どこかの家のグリーンカーテンで大量にできたおすそ分けか、今日の晩御飯ためのお買い物が落ちたのか・・・謎すぎる場面に事件のニオイも感じたりしましたが、小一時間仕事をしていたうちに無くなってました。わざわざ拾いに戻ってきたのか、通りすがりの人が持っていったのか・・・?やっぱり謎です。
さて本書は、そんなゴーヤやソーキそば、泡盛などのメジャー沖縄グルメから、ゆしどうふやポーク入り味噌汁、Aランチの謎、猛毒を持つイラブー漁など、知る人ぞ知る沖縄の食文化について、作家・芸術家・詩人・言語学者…色々な職種24人の語る24編のエッセイ集です。
☆ 表紙絵(今回は油絵だそうです)のゴーヤーチャンプルーに、今回も見開きが卵の黄身色、栞はゴーヤーの緑です。沖縄料理と言えば、やはりこの料理が一般に馴染みのある沖縄料理なんでしょうか?
とはいえ、今でこそゴーヤーチャンプルーはレシピ集などにも載ってますが、沖縄に縁の無い私はゴーヤ(苦瓜)なんて大人になるまで見たことありませんでした。
あの苦味が、卵や豆腐の入ったチャンプルーで美味しくなるわよねーと思っていたけど、沖縄生まれの作家・池上栄一氏曰く、
そのゴーヤーはな、本土出荷向けに苦味を抑えて品種改良されたものなんだよ。本物のゴーヤーはな、食べたらすぐに味がわからないくらい苦いんだ。(中略)飲み込んだ後に鼻毛が総毛立つくらいの苦味が全身を襲うんだ。
・・・とか。沖縄の皆様、ホント?そんな激苦なの?
ちなみに本土在住の沖縄出身者を、沖縄料理店に連れて行こうとするのは迷惑だ!自分で作れる、しかも自分で作ったほうが美味しい家庭料理を、何で店に行って食わにゃならんのか!?と、訴える氏の怒りも熱いです(笑)
☆ 面白かったのが、沖縄におけるAランチ。
ルポライター・橋本倫史が取材した、本部町の「ドライブインレストランハワイ」の看板メニューが、1976年の創業当時から変わらぬ看板メニュー・・・それは、Aランチ。
ん?看板メニューがAランチ??と首をかしげた私の認識では、ランチがA・B・Cだった場合メインメニューが違うものですが、ここのお店はそうじゃなく。
Aランチは、手仕込みのサクサクとんかつ・特製ハンバーグ・エビフライ・チキン・ウィンナー・焼肉・玉子焼き・スパゲティーが1つのプレートに収まっている。Bランチはここからエビフライと焼肉が消え、Cランチはさらにチキンカツが姿を消す。つまり、Aランチが一番豪華で、B、Cと少しずつ品数が減ってゆくのだ。
気軽に食べられる量と価格のCランチを「梅」として、品数(比例して価格)が段階的に増やされていった「松」がAランチのようです。腹具合と懐具合で、選べるのが嬉しいですよねぇ。
大人のお子様ランチのようなステキAランチですが、沖縄ではAランチ選手権なるものが開催されるくらい定番っぷり。現地に飛んで、食べ比べしてみたいものです。
☆ 沖縄といえば泡盛ですが、時代によって扱いが変っていった様子が、本のあちこちで出現しました。
1960年 泡盛をのまなきゃ、沖縄に来た甲斐が無いと思っていた岡本太郎氏。何軒か行ったが泡盛はないという。どうもここらの人はあまり泡盛を飲まなくなり、製造業もだんだん衰えて廃業するところも出てきているらしいと知った。
1977年 戦前築かれた泡盛の生産基盤が戦争でつぶれ、復興するまでの間に合わせの酒=洋酒やビールに大衆の嗜好が慣れてしまった・・・と語るのは、沖縄生まれの作家・大城立裕氏。
十数年前までは、泡盛のことをシマーグヮー(島のもの)という蔑称で呼んだこともあるが、このごろそれは無くなった。
でも今、泡盛の質は十分に向上し、現在49社になった泡盛工場の稼働率は80%だが、フル稼働させて、なお古酒蓄積のためには資本力がいるから、そのために協同組合を作って対処する=泡盛の失地回復の動きがあるのだ、と希望が輝きます。
1994年 沖縄旅行にやってきた志茂田景樹氏は、牧志第一公設市場で買った活きのいい食材を、2階の店で料理してもらい、泡盛で堪能しつつ2時間以上も楽しんだ。別の日には伝統的な琉球料理の店で、つつましく丹精込められた繊細な料理と43度の古酒に出会い、ふと思う。
沖縄県人の絆の強さと陽気さは、泡盛をコミュニケーションの座の中心において、長い期間を経て培われたものに違いない。
今や泡盛は力強く復活し、気軽に飲めて、通販でも入手できる沖縄のお酒になっています。県内に限らず、県外どころか海外にも進出する人気ぶり。
・・・と、語ると長くなってきますので、泡盛に関しては、先日入手した別の本で詳しく学びたいと思います。
その他、
向田邦子氏、謎のお菓子「きっぱん」
酒井順子氏、「ぎぼまんじゅう」の「の」の字の秘密
平松洋子氏、「イラブー」漁と滋養強壮「イラブー汁」
伊藤麻由子氏、味噌汁に「ポーク(ランチョンミート)」を入れたい夫
・・・などなど、知らないけどおもしろい食ばかりです。
さて、他の美味しい文藝シリーズはこちら↓(個人的には、「うきうき、中華」なんてどうかなぁ・・・って思うんですが、中華エッセイは少ないのかしら?)
