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ぽんきち
レビュアー:
取っておきたい、けれど朽ちてしまう。文化財・標本の劣化の事案例と対処法。
文化財や標本は、過去の人間の営みを現在に伝える資料である。だがこれらには経年劣化がつきもの。長い年月にわたり、なるべく元の姿をとどめようとするのは大変なことなのだ。
本書は、京都大学総合博物館の収蔵品のうち、こうした経年劣化が著しいものを紹介し、そうならないための対処法も示す。
総合博物館であるため、文化財の種類も様々だ。昆虫や毛皮・骨格といった動物標本。植物標本。古文書。出土遺物や器物。石膏や蠟の模型。鉱物標本。
これらの劣化の原因は、虫やカビによるもの、光や湿度・ほこりによるもの、化学劣化、材料の性質によるもの、管理の不備、処置によるものなどである。

現在の博物館では管理も向上しているが、過去には知識が不足していたり、技術が追い付いていなかったりで、せっかくの貴重な文化財が台無しになってしまう例も多かったようだ。
防虫対策が不十分で虫に食われてしまったり、液浸標本を作ったが容器に耐久性がなく液が漏れて標本が破損してしまったり。
本書はそうした事例の写真が豊富に収められており、素人目に見てもこれはダメだな、と思わされる例が多い。
後半は、素材別に対処法が示されているが、基本的には、劣化が激しく進んでしまったあとでは手の施しようがない。まずは保存処理を適切に行うこと、劣化する前に防止すること、劣化の兆しが見られたら、早目に早目に対処することが大切となる。

時に抗うこと、現状をなるべく留めることは大変なことなのだなと思う。
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ぽんきち
ぽんきち さん本が好き!免許皆伝(書評数:1827 件)

分子生物学・生化学周辺の実務翻訳をしています。

本の大海を漂流中。
日々是好日。どんな本との出会いも素敵だ。

あちらこちらとつまみ食いの読書ですが、点が線に、線が面になっていくといいなと思っています。

「実感」を求めて読書しているように思います。

赤柴♀(もも)は3代目。
この夏、有精卵からヒヨコ4羽を孵化させました。そろそろ大雛かな。♂x2、♀x2。ニワトリは割と人に懐くものらしいですが、今のところ、懐く気配はありませんw

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