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たけぞう
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朗読者の著者による短篇集。
名前に聞き覚えがあったので確認したら、朗読者の著者でした。評判が極めて高い作品で、折にふれて目についていました。その人が書いた短篇集と知り、いい機会と思い読んでみました。

全九篇あります。一話あたり三~五十頁なのでとっつきやすいです。題名の通り、いろいろな別れを書いてあります。
訳者あとがきによると、著者は十年おきに短篇集を出版しているとのこと。この短篇集は、なんと七十六才での発行となります。主人公の設定で年配者が多めなのも自然なことでしょうね。ドイツの新聞では、人生の秋という言葉で本著が評されていたそうで、納得です。

しかし、ノスタルジックじゃないんですよ。あの頃は、みたいなモノローグはありません。そこが素晴らしいところです。年齢が上がった現実と折り合う話が多く、読ませる作品集です。
わたしが気に入ったのは、アンナとのピクニック、姉弟の音楽、愛娘、島で過ごした夏、老いたるがゆえのシミなどです。五篇も上げてしまいましたが、それくらい楽しんだと思って下さい。

年齢が上がってから再会し、過去のわだかまりを清算し、きちんとお別れをするというお話が多いです。人間は誰しも、あの時こうすればよかったとか、あの選択をしておけば人生が違ったかもとか、思うところがあるでしょう。でもそれは、いつもは心の見えない陰に隠れていて、再会などのきっかけで思い出されるものです。この作品集は、そういう展開になっているので納得感があります。

過去の恋愛関係の話はもちろんありますが、年老いてからの親との関係、わだかまりのあった兄弟姉妹との魂の清算、一時期自分を支えてくれた友人との関係など、題材が豊富なのもこの作品の魅力です。

短篇集なので、ネタバレになりそうなので内容をほとんど書けずにすみません。総じて、落ち着いた作品集なのです。大人の小説って、こういう作品なんだろうなという連想がぴったり当てはまる一冊ですよ。
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たけぞう
たけぞう さん本が好き!免許皆伝(書評数:1465 件)

ふとしたことで始めた書評書き。読んだ感覚が違うことを知るのは、とても大事だと思うようになりました。本が好き! の場と、参加している皆さんのおかげです。
星の数は自分のお気に入り度で、趣味や主観に基づいています。たとえ自分の趣味に合わなくても、作品の特徴を書評で分かるようにしようと務めています。星が低くても作品がつまらないという意味ではありません。

自己紹介ページの二番目のアドレスは「飲んでみた」の書評です。
三番目のアドレスは「お絵描き書評の部屋」で、皆さんの「描いてみた」が読めます。
四番目のアドレスは「作ってみた」の書評です。
よかったらのぞいてみて下さい。

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