第1弾 ぷくぷく、お肉
第2弾 ずるずる、ラーメン
第3弾 つやつや、ごはん
第4弾 ぐつぐつ、お鍋
第5弾 ぱっちり、朝ごはん
第6弾 ひんやりと、甘味
第7弾 ずっしり、あんこ
第8弾 こんがり、パン
第9弾 まるまる、フルーツ
第10弾 うっとり、チョコレート
第11弾 こぽこぽ、珈琲
第12弾 はればれ、お寿司
第13弾 ちょこっと、つまみ
第14弾 にっこり、洋食




スマホを初めて買いました!その日に飛蚊症になりました(*´Д`)ついでにUSBメモリーが壊れて書きかけレビューが10個消えました・・・(T_T)
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- 33票
| 読んで楽しい: | 22票 | |
|---|---|---|
| 参考になる: | 11票 |
この書評へのコメント
- ef2022-08-26 05:10
随分前、沖縄に出張に行きました。真夏……。
んで、泊ったホテルが三重苦なのよ。暑い! エアコンつけると……すっげウルサイ!というか、部屋自体がガタガタ鳴る。 止める……暑い! その間ずっと湿気ムシムシ。
ほとんど寝られんかったぁ。
んで、沖縄料理楽しみ~。あの頃はまだ若かったからな。寝不足でもせっかくの沖縄なので、仕事をこなした後、お楽しみの夜タイム~!
ホテルでお勧めのお店を聞いていざ出陣!
わぁ。お姉さんがサンシン弾いてくれている~。私、ギターを弾くんですが、三線のピックって水牛の角? なんかすごくごついのを使うんですね~。
いい気分になって、メニュー見たら……。
わかりませ~ん!
沖縄の言葉で書いてあるのだと思うのですが、どういう料理なのかまったく分からない。
しょうがないので、適当に「これと、これと、これでお願いします」みたいに頼んだのだぁ。全部美味しかったぞ!クリックすると、GOOD!と言っているユーザーの一覧を表示します。 - ef2022-08-26 07:06
私にあの時の料理を聞かないでください(笑)。ほとんど闇鍋状態で頼んだ、食べたなので。
う~ん、思っていたよりもさっぱりしていたかなぁ。
ホテルはねえ。私、特別職の国家公務員だったのですが、それでもそういうホテルを使うのです。公務員は贅沢ばかりという批判が多々あるのは承知しておりますが、実情はそんなこと全く無いんだよ。
あの夜以外では、ブダイですか? 青い魚のお刺身が沢山出てきました~。
最初は美味しい! と思って食べていたのですが、3日位、ずっとそればっかり出て来たのでさすがに最後の方は飽きてきたぁ(笑)。
沖縄そば(ソーキそば)も食べたし、フルーツも沢山いただきました(あの当時は珍しかったドラゴンフルーツとか何やらかにやら)。
ヤギ汁も食べてみたかったのですが、現地の職員から「あれはちょっと……」と止められたので(そこを敢えて! とまで言い切れず)食べる機会を逸しました(笑)。
ちょうど、『ちゅらさん』が放送されていた時代でしたよ。
クリックすると、GOOD!と言っているユーザーの一覧を表示します。 - 薄荷2022-08-26 07:39
>efさん
特別職の国家公務員ってなんかすごい響き!でもそのホテルはヤバすぎる…(笑)
沖縄の闇鍋状態は怖すぎますが(笑)ブダイの刺身はキレイ&美味しそう!沖縄そばは、お店によっていろいろ違うらしいですよね~。食べ比べに行きたいですぅぅぅ。
高級&いまだに珍しいドラゴンフルーツとか、スターフルーツとか、こっちにおける柿状態で沖縄は庭で育ててるって…ホントかしらん?羨ましい・・・。
ヤギ汁は食べる人の体質によっては失神、鼻血等の副作用があると噂が・・・真の薬喰いなんでしょうね(^-^;
個人的にはefさんにチャレンジしてほしかった気が・・・(笑)クリックすると、GOOD!と言っているユーザーの一覧を表示します。 
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- 出版社:河出書房新社
- ページ数:0
- ISBN:9784309030388
- 発売日:2022年05月26日
- 価格:1782円
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