DBさん
レビュアー:
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深海の豊かな世界の本
「鯨が誘う」とタイトルにあるので、深海性の鯨の生息域とかの話かと思ったが違った。
鯨骨生物群集という死んで海底に沈んだ鯨を栄養源に作り出される深海生物について語られていきます。
黒い背景に浮かびあがるかのように生きている姿の深海生物の写真がフルカラーでのせられているのが魅力的だ。
鯨が海底に沈むと、まず大小さまざまな動物がクジラの遺骸に群がって肉や脂肪などを食べる腐肉食期が数カ月から数年続く。
そして骨が露出してくると、ホネクイハナムシが赤い花が咲き乱れるかのように現れて骨を分解していく骨浸食期が数カ月から10年くらい続く。
骨が腐ると硫化水素が発生して、それをエネルギーにする化学合成細菌とそれを共生させる生物が栄える時期である化学合成期が数十年にわたる。
それぞれの期間が重なり合って作られる深海のオアシスと、そこに集う生物たちが紹介されます。
海岸に漂着していたマッコウクジラを相模湾の水深500メートルのところへ沈めた調査では、まず最初に現れたのがカグラザメとイタチザメという大型のサメ。
そしてコンゴウアナゴ、ムラサキヌタウナギ、エゾイバラガニ、オオグソクムシといった生物が集まってくる。
ホネクイハナムシについてはその種類や生態、分類について詳しく見ていきます。
硫化物が発生してくると、貝類やハオリムシ、ズータムニウムというスノーツリーのような生物が登場する。
この硫化水素を発生するようになった腐った骨を海中から引き揚げて調査したそうですが、とにかく臭くてゴーグルと防毒マスクをしても臭いという強烈なもののようです。
他にもコトクラゲやベニシボリ、オオナミカザリダマ、ホシムシ、ウミクワガタと独特の姿をした生物たちが次々に紹介されていきます。
同じ硫化水素で生活する生物として、熱水噴出孔生物群集と湧水生物群集について見ていきます。
シロウリガイという見た目は真っ白な二枚貝がチムニーにびっしりくっついている姿を写真で見たが、貝を開くと真っ赤な血がほとばしり白い貝殻からはみ出した水管や足も鮮やかな赤だ。
スケーリーフットは以前深海生物の本で見たことがあるが、白いスケーリーフットやあのアルビン号から名前がとられたアルビンガイ、ヨモツヘグイニナといった貝類が多い。
もちろん貝だけでなくエビやカニ、ゴカイなども出てきます。
あと陸から流れてきた木片も分解が進むにつれて硫化水素が発生するそうで、沈木生物集群を形成する。
メオトキクイガイ、フナムシ、キノコの仲間など木を食べるものや、気を食べる生物を食べるものが集まってくる。
「進化的ステッピング・ストーン仮説」につながる発見もあって注目されているそうです。
最後にメンダコやクラゲ、ウニ、ナマコといった深海生物が出てくるが、どれも色も姿も目を引いきます。
眺めているだけでも楽しめる本でした。
鯨骨生物群集という死んで海底に沈んだ鯨を栄養源に作り出される深海生物について語られていきます。
黒い背景に浮かびあがるかのように生きている姿の深海生物の写真がフルカラーでのせられているのが魅力的だ。
鯨が海底に沈むと、まず大小さまざまな動物がクジラの遺骸に群がって肉や脂肪などを食べる腐肉食期が数カ月から数年続く。
そして骨が露出してくると、ホネクイハナムシが赤い花が咲き乱れるかのように現れて骨を分解していく骨浸食期が数カ月から10年くらい続く。
骨が腐ると硫化水素が発生して、それをエネルギーにする化学合成細菌とそれを共生させる生物が栄える時期である化学合成期が数十年にわたる。
それぞれの期間が重なり合って作られる深海のオアシスと、そこに集う生物たちが紹介されます。
海岸に漂着していたマッコウクジラを相模湾の水深500メートルのところへ沈めた調査では、まず最初に現れたのがカグラザメとイタチザメという大型のサメ。
そしてコンゴウアナゴ、ムラサキヌタウナギ、エゾイバラガニ、オオグソクムシといった生物が集まってくる。
ホネクイハナムシについてはその種類や生態、分類について詳しく見ていきます。
硫化物が発生してくると、貝類やハオリムシ、ズータムニウムというスノーツリーのような生物が登場する。
この硫化水素を発生するようになった腐った骨を海中から引き揚げて調査したそうですが、とにかく臭くてゴーグルと防毒マスクをしても臭いという強烈なもののようです。
他にもコトクラゲやベニシボリ、オオナミカザリダマ、ホシムシ、ウミクワガタと独特の姿をした生物たちが次々に紹介されていきます。
同じ硫化水素で生活する生物として、熱水噴出孔生物群集と湧水生物群集について見ていきます。
シロウリガイという見た目は真っ白な二枚貝がチムニーにびっしりくっついている姿を写真で見たが、貝を開くと真っ赤な血がほとばしり白い貝殻からはみ出した水管や足も鮮やかな赤だ。
スケーリーフットは以前深海生物の本で見たことがあるが、白いスケーリーフットやあのアルビン号から名前がとられたアルビンガイ、ヨモツヘグイニナといった貝類が多い。
もちろん貝だけでなくエビやカニ、ゴカイなども出てきます。
あと陸から流れてきた木片も分解が進むにつれて硫化水素が発生するそうで、沈木生物集群を形成する。
メオトキクイガイ、フナムシ、キノコの仲間など木を食べるものや、気を食べる生物を食べるものが集まってくる。
「進化的ステッピング・ストーン仮説」につながる発見もあって注目されているそうです。
最後にメンダコやクラゲ、ウニ、ナマコといった深海生物が出てくるが、どれも色も姿も目を引いきます。
眺めているだけでも楽しめる本でした。
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好きなジャンルは歴史、幻想、SF、科学です。あまり読まないのは恋愛物と流行り物。興味がないのはハウツー本と経済書。読んだ本を自分の好みというフィルターにかけて紹介していきますので、どうぞよろしくお願いします。
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- 出版社:山と渓谷社
- ページ数:0
- ISBN:9784635596220
- 発売日:2014年09月26日
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