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たけぞう
レビュアー:
もー、ホラーは苦手なんだってば!

※ネタバレ注意! 以下の文には結末や犯人など重要な内容が含まれている場合があります。

ホラーは大の苦手なので、頭に浮かんだことを全部書いちゃいますよ。わたしはそうやって頭の中から出さないと、恐ろしさをリセットできないんですね。ネタバレ問答無用です。ぐだぐだになるので、適当に読み飛ばして下さい。

この作品を選んだのは、直木賞候補作になったこと、著者のデビュー作の「13階段」が非常に面白かったこと、書誌情報に心霊ネタとあるけれど、直木賞だから何かのトリックで楽しませてくれるんじゃないかと思ったことがあります。デビュー作の展開力が頭に残っていたんでしょうね。
 ────── 残念ながら、普通にホラー小説でした。ちっ。

ホラーといっても、恒川幸太郎さんの作品は読めますし、先だって読んだラフカディオ・ハーンの作品は高尚だと思ったくらいです。つまり怖がらせようという悪趣味な演出がなければ大丈夫なのです。この作品は幽霊小説で、わたしでもなんとかゴールにたどり着けるレベルでした。怖い場面にどきどきして、最後に救われて終わる鉄板の作りなので、ホラー初級者向けですよ。

内容を紹介します。主人公の松田は女性誌の記者です。二年前までは大手新聞社の記者だったのですが、妻を病気で亡くしたことがきっかけで仕事人間だった自分に悲観します。昔のつての編集長を頼り、いまの雑誌に転職したのでした。でも仕事の能率は上がらないままです。
週刊誌の記事作成は、文章を書くアンカー、取材役、カメラマンのチームです。最初のころ松田は記事を書いてみたのですが、硬い文章の癖が抜けず、取材側に回りました。過去の経験が活かせるようにという編集長の配慮です。

その編集長に呼ばれ、ある企画が渡されました。企画を提案した前任者が進めることができなくなり、代わりに引き受けてくれないかというのです。しかもその企画は幽霊話だったのです。
心霊ネタ?と半信半疑の松田です。考えてみれば、女性誌ならあり得るネタなのでしょう。恐怖心を刺激する記事は、いかにもという感じがします。いまいち気の乗らない松田はささやかな抵抗を試みますが、取材をすることになりました。
ところが ────── 本当に幽霊が出るのでした。

幽霊話をたどり、スナックの聞き込みをすすめ、昔のつながりで刑事を頼ると殺人事件が絡まってきて、どうやら身元不明の被害者が幽霊に関係していそうだという、予定調和が展開されていきます。幽霊の描写も、陰気で長い黒髪の女ですし。よくある設定のてんこ盛りです。

わたしは著者の筆力のすごさにあらためて感心しました。これでもかと先が見えているのに、読んでいて全然飽きないし、びくびくしながら一気読みしてしまいましたから。幽霊がこの世に残したわだかまりは、松田のおかげで全て解決し、最後に幽霊が救われて終わる展開です。
どきどき~ほっと一息を味わう作品ですよ。
読ませる作品ですが、とはいえ、個人的にはホラーを引いちまったぜ、くっ、という気持ちではあります。
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たけぞう
たけぞう さん本が好き!免許皆伝(書評数:1468 件)

ふとしたことで始めた書評書き。読んだ感覚が違うことを知るのは、とても大事だと思うようになりました。本が好き! の場と、参加している皆さんのおかげです。
星の数は自分のお気に入り度で、趣味や主観に基づいています。たとえ自分の趣味に合わなくても、作品の特徴を書評で分かるようにしようと務めています。星が低くても作品がつまらないという意味ではありません。

自己紹介ページの二番目のアドレスは「飲んでみた」の書評です。
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よかったらのぞいてみて下さい。

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