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はなとゆめ+猫の本棚
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若者にとって最も大切なこと。何にも縛られることなく、自由な発想と行動だ。
 昨年の本屋大賞受賞作品、コミックにもなり大ブレークした作品で、本屋にも山積されている。早く手にとりかった。今般文庫化されたので、購入して読んでみた。

 これは傑作だ。久しぶりに見事な作品にであった。

 島崎みゆきは、同じマンションに住む、幼馴染の成瀬あかりから、中学2年生の時、住んでいる滋賀県大津の西武大津店が閉店することを知り、西武が店じまいするまで毎日夕方、西武大津店に西武ライオンズのユニフォームを着て地元テレビに一緒に映ろうと誘われる。みゆきは何をとんでもないことをと思ったが、面白いかもとも思い、あかりと閉店まで西武店頭に並ぶ。

 こんなあかりだから、クラスでは完全に浮き上がっていて誰も声をかける人はいない。しかし一向に気にする様子はなく、淡々と思いついたことを、みゆきに提案し、みゆきをひきずりこんでゆく。

 西武百貨店の次は、漫才M1グランプリへの挑戦。やることには手をぬかない。脚本を作り、毎日公園で練習して技を磨く。しかし続けた4年間、入賞さえ届かない。次が手品、そしてカルタ、けん玉と次々目まぐるしくいろんなものに挑戦、それらを学校で披露して喝采を受ける。

 この物語、あかりとみゆきはいろんなことに挑戦するが、あかりは困難を克服して頂点を極めたり、人間を成長させたりするという定番の物語になっていないことが魅力を醸し出している。

 あかりの人生の目標は200歳まで生きること、西武に変わる百貨店を作ること。
途中みゆきが好きという気持ちをほのめかす。するとあかりが言う。
「私は200歳まで生きる。そういうことは80歳になったら言ってくれ」
すばらしい回答。

 あかりが魅力的にみえるのは、あかりが自由だからだ。自由に発想し、どんどん自由に行動する。息苦しい昨今、あかりには本当に憧れる。

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はなとゆめ+猫の本棚
はなとゆめ+猫の本棚 さん本が好き!1級(書評数:6243 件)

昔から活字中毒症。字さえあれば辞書でも見飽きないです。
年金暮らしになりましたので、毎日読書三昧です。一日2冊までを限度に読んでいます。
お金がないので、文庫、それも中古と情けない状態ですが、書評を掲載させて頂きます。よろしくお願いします。

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