たけぞうさん
レビュアー:
▼
ああ、桃を煮てみたい。焦げちゃったとしても。
最高ですね。この人の作る文章には、いつも揺さぶられてしまいます。初めて読んだ作品は、ショートカット先「氷柱の声」です。残念ながら芥川賞受賞とはなりませんでしたが、その後に何冊か読み、著者は非凡な才能を持っているだろうと確信しました。
この本はエッセーなので、なんてことのないオモシロ系の一冊なのですが、わたしにはなぜか深く刺さるものがありました。著者の魅力をうまく言語化できず、もどかしい限りです。
わたしを空腹にしないほうがいい、というエッセーの続篇的な一冊です。食べものにまつわる話でまとめられています。全四十一話、つまり四十一食の話があるのでして。
著者は、前作のエッセーの影響で、美食家と誤解されていて困ると書いています。読者の中に、著者が食に詳しくて、常にいろいろな場所でおいしいものを食べていそうと思っている人が多いと書きつつ、食に詳しいのは知人や友人たちで、そもそも著者は一人では外でご飯を食べられないのだと言います。この話、わたしは結構好きです。
仕事で旅先に行った時は、行き先の近くに住む人に連絡をとり、一緒に食事をするのを楽しみにしています。誰もつかまらなければ、泣く泣くコンビニのカップラーメンにする、しかも日清のシーフードヌードルとまで決めているのです。
大阪に行った時のことです。共作の絵本の原画展に来てくれた人が、親切に大阪のお薦めのお店をメールしてくれました。著者は一緒に行く人を探しますが、残念ながら予定が合いません。勢いあまって、お店を教えてくれた人に一緒に食べませんかと返信してしまったのです。その人は仕事を定時で切り上げるやいなや、驚いてすっ飛んできました。もう一人、原画展を見てくれた編集者らしき人にも連絡をとり、三人でお好み焼き屋さんに行きました。呼ばれた人は、信じられない気持ちで、幸せそうでした。
著者は、おいしいものを食べることを誰かと共有したい人なのです。これおいしいねと一緒に楽しまないと落ち着かないようです。面白いですね。その気持ち、分かりますとも。とはいえ、ほとんど初対面の人を呼び出すとは、著者だから成立したことですよね。究極の無茶ぶりです。
この精神性が、著者の魅力の原動力かなと思いました。
桃を煮るひとの話を読むと、桃を煮たくてたまらなくなります。煮た経験なんてないのに。焦げちゃったという話は、残念感がありつつも、てへへという空気にうっとりするという著者のセンスに脱帽します。
なんだかんだで天然の愛されキャラの人なのでしょうね。とても楽しく読めました。
この本はエッセーなので、なんてことのないオモシロ系の一冊なのですが、わたしにはなぜか深く刺さるものがありました。著者の魅力をうまく言語化できず、もどかしい限りです。
わたしを空腹にしないほうがいい、というエッセーの続篇的な一冊です。食べものにまつわる話でまとめられています。全四十一話、つまり四十一食の話があるのでして。
著者は、前作のエッセーの影響で、美食家と誤解されていて困ると書いています。読者の中に、著者が食に詳しくて、常にいろいろな場所でおいしいものを食べていそうと思っている人が多いと書きつつ、食に詳しいのは知人や友人たちで、そもそも著者は一人では外でご飯を食べられないのだと言います。この話、わたしは結構好きです。
仕事で旅先に行った時は、行き先の近くに住む人に連絡をとり、一緒に食事をするのを楽しみにしています。誰もつかまらなければ、泣く泣くコンビニのカップラーメンにする、しかも日清のシーフードヌードルとまで決めているのです。
大阪に行った時のことです。共作の絵本の原画展に来てくれた人が、親切に大阪のお薦めのお店をメールしてくれました。著者は一緒に行く人を探しますが、残念ながら予定が合いません。勢いあまって、お店を教えてくれた人に一緒に食べませんかと返信してしまったのです。その人は仕事を定時で切り上げるやいなや、驚いてすっ飛んできました。もう一人、原画展を見てくれた編集者らしき人にも連絡をとり、三人でお好み焼き屋さんに行きました。呼ばれた人は、信じられない気持ちで、幸せそうでした。
著者は、おいしいものを食べることを誰かと共有したい人なのです。これおいしいねと一緒に楽しまないと落ち着かないようです。面白いですね。その気持ち、分かりますとも。とはいえ、ほとんど初対面の人を呼び出すとは、著者だから成立したことですよね。究極の無茶ぶりです。
この精神性が、著者の魅力の原動力かなと思いました。
桃を煮るひとの話を読むと、桃を煮たくてたまらなくなります。煮た経験なんてないのに。焦げちゃったという話は、残念感がありつつも、てへへという空気にうっとりするという著者のセンスに脱帽します。
なんだかんだで天然の愛されキャラの人なのでしょうね。とても楽しく読めました。
お気に入り度:









掲載日:
外部ブログURLが設定されていません
投票する
投票するには、ログインしてください。
ふとしたことで始めた書評書き。読んだ感覚が違うことを知るのは、とても大事だと思うようになりました。本が好き! の場と、参加している皆さんのおかげです。
星の数は自分のお気に入り度で、趣味や主観に基づいています。たとえ自分の趣味に合わなくても、作品の特徴を書評で分かるようにしようと務めています。星が低くても作品がつまらないという意味ではありません。
自己紹介ページの二番目のアドレスは「飲んでみた」の書評です。
三番目のアドレスは「お絵描き書評の部屋」で、皆さんの「描いてみた」が読めます。
四番目のアドレスは「作ってみた」の書評です。
よかったらのぞいてみて下さい。
- この書評の得票合計:
- 34票
| 読んで楽しい: | 13票 | |
|---|---|---|
| 参考になる: | 21票 |
あなたの感想は?
投票するには、ログインしてください。
この書評へのコメント

コメントするには、ログインしてください。
書評一覧を取得中。。。
- 出版社:ミシマ社
- ページ数:0
- ISBN:9784909394880
- 発売日:2023年06月14日
- 価格:1760円
- Amazonで買う
- カーリルで図書館の蔵書を調べる
- あなた
- この書籍の平均
- この書評
※ログインすると、あなたとこの書評の位置関係がわかります。






















