たけぞうさん
レビュアー:
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130年前の世紀の傑作を読む。
ゴシック小説が好きです。ついに、王道ど真ん中の本著にたどり着きました。あまりにも有名で、事前情報や二次創作があふれている状態にも関わらず、いやー、ものすごく楽しかったです。最高。血沸き肉躍るとはまさにこのことで、八百頁近い大作ですが存分に味わえました。終盤は、もう少し見せ場を引っ張ってもいいのではと思うくらい作品世界に引っ張られてしまいました。ゴシック小説の名にふさわしい、豪華絢爛で、冗長な、ため息が出そうな作品でした。
光文社古典新訳には賛否両論があります。訳者も充分意識していて、原文への忠実さを若干犠牲にしたと記しています。原文は、ヴィクトリア朝の小説の特徴である、改行の少ない密な文章が現れたり、センテンスも驚くほど長いときがあるそうです。翻訳にあたり、原文にない改行や文章の分割を行ったとあります。また、ドラキュラ伯爵とヘルシング教授が使う外国語訛りの英語も反映しなかったそうです。
文学者にとっては重要な点でしょう。しかし一般読者のわたしにとっては、超訳という別の作品にならない限り、読みやすさは歓迎です。むしろ作品世界に入りやすくしてくれてありがとうという気持ちです。また、光文社古典新訳の特徴である、訳注が当該ページの欄外にあるスタイルも非常によいです。
訳者あとがきで、ドラキュラと切り離せない書籍の紹介がありますが、なんと、ショートカット先:「死霊の恋」(別名、クラリモンド)で訳者はこの世界にはまったそうなのです。わたしもまったく一緒で、ここからゴシック小説めぐりが始まりました。わたしは書評の中で、ドラキュラをいつか読みたいと書いていて、直感が正しかったです。
この本を読んでいて、いくつか驚きがありました。
一つ目、吸血鬼は民間伝承があり、当時すでにいくつかの作品があったことです。吸血鬼カーミラなどが有名です。
二つ目、ドラキュラは伯爵の名前で、城に住む名家の一族だということです。
三つ目、そもそもドラキュラ伯爵のベースは、民間伝承ではアンデッド、つまり生きてもいない、死んでもいない存在であることです。そこに、著者が南米の吸血コウモリの設定を盛り込み、ドラキュラ伯爵と仕立てたものが、いつの間にか吸血鬼の代名詞になってしまったということです。
他にも、日の光に当たっても多少の活動はできたり、バラのとげや水のある所を超えられないとか、いくつかの知らない設定もありました。
一番の驚きは、ドラキュラの原作は、雰囲気重視でおそろしい物語ではないと聞いていたのに、そんなことはなかったことですね。がっつりホラーです。最近の、化け物エピソード過多のホラーから見れば、これってホラーなのかなと疑問符がつくレベルだからなのでしょうが、ホラー超絶苦手のわたしにとってはベストセッティングです。吸血シーンが少なく感じる人がいるかもですが、逆にわたしには、ここぞという見せ場だけという印象が残りました。
特に、ヘルシング教授が吸血鬼と戦う場面は圧巻の一言につきます。読めば納得の超一級のエンタメ小説でした。まったく古さを感じないのは、新訳のおかげでしょうね。ゴシックホラーの最高峰だと思います。
光文社古典新訳には賛否両論があります。訳者も充分意識していて、原文への忠実さを若干犠牲にしたと記しています。原文は、ヴィクトリア朝の小説の特徴である、改行の少ない密な文章が現れたり、センテンスも驚くほど長いときがあるそうです。翻訳にあたり、原文にない改行や文章の分割を行ったとあります。また、ドラキュラ伯爵とヘルシング教授が使う外国語訛りの英語も反映しなかったそうです。
文学者にとっては重要な点でしょう。しかし一般読者のわたしにとっては、超訳という別の作品にならない限り、読みやすさは歓迎です。むしろ作品世界に入りやすくしてくれてありがとうという気持ちです。また、光文社古典新訳の特徴である、訳注が当該ページの欄外にあるスタイルも非常によいです。
訳者あとがきで、ドラキュラと切り離せない書籍の紹介がありますが、なんと、ショートカット先:「死霊の恋」(別名、クラリモンド)で訳者はこの世界にはまったそうなのです。わたしもまったく一緒で、ここからゴシック小説めぐりが始まりました。わたしは書評の中で、ドラキュラをいつか読みたいと書いていて、直感が正しかったです。
この本を読んでいて、いくつか驚きがありました。
一つ目、吸血鬼は民間伝承があり、当時すでにいくつかの作品があったことです。吸血鬼カーミラなどが有名です。
二つ目、ドラキュラは伯爵の名前で、城に住む名家の一族だということです。
三つ目、そもそもドラキュラ伯爵のベースは、民間伝承ではアンデッド、つまり生きてもいない、死んでもいない存在であることです。そこに、著者が南米の吸血コウモリの設定を盛り込み、ドラキュラ伯爵と仕立てたものが、いつの間にか吸血鬼の代名詞になってしまったということです。
他にも、日の光に当たっても多少の活動はできたり、バラのとげや水のある所を超えられないとか、いくつかの知らない設定もありました。
一番の驚きは、ドラキュラの原作は、雰囲気重視でおそろしい物語ではないと聞いていたのに、そんなことはなかったことですね。がっつりホラーです。最近の、化け物エピソード過多のホラーから見れば、これってホラーなのかなと疑問符がつくレベルだからなのでしょうが、ホラー超絶苦手のわたしにとってはベストセッティングです。吸血シーンが少なく感じる人がいるかもですが、逆にわたしには、ここぞという見せ場だけという印象が残りました。
特に、ヘルシング教授が吸血鬼と戦う場面は圧巻の一言につきます。読めば納得の超一級のエンタメ小説でした。まったく古さを感じないのは、新訳のおかげでしょうね。ゴシックホラーの最高峰だと思います。
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ふとしたことで始めた書評書き。読んだ感覚が違うことを知るのは、とても大事だと思うようになりました。本が好き! の場と、参加している皆さんのおかげです。
星の数は自分のお気に入り度で、趣味や主観に基づいています。たとえ自分の趣味に合わなくても、作品の特徴を書評で分かるようにしようと務めています。星が低くても作品がつまらないという意味ではありません。
自己紹介ページの二番目のアドレスは「飲んでみた」の書評です。
三番目のアドレスは「お絵描き書評の部屋」で、皆さんの「描いてみた」が読めます。
四番目のアドレスは「作ってみた」の書評です。
よかったらのぞいてみて下さい。
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- 出版社:光文社
- ページ数:0
- ISBN:9784334100858
- 発売日:2023年10月12日
- 価格:1760円
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