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たけぞう
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アラフィフ女性たちの人間模様。
タイトルが印象的で、表紙絵も格好良かったので手に取りました。著者は児童書と小説を書く人です。わたしは児童書で気に入ったものがあるのですが、大人向けはまだ見つかっておらず、作品探しをしていたこともこの本を読むきっかけとなりました。残念ながらこの作品も自分の好みからはずれましたが、魅力が伝わったのでまとめます。

アラフィフと思われる女性三人が物語の中心です。民子、理枝、早希。高校時代からずっと友人を続けている三人娘です。三人と取り巻く人たちで視点を替えながら、物語は進んでいきます。民子の母の薫、理枝の甥の朔、三人娘の友人だった亡き里美の子どものまどか。

視点の替え方がめまぐるしいのです。段落を切れ目で分け、そのたびに語り手が替わるのですが、頻度があまりにも多すぎて読者は登場人物に感情移入しにくいのです。その結果、神視点のように距離を取って読み進めることになります。ここが趣味に合うかどうかのポイントです。わたしは距離が遠くてドライな感じを受け、ハードボイルドな印象を持ちました。でも、Webではリアリスティックな視点が持ち味と評されているので、この距離感のおかげで大人向けの雰囲気を楽しむ人もいるのでしょう。

あなたの幸せは何ですか?

行間から聞こえてくる言葉です。
むかしは恋人もいたのに、結婚せずに実家で暮らし続け、ライター稼業から小説家に転身した人。恋に恋するをずっと続けて、離婚結婚を繰り返し、キャリアウーマンで世界を飛び歩いている人。認知症の義母をかかえ、夫はまったくあてにならず、子どもたちにも勝手気ままにされている人。

三人娘の立ち位置です。その人にはその人なりの幸せがあり、苦労がありという物語でした。三人や昔の友達と集まって懐かしさに触れるときもあれば、現実に直面するときもあります。そんな展開を読みながら、人間は結局は自分なりに生きていくんだよなと思ったのでした。

物語の展開よりも、登場人物たちの人間味を楽しむ作品だと思います。
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たけぞう
たけぞう さん本が好き!免許皆伝(書評数:1468 件)

ふとしたことで始めた書評書き。読んだ感覚が違うことを知るのは、とても大事だと思うようになりました。本が好き! の場と、参加している皆さんのおかげです。
星の数は自分のお気に入り度で、趣味や主観に基づいています。たとえ自分の趣味に合わなくても、作品の特徴を書評で分かるようにしようと務めています。星が低くても作品がつまらないという意味ではありません。

自己紹介ページの二番目のアドレスは「飲んでみた」の書評です。
三番目のアドレスは「お絵描き書評の部屋」で、皆さんの「描いてみた」が読めます。
四番目のアドレスは「作ってみた」の書評です。
よかったらのぞいてみて下さい。

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