efさん
レビュアー:
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けったいな話ばっかりや~ (*´Д`)。。
柴田元幸、岸本佐知子という名翻訳者、そしてオカシナ話大好きな二人が推薦し合った「なんだこりゃ~!」的な作品を集めた本であります。選考基準は日本ではほとんど知られていない作家の作品に限ること、古くても良いけれどできれば新しい作品を採ることなのですが、まあ、よくもこんな作品集めたねという位けったいな話ばっかり集められており、自薦作品を自分で訳して収録したというものです。
私、好きですけどね、こういう作品。
それではどんな話が採られているのか、何作かご紹介しましょう。
〇 大きな赤いスーツケースを持った女の子/レイチェル・クシュナー
空港でパスポート・トラブルのため足止めを食った時、あの娘に出会ったんだ。審査場の向こうに大きな赤いスーツケースを持った子がいて、とびきりの美人。彼女もパスポート・トラブルで足止めされているらしく、僕は彼女から煙草を一本もらった。
彼女はアブダビに行こうとしていると言い、しばらくすると彼女のところに入国審査官がやって来て彼女は係官に連れられてどこかに行っちゃった。
その後、どうしても彼女の事が忘れられなくなった僕は、アブダビに彼女を探しに行ったんだ。
コロナ禍の作品を集めた『デカメロン・プロジェクト』にも収録された作品です。
〇 オール女子フットボールチーム/ルイス・ノーダン
高校二年生の時、女子だけのフットボール試合をやろうという話が持ち上がり、みんなノリノリになり、女子たちもやる気満々になったことがあったのです。もちろん僕も入れ込んじゃって、何よりフットボールのプロテクターをつけた女の子たちの魅力にやられちゃったんですよ。もうサイコー!
ところが、さらに悪ノリし始め、男子もチアガールの服装をしてチアをすべきじゃないかなんて話が持ち上がり、僕は冗談じゃないと反対したんだけれど結局やることになり、僕もチアガールになることに……。
家に帰ってげんなりしていたら、女装大好きな父さん(年に一度、男たちが女装する町のイベント大好きなんですよぉ)から「こんな楽しいこと、やらないなんてもったいないぞ」などと言われてしまい……。
すね毛や腋毛を剃り、父さんが持ってきたレースのついたショーツを履き、ストッキングに足を通し……。女装してみたら……あらら。
〇 アホウドリの迷信/デイジー・ジョンソン
妊娠中の彼女を残して船乗りになっちゃった男の事を思う彼女のモノローグ。彼からはたった四通しか手紙が来ていない。彼はアホウドリの中には死んだ船乗りの魂が入っているなんて言う。
そんな手紙も途絶えた。知るもんか、あんな男なんて知るもんか。
ラストでは……。
だから何? というか何このラストという話なんだけど、印象に残ります。
〇 アガタの機械
超天才児のアガタに家に誘われた。一緒に行ったものかどうか迷ったけれど……。家には子供たちが沢山いて、アガタは特別に屋根裏部屋を使っても良いことにされていた。
アガタはミシンのような機械を見せてくれた。アガタが受話器を当てながら足漕ぎペダルを踏むと……糸巻を乗せるところにつけられていた大きな広口瓶の中にピエロが浮かび上がってきた!
