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たけぞう
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食べることが大好きな人みたい。
エッセーです。著者は、小さいおうちで直木賞を受賞して、その後も順調にヒット作を出している人です。至近作のやさしい猫は、日本の入国管理問題を扱っていて、こころ震える作品とはまさにこのことだと思いました。ホットな社会問題に切り込んでいるので、文学賞などの話題から距離をおかれていますが、時間がたてばきっと評価が進む作品です。

そんな力のある作品を何冊もかける作家さんですから、エッセーが出たと知り、喜んで手に取りました。わたしは、作家さんがどんな人なんだろうってとても興味があるんですね。エッセーは、作家さんの好みや考え方が伝わってくるので好きなのです。断片的にはなっちゃうのですが、それはそれであたり前なので、ゆるく楽しんでいます。

読んでみての印象です。著者は、食べることが大好きな人なんですね。食べることをこころの底から楽しんでいて、読者に伝わってきます。
旅行もお好きなようですが、一番の理由がその場所でしか食べられないもののようなので、結局食べものかいと、読み手の気持ちも上がってきます。ちょうどコロナ禍に巻き込まれた時期で、旅行は行けなくなってしまいますが、代わりに家の中でストレッチなどで体をほぐしています。ひょっとしてこれも、体を適度に疲れさせて、食べものを楽しむためではという気がしてきたら、なんだか微笑ましくなってきました。

文章から、穏やかな人柄が伝わってきました。
第一章は、世界中、どこへ行ってもおなかはすくのだ、です。
バルセロナへの旅の話です。清水さんという元朝日新聞の記者が、定年後にスペインに移住し、豆腐屋を開きました。著者のパートナーの大先輩にあたるというご縁で、バルセロナへ会いに行けることになりました。開業当時は本格的な豆腐屋がヨーロッパになく、お客さんが集まってきて成功した人です。しかもスペイン語は六十才から習い始めたというし、豆腐製造の機械は退職金をはたいて買ったとのことで、夢の人生といっても過言ではありません。

著者の言葉で聞いているというのも、いいんでしょうね。成功したことを持ち上げすぎず、憧れと尊敬の気持ちが素直に伝わってくるので、読んでいてすがすがしくなります。
旅に出られなくなっても、著者の人となりに支えられたこの一冊は、非常に魅力的な話が並んでいました。ここちよく、ほっと一息つけますよ。
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たけぞう
たけぞう さん本が好き!免許皆伝(書評数:1468 件)

ふとしたことで始めた書評書き。読んだ感覚が違うことを知るのは、とても大事だと思うようになりました。本が好き! の場と、参加している皆さんのおかげです。
星の数は自分のお気に入り度で、趣味や主観に基づいています。たとえ自分の趣味に合わなくても、作品の特徴を書評で分かるようにしようと務めています。星が低くても作品がつまらないという意味ではありません。

自己紹介ページの二番目のアドレスは「飲んでみた」の書評です。
三番目のアドレスは「お絵描き書評の部屋」で、皆さんの「描いてみた」が読めます。
四番目のアドレスは「作ってみた」の書評です。
よかったらのぞいてみて下さい。

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