たけぞうさん
レビュアー:
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躁うつ病の著者目線が非常に参考になり、読みごたえ十分です。
題名と書誌情報に惹かれて手に取りました。直感が当たると嬉しいですね。期待以上の作品で、こころが穏やかになる一冊でした。
著者は坂口恭平さんといい、いのっちの電話という精神サポートのボランティアを立ち上げたり、自身の躁うつ病を扱った著書や、0円生活という企画の著作を発表したりなど、多面的に活動している人です。
他人が驚く発想や行動力は、躁状態の万能感のある時がきっかけになるのですが、ここに奥さんのフーちゃんがいることで救われているんですね。他者の作品の知識ですが、躁状態は決して褒められるものではなく、オラオラの迷惑行為で誰の言うことも聞かない暴走特急なのです。もちろん、フーちゃんがいても止められません。しかし、嵐が去ったあとのフォローが素晴らしくて、坂口さんの発想力を活かすことができているのです。
もちろん、坂口さんは躁うつ状態の時でも意識はありますから、通常状態に戻った時にあらためてフーちゃんの素晴らしさを認識できるので、本人にとっては神がかり的な存在として感謝しています。このフーちゃんのこころの持ちようや考え方、行動のしかたがものすごく参考になるのです。
ビジネス本の場合は、読者を勇気づけることが大事で、全力で応援してくれる感がありますよね。わたしはそれが好きでたまに手に取るのですが、本作のフーちゃんのスタンスは真逆なのです。
フーちゃんは、坂口さんを持ち上げません。アイデアを聞いても反応はいまいちで、自分には分からないけどあなたがそう思うならいいんじゃないという、徹底的にニュートラルの立ち位置を貫いているのです。
人と比べない、後悔しない、寂しいとは思わない。これらは、すべて坂口さんから見たフーちゃんのスタンスです。
言いかたを変えると、人は人である、自分は自分の判断を信じる、一人でいるのが好き、ということになりますね。
この言いかえが大事なところです。坂口さんの言葉は、みんな「~ない」で終わっています。これに対して、フーちゃんは、否定的な言葉を使わないことが、自然にできる人なのです。わたしは、やはり坂口さんみたいな言葉が浮かびやすいんですよね。
でも、もっと面白いのが、フーちゃんはどう思っているのかも書いてあるところです。フーちゃんは、いつも自分で決めるのに時間がかかりすぎる、優柔不断だと思っている、坂口さんの発想力や行動力が素晴らしい反面、自分は何をやるにも遅いし、坂口さんに情熱に欠けるみたいな言われかたをする、などなどです。弱点を理解しているのです。
結局、長所と短所は裏表で、見かたを変えるとひっくり返るんだと気がついたのでした。こころが安らぎましたね。
坂口さんとフーちゃんの気質が、ほぼ真逆というのが、バランス的によかったのでしょう。それでもなお、坂口さんのうつ状態が強すぎるときは、フーちゃんも持て余して周りの人を頼っています。そんな陰の努力を読むだけで、じーんときますね。
たくさん考えさせられる本でした。徹底的にこころの内面に迫っていく本です。文章は、インタビュー的な会話文と、坂口さんの考察が大半です。この書評を読んで思うところがある人には、お薦めしますよ。
著者は坂口恭平さんといい、いのっちの電話という精神サポートのボランティアを立ち上げたり、自身の躁うつ病を扱った著書や、0円生活という企画の著作を発表したりなど、多面的に活動している人です。
他人が驚く発想や行動力は、躁状態の万能感のある時がきっかけになるのですが、ここに奥さんのフーちゃんがいることで救われているんですね。他者の作品の知識ですが、躁状態は決して褒められるものではなく、オラオラの迷惑行為で誰の言うことも聞かない暴走特急なのです。もちろん、フーちゃんがいても止められません。しかし、嵐が去ったあとのフォローが素晴らしくて、坂口さんの発想力を活かすことができているのです。
もちろん、坂口さんは躁うつ状態の時でも意識はありますから、通常状態に戻った時にあらためてフーちゃんの素晴らしさを認識できるので、本人にとっては神がかり的な存在として感謝しています。このフーちゃんのこころの持ちようや考え方、行動のしかたがものすごく参考になるのです。
ビジネス本の場合は、読者を勇気づけることが大事で、全力で応援してくれる感がありますよね。わたしはそれが好きでたまに手に取るのですが、本作のフーちゃんのスタンスは真逆なのです。
フーちゃんは、坂口さんを持ち上げません。アイデアを聞いても反応はいまいちで、自分には分からないけどあなたがそう思うならいいんじゃないという、徹底的にニュートラルの立ち位置を貫いているのです。
人と比べない、後悔しない、寂しいとは思わない。これらは、すべて坂口さんから見たフーちゃんのスタンスです。
言いかたを変えると、人は人である、自分は自分の判断を信じる、一人でいるのが好き、ということになりますね。
この言いかえが大事なところです。坂口さんの言葉は、みんな「~ない」で終わっています。これに対して、フーちゃんは、否定的な言葉を使わないことが、自然にできる人なのです。わたしは、やはり坂口さんみたいな言葉が浮かびやすいんですよね。
でも、もっと面白いのが、フーちゃんはどう思っているのかも書いてあるところです。フーちゃんは、いつも自分で決めるのに時間がかかりすぎる、優柔不断だと思っている、坂口さんの発想力や行動力が素晴らしい反面、自分は何をやるにも遅いし、坂口さんに情熱に欠けるみたいな言われかたをする、などなどです。弱点を理解しているのです。
結局、長所と短所は裏表で、見かたを変えるとひっくり返るんだと気がついたのでした。こころが安らぎましたね。
坂口さんとフーちゃんの気質が、ほぼ真逆というのが、バランス的によかったのでしょう。それでもなお、坂口さんのうつ状態が強すぎるときは、フーちゃんも持て余して周りの人を頼っています。そんな陰の努力を読むだけで、じーんときますね。
たくさん考えさせられる本でした。徹底的にこころの内面に迫っていく本です。文章は、インタビュー的な会話文と、坂口さんの考察が大半です。この書評を読んで思うところがある人には、お薦めしますよ。
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ふとしたことで始めた書評書き。読んだ感覚が違うことを知るのは、とても大事だと思うようになりました。本が好き! の場と、参加している皆さんのおかげです。
星の数は自分のお気に入り度で、趣味や主観に基づいています。たとえ自分の趣味に合わなくても、作品の特徴を書評で分かるようにしようと務めています。星が低くても作品がつまらないという意味ではありません。
自己紹介ページの二番目のアドレスは「飲んでみた」の書評です。
三番目のアドレスは「お絵描き書評の部屋」で、皆さんの「描いてみた」が読めます。
四番目のアドレスは「作ってみた」の書評です。
よかったらのぞいてみて下さい。
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- 出版社:祥伝社
- ページ数:0
- ISBN:9784396618117
- 発売日:2023年09月01日
- 価格:1760円
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