私が受話器を当てると、今度は天使の男が現れた。
「この人見たことない。いままでピエロしか見たことなかった。こういうことがあるから、ほかの誰かに試してもらいたかったんだよ」とアガタは言う。
私はアガサの機械にすっかり魅せられてしまい、アガタと勉強していると嘘を言ってアガタの家に通い詰めた。
〇 野良のミルク/サブリナ・オラ・マーク
彼女は保育園に息子を預けることにした。でもここのバーディ先生の話ってちょっとおかしい。
彼女は保育園の廊下で娘まみれのお母さんと知り合った。全部で五人の娘たちがまとわりついていた。
ある日、バーディ先生から「お子さんにミルクをあげられません。あなたが持ってきたミルクが野良だから。もっといいミルクを持ってきてください」とメッセージが入った。そんな……。もっといいミルクなんてない、私にはこのミルクしかない。私は急いで保育園に向かい……。
どの作品も、これってどういうこと? という不思議感満載であります。合理的な結末など期待してはいけません。なんかオカシイというところを楽しむのです。
本書には柴田さん、岸本さんによる対談も挟まれており、どうしてその作品を選んだか、その作品の読み味などについて語り合っておりますよ。
読了時間メーター
□□□ 普通(1~2日あれば読める)
私、好きですけどね、こういう作品。
それではどんな話が採られているのか、何作かご紹介しましょう。
〇 大きな赤いスーツケースを持った女の子/レイチェル・クシュナー
空港でパスポート・トラブルのため足止めを食った時、あの娘に出会ったんだ。審査場の向こうに大きな赤いスーツケースを持った子がいて、とびきりの美人。彼女もパスポート・トラブルで足止めされているらしく、僕は彼女から煙草を一本もらった。
彼女はアブダビに行こうとしていると言い、しばらくすると彼女のところに入国審査官がやって来て彼女は係官に連れられてどこかに行っちゃった。
その後、どうしても彼女の事が忘れられなくなった僕は、アブダビに彼女を探しに行ったんだ。
コロナ禍の作品を集めた『デカメロン・プロジェクト』にも収録された作品です。
〇 オール女子フットボールチーム/ルイス・ノーダン
高校二年生の時、女子だけのフットボール試合をやろうという話が持ち上がり、みんなノリノリになり、女子たちもやる気満々になったことがあったのです。もちろん僕も入れ込んじゃって、何よりフットボールのプロテクターをつけた女の子たちの魅力にやられちゃったんですよ。もうサイコー!
ところが、さらに悪ノリし始め、男子もチアガールの服装をしてチアをすべきじゃないかなんて話が持ち上がり、僕は冗談じゃないと反対したんだけれど結局やることになり、僕もチアガールになることに……。
家に帰ってげんなりしていたら、女装大好きな父さん(年に一度、男たちが女装する町のイベント大好きなんですよぉ)から「こんな楽しいこと、やらないなんてもったいないぞ」などと言われてしまい……。
すね毛や腋毛を剃り、父さんが持ってきたレースのついたショーツを履き、ストッキングに足を通し……。女装してみたら……あらら。
〇 アホウドリの迷信/デイジー・ジョンソン
妊娠中の彼女を残して船乗りになっちゃった男の事を思う彼女のモノローグ。彼からはたった四通しか手紙が来ていない。彼はアホウドリの中には死んだ船乗りの魂が入っているなんて言う。
そんな手紙も途絶えた。知るもんか、あんな男なんて知るもんか。
ラストでは……。
だから何? というか何このラストという話なんだけど、印象に残ります。
〇 アガタの機械
超天才児のアガタに家に誘われた。一緒に行ったものかどうか迷ったけれど……。家には子供たちが沢山いて、アガタは特別に屋根裏部屋を使っても良いことにされていた。
アガタはミシンのような機械を見せてくれた。アガタが受話器を当てながら足漕ぎペダルを踏むと……糸巻を乗せるところにつけられていた大きな広口瓶の中にピエロが浮かび上がってきた!
私が受話器を当てると、今度は天使の男が現れた。
「この人見たことない。いままでピエロしか見たことなかった。こういうことがあるから、ほかの誰かに試してもらいたかったんだよ」とアガタは言う。
私はアガサの機械にすっかり魅せられてしまい、アガタと勉強していると嘘を言ってアガタの家に通い詰めた。
〇 野良のミルク/サブリナ・オラ・マーク
彼女は保育園に息子を預けることにした。でもここのバーディ先生の話ってちょっとおかしい。
彼女は保育園の廊下で娘まみれのお母さんと知り合った。全部で五人の娘たちがまとわりついていた。
ある日、バーディ先生から「お子さんにミルクをあげられません。あなたが持ってきたミルクが野良だから。もっといいミルクを持ってきてください」とメッセージが入った。そんな……。もっといいミルクなんてない、私にはこのミルクしかない。私は急いで保育園に向かい……。
どの作品も、これってどういうこと? という不思議感満載であります。合理的な結末など期待してはいけません。なんかオカシイというところを楽しむのです。
本書には柴田さん、岸本さんによる対談も挟まれており、どうしてその作品を選んだか、その作品の読み味などについて語り合っておりますよ。
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□□□ 普通(1~2日あれば読める)
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幻想文学、SF、ミステリ、アート系などの怪しいモノ大好きです。ご紹介レビューが基本ですが、私のレビューで読んでみようかなと思って頂けたらうれしいです。世界中にはまだ読んでいない沢山の良い本がある!
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- 出版社:スイッチ・パブリッシング
- ページ数:0
- ISBN:9784884185947
- 発売日:2022年09月30日
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