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かもめ通信
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#カドブン夏推し2023 行ったよねえ!クラスメートと夏まつり!と、昔々のほろ苦い思い出を思わず頭の引出からひっぱりだしてしまうのもお約束!
海辺の町で暮らす遼は高校二年生、帰宅部だ。
一番の仲良しはマリーンこと茉莉。
遼とマリーンは中学は違ったけれど、二人とも陸上部で短距離をやっていたから、互いの存在だけは知っていた。
当時はライバルでもあったので近寄らないようにしていたのだが、そんな昔が嘘のように今は年中一緒にいる。
そんな彼女たちと同じクラスで比較的仲が良いのは、考古学部の男子二人組、アルト(有音)とバンちゃん(竹井)。

この4人を軸に描き出される高校生活には、文化祭があって、夏休みに花火大会があって、修学旅行や球技大会がある。

「ふいんき」だっけ「ふんいき」だっけという幼さと、“懐かしいと寂しいは似ている”などという大人びた感覚が同居する複雑なお年頃。

例えば、遥。
なんとなく学校に行きたくなくて、年間パスポートで入った水族館で考えるのだ。
 ここにいる魚たちは、広い海で暮らしていたら、出会わなかったのかもしれない。水族館で生まれた魚も多くいるけれど、海から連れてきた魚もいるのだろう。自分は水族館生まれでも、親は海生まれという魚もいるんじゃないかと思う。

すぐそこに海があるのに、水族館に魚を見にくる人間の方が不思議な生き物だという感じがする。
そうして水槽を見ていると、少しだけ悲しい気持ちになったりするのだ。

海は本当に近くにあって、海女をしていたおばあちゃんの手ほどきで、遼は素潜りができたりもする。
だからこそ、海の広さと水族館の水槽を比べてしまうのだし、高校生活という狭い世界の中でもがくのだし、高校生活という水槽から飛び出して、広い海に出て行くことが怖くもある。

アルバイトや芸能活動が禁止されている高校で、芸能界を目指す同級生のネット配信を巡って一悶着あったりもする。
ダンス部だって考古学部だってネットに動画をあげているけれど、そっちは問題にならないのか?

そういうところは今どきだけれど、やっぱりこの甘酸っぱさはどこか懐かしい。

こういうの“アオハル”っていうんでしょ!?と知ったかぶりをするおばさんも、今では遠い昔となった高校時代のあれこれを思い出しながら、“胸キュン”したりするのだった。

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かもめ通信
かもめ通信 さん本が好き!免許皆伝(書評数:2233 件)

本も食べ物も後味の悪くないものが好きです。気に入ると何度でも同じ本を読みますが、読まず嫌いも多いかも。2020.10.1からサイト献本書評以外は原則★なし(超絶お気に入り本のみ5つ★を表示)で投稿しています。

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この書評へのコメント

  1. かもめ通信2023-06-09 05:49

    祐太郎さん主催の読書会「カドブン夏推し2023に挑戦!」参加レビューです。

    https://www.honzuki.jp/bookclub/theme/no433/index.html?latest=20

  2. No Image

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