たけぞうさん
レビュアー:
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ハヤカワポケミスってこういう本なのですね。
図書室の入口に面陳棚がありました。高さ1.8mくらいで、縦横=5×6=30冊くらいの面出しができます。その中で、判型が変わっているこの本は目を惹きました。グリーングレーの表紙も落ち着きますし、薄黄色の紙質も気になります。ペーパーバックみたいな感じがして、つい手を伸ばしてしまいました。
アオサギの娘。裏表紙を読みます。
「ボイドの死についてあなたに話しておかなくてはいけないことがあります」
母の介護のために実家に帰ってきたロニが、謎めいたメモを発見しました。物語の始まりです。紹介文の最終行には、沼地に隠された悲劇と家族の絆を描く傑作サスペンスとありました。
サスペンスはわたしにとって演出過剰感があり、一歩引いてしまう分野です。著者紹介によると、美術学を修めて大学で創作講座を持っている先生とあり、本著がデビュー作とのことです。じゃあ、サスペンスといってもたいしたことはないかなと思い、えいやっと貸し出しカウンターに持っていきました。運よく直感が当たり、無事に読みこなせました。読後、この作品は探偵のいないミステリーだと思いましたよ。探偵がいないからサスペンスと分類したのかもしれませんが、イメージ的にはライトサスペンスのほうが近いです。そんなジャンルはないんですけどね。
主人公のロニは、スミソニアン博物館で鳥類の図録の原画を描いている人です。母の介護が必要となり、実家の様子を見にいくことになりました。八週間の長期休暇制度を利用します。休暇期間中の収入確保のため、博物館の提携プログラムを利用して、地元のタラハシー科学博物館で一時的に働くことになりました。館長のエステルは長年の親友で、即OKでした。こうしてロニの新しい生活が始まります。それにしても、労働者を守るプログラムというか、個人の権利の確保というか、日本では信じられない労働環境ですね。こういう描写を読むのも、この本の楽しみかたの一つだと思います。
父のボイドは、ロニが小さい頃に沼で亡くなりました。事故で処理されましたが、当時から不審な点があり、噂話はささやかれていたのです。
長年、家族の秘密だったものが、ふとしたきかっかけでほどかれていく物語でした。名誉回復の要素があることが、アメリカ的な感じがしますね。文体も日本人には癖が強く、文章は読めるのに意図が伝わりにくいという混乱が生じながらの読書となりました。映画でよく見るような、皮肉や冗談の効いた独特のセリフ回しで固められています。だから、アメリカを体いっぱいで浴びたい人向けの作品ですね。ハヤカワポケミスというレーベルのイメージが伝わった一冊でした。
アオサギの娘。裏表紙を読みます。
「ボイドの死についてあなたに話しておかなくてはいけないことがあります」
母の介護のために実家に帰ってきたロニが、謎めいたメモを発見しました。物語の始まりです。紹介文の最終行には、沼地に隠された悲劇と家族の絆を描く傑作サスペンスとありました。
サスペンスはわたしにとって演出過剰感があり、一歩引いてしまう分野です。著者紹介によると、美術学を修めて大学で創作講座を持っている先生とあり、本著がデビュー作とのことです。じゃあ、サスペンスといってもたいしたことはないかなと思い、えいやっと貸し出しカウンターに持っていきました。運よく直感が当たり、無事に読みこなせました。読後、この作品は探偵のいないミステリーだと思いましたよ。探偵がいないからサスペンスと分類したのかもしれませんが、イメージ的にはライトサスペンスのほうが近いです。そんなジャンルはないんですけどね。
主人公のロニは、スミソニアン博物館で鳥類の図録の原画を描いている人です。母の介護が必要となり、実家の様子を見にいくことになりました。八週間の長期休暇制度を利用します。休暇期間中の収入確保のため、博物館の提携プログラムを利用して、地元のタラハシー科学博物館で一時的に働くことになりました。館長のエステルは長年の親友で、即OKでした。こうしてロニの新しい生活が始まります。それにしても、労働者を守るプログラムというか、個人の権利の確保というか、日本では信じられない労働環境ですね。こういう描写を読むのも、この本の楽しみかたの一つだと思います。
父のボイドは、ロニが小さい頃に沼で亡くなりました。事故で処理されましたが、当時から不審な点があり、噂話はささやかれていたのです。
長年、家族の秘密だったものが、ふとしたきかっかけでほどかれていく物語でした。名誉回復の要素があることが、アメリカ的な感じがしますね。文体も日本人には癖が強く、文章は読めるのに意図が伝わりにくいという混乱が生じながらの読書となりました。映画でよく見るような、皮肉や冗談の効いた独特のセリフ回しで固められています。だから、アメリカを体いっぱいで浴びたい人向けの作品ですね。ハヤカワポケミスというレーベルのイメージが伝わった一冊でした。
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ふとしたことで始めた書評書き。読んだ感覚が違うことを知るのは、とても大事だと思うようになりました。本が好き! の場と、参加している皆さんのおかげです。
星の数は自分のお気に入り度で、趣味や主観に基づいています。たとえ自分の趣味に合わなくても、作品の特徴を書評で分かるようにしようと務めています。星が低くても作品がつまらないという意味ではありません。
自己紹介ページの二番目のアドレスは「飲んでみた」の書評です。
三番目のアドレスは「お絵描き書評の部屋」で、皆さんの「描いてみた」が読めます。
四番目のアドレスは「作ってみた」の書評です。
よかったらのぞいてみて下さい。
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- 出版社:早川書房
- ページ数:0
- ISBN:9784150019914
- 発売日:2023年05月09日
- 価格:2970円
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