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休蔵さん
休蔵
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個人書店や私設図書館、ブックカフェなど、本が置かれた空間を採集し、透過立体図という形で提示した1冊。いずれも主の興味関心を一定程度反映させて形成した空間である。紹介している物件は44件。
 他人様の本棚は興味深い。
 本棚は持ち主の人となりや興味を反映しがちで、並び立つ背表紙のなかから予想外の数冊に出会い、時には予想外過ぎて「ぎょっ」とすることさえある。
 だからこそ、本棚を集めた書籍が出版され続けるのだろう。
 また、本がある風景も興味深い。
 近年では“美しい”図書館や本屋の情景を集めた写真集もある。
 人格形成に関わるものではないが、そこに身を置くことを想像するのは楽しい。
 もちろん、そこに足を運ぶという楽しみも作り出してくれる。
 
 さて、本書は本が置かれた空間を採集する試みをまとめた1冊である。
 本がある空間は、個人書店や私設図書館、ブックカフェなどなど。
 いずれも主の興味関心を一定程度反映して形成された空間である。
 その採集方法は透過立体図の作成である。
 外部から透かし見た本がある空間。
 それはとても雑多で、一見しただけではなかなか理解しがたい空間。
 でもじっくりと眺め、写真や説明文を読むにつれ、主たちのこだわりが透けて見えてくるような気がした。

 紹介している物件は44件。
 取材は全国各地に及び、その労苦がしのばれるが、きっと作者は楽しみながらの取材だったのではないか。
 このなかで私が訪れたことがあった物件は1件のみ。
 とある町の小さな古本屋だ。
 ただ、1件だけでもこだわりぬかれた本のある空間に身を置けたことが、どことなく嬉しく思えた。
 その物件の透過立体図には便所も描かれていた。
 「ああ、やはり和式なのね」
 と変な感想を抱いてしまった。

 本書は全国で44件の本のある空間を紹介している。
 それは多いような気もするが、たった44件に過ぎないとも言える。
 当然のことながら、全国にはまだまだ数多くの本のある空間が存在し、やはり多くの人たちをそこを訪れているはず。
 第2段、第3段の出版を期待したい。
 ただ、1つだけ1読者のわがままを書いておくと、見開きでの透過立体図は真ん中が見にくいため、何らかの工夫が欲しいところである。
 多少小さい図でも構わない。
 じっくりと全体像を眺めてみたい。
 それはともかく、自分が行ったことがある本のある空間が、さらに紹介されることを切に期待するところである。
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休蔵
休蔵 さん本が好き!1級(書評数:451 件)

 ここに参加するようになって、読書の幅が広がったように思います。
 それでも、まだ偏り気味。
 いろんな人の書評を参考に、もっと幅広い読書を楽しみたい! 

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