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ソネアキラ
レビュアー:
「差別の話になったわ」著者がこの本を娘に言った言葉。遺作

※ネタバレ注意! 以下の文には結末や犯人など重要な内容が含まれている場合があります。

『狩りの時代』津島佑子著を読んだ。

ヒトラーユーゲントの来日が重要なモティーフとなっている。ええと検索したら、ヒトラーユーゲントが来日したのは1938年。そのとき、出迎えの歓迎をしたいとこたち。戦前、戦中、戦後。その成長を通しての日本とアメリカ。日本人とアメリカ人。都会と田舎。家族と血族。

ぼくの両親も兄弟の数が多くて必然いとこもたくさんいて、よく遊んだりした。少子化となったいまは、いとこなんてそんなに濃厚なつきあいはしていないのだろう。

戦後強くなったものは女性とストッキングとか言われるが、この本に出てくる女性たちも自分の意志で生きようとする。アカデミックな空気が漂っているのは、この世代の人たちならではのものという気がする。具体例を挙げるなら、閉館してしまった岩波ホールとか。

ヒトラーユーゲントの金髪と青い目。アーリア人の純血種の保存のためにユダヤ人を排斥したナチス。健全な社会の建設のために健常者ではない者も排斥しようとしたナチス。ヒトラーユーゲントが最近見たものに似ている。何だろうと思ったらトランプファミリーだった。トランプはドイツ系移民だし。アメリカの大統領は初の有色人種の大統領から急旋回してトランプになった。

「差別の話になったわ」著者がこの本を娘に言った言葉。遺作。

子どもの頃、ヒトラーユーゲントを歓迎したことは罪なのか。差別はいけない。頭ではそう思うが、体では別。タテマエではそう思うが、本音は別。いつの間にか差別が、マグマとなってあちこちで噴出する時代は決して良い時代であるとは思えないんだけどねえ。
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ソネアキラ
ソネアキラ さん本が好き!1級(書評数:2196 件)

女子柔道選手ではありません。開店休業状態のフリーランスコピーライター。暴飲、暴食、暴読の非暴力主義者。東京ヤクルトスワローズファン。こちらでもささやかに囁いています。

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