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DBさん
DB
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古代人が見た蜃気楼の本
蜃気楼のように消えた文明の話なのかなと思って読んでみましたが、蜃気楼と文明の関りについて書かれた本でした。
まず最初に出てくるのはナスカの地上絵です。
表面の参加した黒い石をどけて下の明るい砂地を露出させるか、三十センチほどの溝を掘って描かれた線画がパンパに数十も散らばっている。
さしわたし十五から三百メートルの地上絵は、紀元前二百年から七百年ごろのナスカ文化の中で作られ、文明が滅びた後も沙漠にその痕跡をとどめていた。
このナスカ文化に首狩りの習慣があったのは間違いないようで、描かれた神の姿は戦利の首で飾られている。
学者たちがこの地上絵が天体の運行を関係があるのではないかと思ったり、宇宙人の発着場だとする説もあるそうですが、著者はこのパンパの沙漠を訪れた時に湖の蜃気楼を見て、ナスカの人々が天の神に蜃気楼を通じて願いをして蜃気楼により授かった沙漠の水を引き込もうとしたのが地上絵ではないかと考えたそうです。

続いて蜃気楼が発生する科学的な話があり、フライングダッチマンや巨大な人魚の伝説、幻の島テューレもこの蜃気楼が生み出した伝説だろうと推測する。
そしてテオティワカン、ティアワナコ、そしてイースター島でもこの蜃気楼を文明の信仰文化と関連していたのだろうと結論付けている。
蜃気楼が見せるのが来世の都で、死んだ人が無事に蜃気楼の中へと入っていけるように蜃気楼がよく発生する場所に宗教施設を作ったのだろうという話は説得力があった。

ヨーロッパでもこの蜃気楼の文明を探し求め、フランスブルターニュの南岸にあるカルナックの巨石群にたどりつく。
「エル・グラー」と呼ばれる長さ二十メートルの花崗岩でできたメンヒルは、今では折れて横たわった状態になっているが、メンヒルを魂の通り穴だとする信仰があるそうです。
内陸の「ロクマリアの丘」からカルナックの列石を中間標識にして海へ目を向けると島々の蜃気楼を観測することができて、カルナックには来世へ通じる門があると古代人が考えていたのだと著者は結論づけています。
アーサー王の伝説も登場して古代の伝承を考察しているが、このロクマリアの丘から蜃気楼を見てみたいと思った。

同じくメガリス遺構としてストーンヘンジも有名ですが、天文観測のために作られたという説が有力だったと思う。
ストーンサークルの中に火で温めた石を投入して熱い円形の地面を作ると、月が神殿の中に降臨するように見えるとか。
夜の何もない草原に立つ巨石と、そこで火を焚き月の降臨を願う人々の幻想的な風景が浮かんできました。

メソポタミアでもシュメール人が作ったジッグラト、そしてエジプトのピラミッドも、その文明と蜃気楼との関係について考察していきます。
古代文明をすべて蜃気楼と結び付けている気もするが、神話や伝説をもとに蜃気楼や科学的な話も結び付けてあって面白かった。
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DB
DB さん本が好き!1級(書評数:2034 件)

好きなジャンルは歴史、幻想、SF、科学です。あまり読まないのは恋愛物と流行り物。興味がないのはハウツー本と経済書。読んだ本を自分の好みというフィルターにかけて紹介していきますので、どうぞよろしくお願いします。

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