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休蔵さん
休蔵
レビュアー:
コンサートを裏側で作り上げる男たちの物語。“ホシノカケラ”たちの尽力無くしてコンサートの成功無し!コンサートで気になる部分が増えると思います。
 コンサートって、観客の側でしか体感したことはなかった。
 それは大多数がそうだろう。
 そして、観客と対峙する存在として意識するのは演者のみ。
 本書は観客と対峙する側でありながら、決して表には出てこない“ホシノカケラ”たちに焦点を定めた小説である。
 
 本書は岡山県津山市出身で、日本一の観客動員を誇るバンド“デラノ”のカリスマボーカリストの香田起伸を軸にストーリー展開する。
 大きい軸は香田が初めて挑んだソロツアー。
 バンドマンとして数多くのコンサートにチャレンジし、成功を収めてきた香田にとってソロはまったく別物。
 むしろ別物に仕上げなければいけない難物だった。
 その難物に対応するのは、これまた数多くのコンサートに携わってきた舞台裏の男たち。
 ほんのわずかな差を形にする奮闘を描いた本書は、コンサートの見えない顔を見事に浮かび上がらせている。

 当たり前の話だけど、全国ツアーの会場はそれぞれの資質を備える。
 収容人数も違えば、舞台のサイズもまったく異なる。
 耐荷重量も異なるし、観客席との距離感もさまざまだ。
 でも、同一のツアーとしての共通した演出は求められる。
 そんな当然の事情も、観客には関係ない。
 共通のツアーとして、どの会場でも同じ満足感を提供できなければプロとは呼べないはず。
 ツアーの冠となる演者はもちろんのこと、その人を裏で支える“裏方”も陰の主役だ。
 その奮闘ぶりを本書は鮮やかに描き切っている。

 観客としてコンサートを楽しむ立場からは、正直なところ舞台裏のことなんかどうでも良い。
 自分が応援するバンドやミュージシャンを間近に感じられ、一緒の空間で同じ時間を過ごせることにこそ価値がある。
 でも、これからは自然と舞台裏にまで想いをはせることになるように思う。
 舞台裏の奮闘ぶりを想像し、それも併せてコンサートを楽しむようになるだろう。
 そんな気持ちを確信させてくれる1冊だった。
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休蔵
休蔵 さん本が好き!1級(書評数:451 件)

 ここに参加するようになって、読書の幅が広がったように思います。
 それでも、まだ偏り気味。
 いろんな人の書評を参考に、もっと幅広い読書を楽しみたい! 

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