たけぞうさん
レビュアー:
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精神科医伊良部シリーズ第四弾。アホ系です。
このシリーズは、一作目のこちら「イン・ザ・プール」を読んだあと、二、三作目を積読にしたままです。二作目が直木賞受賞作で、納得のいく面白いシリーズなんですね。本作も期待通りでした。
「いらっしゃーい」
神経科は、伊良部総合病院の地下にあります。豪華な一階とは違う、場末感のただよう場所です。でっぷり太った三十代の精神科医がそこで待ち受けているのです。名札から病院の御曹司であると分かり、ぱっと見で警戒したくなるタイプです。傍らにいるのは、超ミニのワンピースの白衣を着たマユミちゃんという看護師で、傍若無人のバンドマンです。
この二人がシリーズ最初から変わらないゆるゆるコンビで、読んでいるだけで癒されますね。
全五話の短篇集です。精神に不調が出始めた人が、病院に訪れて物語が始まります。患者の症状に現実感があるので、本格的な雰囲気があるのが魅力なんです。さらに治療方法が楽しいんですね。普通の病院ならカウンセリング的に聞く治療と薬の処方という方法ですが、伊良部シリーズは薬を処方しません。
なんと、対処療法というトラウマ克服プログラムを組み、患者とともに実践していく方法を取っているのです。その治療方法が、伊良部とマユミちゃんのキャラクターと相まって、なんともゆるい感じで最高に面白いんですね。こころの病というと深刻に考えがちですが、伊良部と接すると真面目に悩んでいるのが馬鹿らしくなるような治療になっていくのです。
本作には、もう一つ特徴的な魅力があります。表題作のコメンテーターが異色なのです。世の中はコロナ感染が真っ盛りで、ぎすぎす感がまん延し、誰もが自粛疲れになっていたときのことです。テレビ局の前のめりプロデューサーが、番組の視聴率を稼ごうと考え、美人女医を連れてこいと騒ぎ出します。しかし不幸な誤解が重なり、出演することになったのが伊良部だったのです。
最初はWeb出演です。伊良部は天然系で、ふざけたコメントと精神医らしいコメントをごちゃ混ぜでしゃべります。そんな態度に、テレビの出演者がこころを徐々に掴まれていたところ、なんとWeb画面の背景にマユミちゃんが映りこんでくるのです。しかもエアギターの練習で、テレビの収録なんかお構いなしの態度です。ここで一気にバズりました。
楽しいですよ。短篇ですし、前後関係はないので、シリーズ途中から読んでも問題ないです。お薦めです。
「いらっしゃーい」
神経科は、伊良部総合病院の地下にあります。豪華な一階とは違う、場末感のただよう場所です。でっぷり太った三十代の精神科医がそこで待ち受けているのです。名札から病院の御曹司であると分かり、ぱっと見で警戒したくなるタイプです。傍らにいるのは、超ミニのワンピースの白衣を着たマユミちゃんという看護師で、傍若無人のバンドマンです。
この二人がシリーズ最初から変わらないゆるゆるコンビで、読んでいるだけで癒されますね。
全五話の短篇集です。精神に不調が出始めた人が、病院に訪れて物語が始まります。患者の症状に現実感があるので、本格的な雰囲気があるのが魅力なんです。さらに治療方法が楽しいんですね。普通の病院ならカウンセリング的に聞く治療と薬の処方という方法ですが、伊良部シリーズは薬を処方しません。
なんと、対処療法というトラウマ克服プログラムを組み、患者とともに実践していく方法を取っているのです。その治療方法が、伊良部とマユミちゃんのキャラクターと相まって、なんともゆるい感じで最高に面白いんですね。こころの病というと深刻に考えがちですが、伊良部と接すると真面目に悩んでいるのが馬鹿らしくなるような治療になっていくのです。
本作には、もう一つ特徴的な魅力があります。表題作のコメンテーターが異色なのです。世の中はコロナ感染が真っ盛りで、ぎすぎす感がまん延し、誰もが自粛疲れになっていたときのことです。テレビ局の前のめりプロデューサーが、番組の視聴率を稼ごうと考え、美人女医を連れてこいと騒ぎ出します。しかし不幸な誤解が重なり、出演することになったのが伊良部だったのです。
最初はWeb出演です。伊良部は天然系で、ふざけたコメントと精神医らしいコメントをごちゃ混ぜでしゃべります。そんな態度に、テレビの出演者がこころを徐々に掴まれていたところ、なんとWeb画面の背景にマユミちゃんが映りこんでくるのです。しかもエアギターの練習で、テレビの収録なんかお構いなしの態度です。ここで一気にバズりました。
楽しいですよ。短篇ですし、前後関係はないので、シリーズ途中から読んでも問題ないです。お薦めです。
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ふとしたことで始めた書評書き。読んだ感覚が違うことを知るのは、とても大事だと思うようになりました。本が好き! の場と、参加している皆さんのおかげです。
星の数は自分のお気に入り度で、趣味や主観に基づいています。たとえ自分の趣味に合わなくても、作品の特徴を書評で分かるようにしようと務めています。星が低くても作品がつまらないという意味ではありません。
自己紹介ページの二番目のアドレスは「飲んでみた」の書評です。
三番目のアドレスは「お絵描き書評の部屋」で、皆さんの「描いてみた」が読めます。
四番目のアドレスは「作ってみた」の書評です。
よかったらのぞいてみて下さい。
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- 出版社:文藝春秋
- ページ数:0
- ISBN:9784163916873
- 発売日:2023年05月11日
- 価格:1760円
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