morimoriさん
レビュアー:
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江戸時代の女子旅は、グルメ、スイーツを堪能し温泉にも入って想像していた以上に楽しそう。
今でこそ旅行前にはガイドブックやネットで目的の観光地を調べて日程を考え、ネットでホテルの予約ができるけれど今ほど情報が豊富ではなかったであろう江戸時代、いったいどのような準備をして旅にでたのだろう。もっと言えば、交通手段もほとんど徒歩だっただろうし。
旅する女性の1日平均歩行距離は30㎞前後、その支えとなっていたのが幕府による全国的な街道整備が地域を超えて旅ができる環境を整えることにもなったとか。さらに、街道沿いの距離の目安として一里(3.9㎞)ごとに樹木を植えた。街道筋の分岐点には石塔が建てられ方角や距離の情報が文字で刻まれていた。武士の移動を円滑にするために行った幕府の交通政策が、結果として女子旅を支える要因にもなったそうだ。
旅に出る際に必要な旅費、金・銀貨の流通も身軽な旅を可能にしたさらに、為替の発達により旅費の送金が可能になり盗難や紛失に心配もなくなった。庶民層を中心に大流行した近世、旅行案内書が刊行され様々な情報が得られたようだ。なんだか、江戸時代想像以上に情報を得ることができたようだ。女子教育の普及も女子旅の後押しとなったようだ。方角や距離の情報が文字で刻まれた道標を読み取るには、文字が読めなければならないし、書物を読んで予備知識を得るにもしかり。そして、この本の参考文献ともなった資料、旅した女性たちが日記を綴っていたから当時の様子を知ることができたのだ。
そういえば、開国当時日本人の識字率の高さに外国人は驚いたと聞いたか読んだことがあったわ。それは、男子だけでなく女子も同様だったのだ。
女子旅で一番の難所がやはり、関所だったようだ。入り鉄砲に出女と歴史の授業で習った通り、箱根の関所は厳しかったようだ。しかし、そこでもお金が力を発揮し人見女や改め婆に袖元金を渡す見返りに執拗な取り調べから逃れようとする旅人もいたとか。女子旅で大変だなと思ったのは、大河を渡る際の交通手段、徒歩渡し。「大井川の徒歩渡しの風景」と題して歌川豊国の絵を見ると川越人足の肩車や輦台に乗って大井川を渡る様子が描かれているが、さぞや怖かったのではないか。それだけでなく、人足たちにからかわれたりして不愉快な思いもしたとか。
以前朝井まかて氏の小説「ぬけまいる」を読んだ時のようにこの本も楽しかったし、想像以上に当時の女性たちの逞しさ、行動力の素晴らしさに驚いた。ところどころに掲載された挿絵も、実際にはこんなんだったんだろうなと思わせるほど、眺めていて愉快だった。一生に一度は行きたい伊勢参りのみならず、神社仏閣巡りが主な目的とあったが、日本人の信心深さや真面目さが想像できてさて、涼しい時期になったら私も旅に行こうと思うのだった。
あ、グルメやスイーツの話を書かなかったけれどこれも楽しい内容だった。餅がスイーツって、心太が名物とは・・・そう恵まれた現代に感謝。
旅する女性の1日平均歩行距離は30㎞前後、その支えとなっていたのが幕府による全国的な街道整備が地域を超えて旅ができる環境を整えることにもなったとか。さらに、街道沿いの距離の目安として一里(3.9㎞)ごとに樹木を植えた。街道筋の分岐点には石塔が建てられ方角や距離の情報が文字で刻まれていた。武士の移動を円滑にするために行った幕府の交通政策が、結果として女子旅を支える要因にもなったそうだ。
旅に出る際に必要な旅費、金・銀貨の流通も身軽な旅を可能にしたさらに、為替の発達により旅費の送金が可能になり盗難や紛失に心配もなくなった。庶民層を中心に大流行した近世、旅行案内書が刊行され様々な情報が得られたようだ。なんだか、江戸時代想像以上に情報を得ることができたようだ。女子教育の普及も女子旅の後押しとなったようだ。方角や距離の情報が文字で刻まれた道標を読み取るには、文字が読めなければならないし、書物を読んで予備知識を得るにもしかり。そして、この本の参考文献ともなった資料、旅した女性たちが日記を綴っていたから当時の様子を知ることができたのだ。
そういえば、開国当時日本人の識字率の高さに外国人は驚いたと聞いたか読んだことがあったわ。それは、男子だけでなく女子も同様だったのだ。
女子旅で一番の難所がやはり、関所だったようだ。入り鉄砲に出女と歴史の授業で習った通り、箱根の関所は厳しかったようだ。しかし、そこでもお金が力を発揮し人見女や改め婆に袖元金を渡す見返りに執拗な取り調べから逃れようとする旅人もいたとか。女子旅で大変だなと思ったのは、大河を渡る際の交通手段、徒歩渡し。「大井川の徒歩渡しの風景」と題して歌川豊国の絵を見ると川越人足の肩車や輦台に乗って大井川を渡る様子が描かれているが、さぞや怖かったのではないか。それだけでなく、人足たちにからかわれたりして不愉快な思いもしたとか。
以前朝井まかて氏の小説「ぬけまいる」を読んだ時のようにこの本も楽しかったし、想像以上に当時の女性たちの逞しさ、行動力の素晴らしさに驚いた。ところどころに掲載された挿絵も、実際にはこんなんだったんだろうなと思わせるほど、眺めていて愉快だった。一生に一度は行きたい伊勢参りのみならず、神社仏閣巡りが主な目的とあったが、日本人の信心深さや真面目さが想像できてさて、涼しい時期になったら私も旅に行こうと思うのだった。
あ、グルメやスイーツの話を書かなかったけれどこれも楽しい内容だった。餅がスイーツって、心太が名物とは・・・そう恵まれた現代に感謝。
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多くの人のレビューを拝見して、読書の幅が広がっていくのが楽しみです。感動した本、おもしろかった本をレビューを通して伝えることができればと思っています。
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- 出版社:晃洋書房
- ページ数:0
- ISBN:9784771037007
- 発売日:2023年02月10日
- 価格:1980円
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