そうきゅうどうさん
レビュアー:
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『そして誰もいなくなった』の小ネタが数多く使われているので、「何だ、『そして誰も~』のパクリか…」と思う向きもあろうが、決して単なる『そして誰も~』のパクリでも劣化コピーでもない。
アガサ・クリスティの作品群は、その物語のプロットや使われたアイディアに非常に高い汎用性があるため、さまざまな後追い作品を生み出してきた。このグレッチェン・マクニールの『孤島の十人』(原題は『Ten』)もその1つで、日本語版タイトルからも一目瞭然の『そして誰もいなくなった』を元ネタにしたミステリである。
作中には
外部との連絡が絶たれた孤島に集められた登場人物と姿を見せない招待主、1人死ぬごとに残される不気味なサインなど、『そして誰も~』を読んだことのある人ならすぐ分かる小ネタが数多く使われているので、「何だ、『そして誰も~』のパクリか…」と思う向きもあろうが、決して単なる『そして誰も~』のパクリでも劣化コピーでもない。むしろ『そして誰も~』を知っている人そこ惑わされる仕掛けもあって、これは『そして誰も~』を読んだことのある人にこそ読んでほしい作品だ。
解説によると、著者のG・マクニールは元歌手で、その後、作家に転じたようだ。ヤングアダルト層に向けてホラー、サスペンス、ラブロマンスなどを書いているが、古典的名作を本歌取りした作品が多いという。本作は読みながら「映像化できるな」と思っていたら、2017年に映画化されているらしい(日本未公開)。
作中には
「『蠅の王』を読んだぞ。(中略)ハッピーエンドじゃなかったよ」(中略)といったやり取りがあるが、おいおいお前ら、ここで思い出さなきゃいけないのは『蠅の王』じゃなくて『そして誰も~』だろ! もし彼らがここで『そして誰も~』に思い至っていれば、もっと違う結末を迎えられたかもしれない。
「ニュース速報よ。みんな、わたしたちすでにわれわれ版『蠅の王』の半ばまで来てるわね。死体の山ができているし」
外部との連絡が絶たれた孤島に集められた登場人物と姿を見せない招待主、1人死ぬごとに残される不気味なサインなど、『そして誰も~』を読んだことのある人ならすぐ分かる小ネタが数多く使われているので、「何だ、『そして誰も~』のパクリか…」と思う向きもあろうが、決して単なる『そして誰も~』のパクリでも劣化コピーでもない。むしろ『そして誰も~』を知っている人そこ惑わされる仕掛けもあって、これは『そして誰も~』を読んだことのある人にこそ読んでほしい作品だ。
解説によると、著者のG・マクニールは元歌手で、その後、作家に転じたようだ。ヤングアダルト層に向けてホラー、サスペンス、ラブロマンスなどを書いているが、古典的名作を本歌取りした作品が多いという。本作は読みながら「映像化できるな」と思っていたら、2017年に映画化されているらしい(日本未公開)。
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「ブクレコ」からの漂流者。「ブクレコ」ではMasahiroTakazawaという名でレビューを書いていた。今後は新しい本を次々に読む、というより、過去に読んだ本の再読、精読にシフトしていきたいと思っている。
職業はキネシオロジー、クラニオ、鍼灸などを行う治療家で、そちらのHPは→https://sokyudo.sakura.ne.jp
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