morimoriさん
レビュアー:
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円筒形のポストが目印の文房具店「四宝堂」は、創業天保5年の銀座の名店。店主の硯は、客の様々な悩みに寄り添いながら最適な文房具を選ぶ。
 銀座の文房具屋と言えば「鳩居堂」や「伊東屋」を思い浮かべる。しかし、四宝堂はどの文房具屋とも異なるお店だ。店主宝田硯の丁寧な接客や、客の悩みに耳を貸して時間をかけて最適な文房具を選ぶ。悩みを抱えた客が、胸の内を聞いてもらいたくなるような硯の接客がなんとも温かい。
「万年筆」に登場するのは、母親に代わり自分を育ててくれた祖母に初任給で贈り物をする際、手紙を書くための便箋と封筒を買いに来た青年。お婆ちゃんに贈り物をするだけでなく、手紙を添えようとする青年がいるんだ。今どき珍しい青年だと感心する。しかし、接客の仕方もどこか不自然な印象を持った。「そこまでする?」と思うほど丁寧なのだ。いくら銀座といっても・・・。そんな疑問や、無駄なツッコミもページを捲るたび忘れてしまうくらい四宝堂での店主と青年の会話、店どうしの関わり合いが良い。
「システム手帳」はサラリーマンが主人公?と思いきや、ホステスさんの話。銀座で働くホステスは客を接待するのに勉強をすることも大切な仕事。だからと言って、知識をひけらかしたりしてはいけない。銀座のママの教訓に思わずメモを取りたくなるほど。そのママを尊敬するホステスにもある悩みがあるのだが。
「大学ノート」は想像通り、青春の話。この話に登場する女子高生七海の両親は、銀座の喫茶店「ほゝづゑ」の看板娘?良子ちゃんと同級生。さらに、硯とも同級生という。弓道部の副将を務めた七海の悩みを良子ちゃんと硯が、親身になって聞く様子や七海が弓道部の副将という立場で頑張っていた様子が青春!!を感じさせて清々しい気持ちになった。
これらの作品集の中で一番感動したのが 「絵葉書」。妻を亡くした湊川が葬儀の際、弔辞を読むことになり四宝堂を訪れる。硯に妻との出会いや出張先から絵葉書を送ったという話が素敵!なのだが、湊川最初の妻藤子とは離婚している。「えっ?なんでやねん」と思うとその先が気になって、気になって。
最後を飾る「メモバッド」も感動した。店を開店させるにあたって挨拶状を四宝堂に依頼した鮨職人 札 銀は、開店案内を出そうか出すまいか迷っている人がいるという。彼の胸の内を聞くと絶対に出した方が良いわ、と思うのだが・・・。
銀座のお店はどこか敷居が高いように感じるが、老舗であればあるほど客に対しての心配りや気遣いが洗練されているのかもしれない。人と人との繋がりを大切にするのは言わずもがな、客が居心地の良い時間を持てるよう、心置きなく商品と良い出会いができるような接客をする様子に心打たれる。マツキヨ百貨店の貴島さんや喫茶店「ほゝづゑ」の良子ちゃん、硯以外にも登場する人たちの心が温かくて優しい。四宝堂のような文房具店、誰もが行きたいと思うのではなかろうか。店主の硯くんは、イケメンみたいだし。
「万年筆」に登場するのは、母親に代わり自分を育ててくれた祖母に初任給で贈り物をする際、手紙を書くための便箋と封筒を買いに来た青年。お婆ちゃんに贈り物をするだけでなく、手紙を添えようとする青年がいるんだ。今どき珍しい青年だと感心する。しかし、接客の仕方もどこか不自然な印象を持った。「そこまでする?」と思うほど丁寧なのだ。いくら銀座といっても・・・。そんな疑問や、無駄なツッコミもページを捲るたび忘れてしまうくらい四宝堂での店主と青年の会話、店どうしの関わり合いが良い。
「システム手帳」はサラリーマンが主人公?と思いきや、ホステスさんの話。銀座で働くホステスは客を接待するのに勉強をすることも大切な仕事。だからと言って、知識をひけらかしたりしてはいけない。銀座のママの教訓に思わずメモを取りたくなるほど。そのママを尊敬するホステスにもある悩みがあるのだが。
「大学ノート」は想像通り、青春の話。この話に登場する女子高生七海の両親は、銀座の喫茶店「ほゝづゑ」の看板娘?良子ちゃんと同級生。さらに、硯とも同級生という。弓道部の副将を務めた七海の悩みを良子ちゃんと硯が、親身になって聞く様子や七海が弓道部の副将という立場で頑張っていた様子が青春!!を感じさせて清々しい気持ちになった。
これらの作品集の中で一番感動したのが 「絵葉書」。妻を亡くした湊川が葬儀の際、弔辞を読むことになり四宝堂を訪れる。硯に妻との出会いや出張先から絵葉書を送ったという話が素敵!なのだが、湊川最初の妻藤子とは離婚している。「えっ?なんでやねん」と思うとその先が気になって、気になって。
最後を飾る「メモバッド」も感動した。店を開店させるにあたって挨拶状を四宝堂に依頼した鮨職人 札 銀は、開店案内を出そうか出すまいか迷っている人がいるという。彼の胸の内を聞くと絶対に出した方が良いわ、と思うのだが・・・。
銀座のお店はどこか敷居が高いように感じるが、老舗であればあるほど客に対しての心配りや気遣いが洗練されているのかもしれない。人と人との繋がりを大切にするのは言わずもがな、客が居心地の良い時間を持てるよう、心置きなく商品と良い出会いができるような接客をする様子に心打たれる。マツキヨ百貨店の貴島さんや喫茶店「ほゝづゑ」の良子ちゃん、硯以外にも登場する人たちの心が温かくて優しい。四宝堂のような文房具店、誰もが行きたいと思うのではなかろうか。店主の硯くんは、イケメンみたいだし。
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多くの人のレビューを拝見して、読書の幅が広がっていくのが楽しみです。感動した本、おもしろかった本をレビューを通して伝えることができればと思っています。
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- 出版社:小学館
- ページ数:0
- ISBN:9784094071924
- 発売日:2022年10月06日
- 価格:770円
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