶりがリアルに浮かび上がってくる。自分自身ではルポルタージュを書いているつもりではないが、優れたルポルタージュになっている。小山内薫の、さまざまな人物について記された短い記述も、興味深かった。

ジャーナリストとして震災直後の状況を記したものの中で目を引いたのは、竹久夢二や宮武外骨のスケッチ画。他にも多くの作家たちの記述が載せられており、震災の記憶であるだけでなく、当時の作家たちの震災に対する思いがリアルに伝わってくる貴重な本だと思う。
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ぷるーと
ぷるーと さん本が好き!1級(書評数:2932 件)

 ホラー以外は、何でも読みます。みなさんの書評を読むのも楽しみです。
 よろしくお願いします。
 

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