三太郎さん
レビュアー:
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日常で何の疑問もなく行っている食習慣が他の地方の人間には驚き、というか「信じられない!」ということも多いようですよ。
著者は日経新聞の記者で、2002年から日経電子版の前身のニッケイ・ネットで読者と双方向での食べ物の記事を作ることになりました。
スタイルは著者が提示した質問に読者が応答するという形で、投票を行い居住地の都道府県ごとに集計するというもの。なるほどと思った結果やちょっと疑問のある結果があったのでいくつか紹介します。
天ぷらにソースをかけかますか?
西日本では多くの県で天ぷらにウースターソースをかけて食べるのだとか。滋賀県に4年間単身赴任していましたが、これは気が付きませんでした。僕の場合はフライにはソースですが、天ぷらは天つゆか塩か醤油です。ウースターソースは使いません。これは東西ではっきり分かれるようです。
納豆に砂糖を入れますか?
これは秋田県など東北の日本海側でよく行われているとか。ところで投票結果では宮城県でも砂糖を入れる人が多いという結果がでていますが、間違いではないかなあ。僕は生まれてから28年間仙台に住んでいましたし、両親も仙台か県内出身です。また奥さんは東京育ちですが義父は仙台育ちでした。しかし僕も奥さんも納豆に砂糖を入れるのを知りませんでした。もしかして、投票者は今は宮城県在住でも元は秋田県出身の方なのかも。
秋田県で納豆に砂糖を入れるのは著者自身が出向いて確認していますが、砂糖を入れると納豆が強く糸を引くのだとか。
また東北地方ではひきわり納豆が食べられるとありますが、僕が仙台で子供の頃に食べたのは大粒の納豆でした。これは東北でも地域差が大きそうです。
あなたにとって「お肉」とは何肉ですか?
これも西と東で綺麗に分かれています。関西を中心に西では「肉」は牛肉を指しますが、東では特にこだわりがなく豚肉も肉と呼びます。新入社員のころ、京都出身の先輩社員に豚入りの肉まんじゅうを「肉まん」と言ったら、それは「豚まん」だとえらく怒られました。なんのこっちゃ、という感じでしたが。ちなみに僕が子供の頃に仙台で食べた肉は豚、鶏とクジラでした。クジラは結構食べた記憶があります。牛は今でもあまり食べないなあ。
ところでこの肉まんないし豚まんですが、関西では辛子をつけて食べ、九州では酢醤油で食べるのが基本らしい。東日本には見られない習慣なのでちょっと驚きました。
年越し魚はブリですか鮭ですか
これも東西ではっきり分かれています。西ではブリを東では鮭を年越しには食べるようです。でも例外は多く、信州や甲州など昔は魚の入手が困難だった地域では特に定まった年越し魚がない傾向があります。またブリでも鮭でもない地域もあります。本書には書かれていませんが、仙台では昔から年越しにはナメタガレイの煮つけを食べます。今でも近所のスーパーには年末が近づくとナメタガレイが並びますが、大晦日が近づくにつれて価格が上昇するようです。
ぜんざいかおしるこか
お餅が入った甘い小豆のお汁をぜんざいと呼ぶかおしること呼ぶかも東西ではっきり分かれています。もっとも西のぜんざいは粒あんの汁ですが、東のおしるこはこしあんの汁です。仙台でもこしあんのお汁粉をお正月に食べます。なお東京ではぜんざいというと、汁のない粒あんのことだとか。粒あんのお汁は田舎汁と呼ぶのだとか。京都の人が聞いたら怒りそう。
多くの食習慣で東西の分離が見られますが、地域限定の食習慣、例えば昆虫食やイルカ食なども日本にはまだ多くあります。本書にはありませんが、在来種のイチジクの実を甘露煮にして食べる習慣は仙台を中心にかなり限られた地域のものだとか。子供の頃は庭のイチジクを使ってよく食べていたので、仙台出身の作家、佐伯一麦氏の指摘を読んでちょっと意外でした。近所のスーパーには季節になると甘露煮用の小さな青いイチジクが棚に並んでいます。
食習慣の違いというのはまだまだいくらでも発掘できそうです。
スタイルは著者が提示した質問に読者が応答するという形で、投票を行い居住地の都道府県ごとに集計するというもの。なるほどと思った結果やちょっと疑問のある結果があったのでいくつか紹介します。
天ぷらにソースをかけかますか?
西日本では多くの県で天ぷらにウースターソースをかけて食べるのだとか。滋賀県に4年間単身赴任していましたが、これは気が付きませんでした。僕の場合はフライにはソースですが、天ぷらは天つゆか塩か醤油です。ウースターソースは使いません。これは東西ではっきり分かれるようです。
納豆に砂糖を入れますか?
これは秋田県など東北の日本海側でよく行われているとか。ところで投票結果では宮城県でも砂糖を入れる人が多いという結果がでていますが、間違いではないかなあ。僕は生まれてから28年間仙台に住んでいましたし、両親も仙台か県内出身です。また奥さんは東京育ちですが義父は仙台育ちでした。しかし僕も奥さんも納豆に砂糖を入れるのを知りませんでした。もしかして、投票者は今は宮城県在住でも元は秋田県出身の方なのかも。
秋田県で納豆に砂糖を入れるのは著者自身が出向いて確認していますが、砂糖を入れると納豆が強く糸を引くのだとか。
また東北地方ではひきわり納豆が食べられるとありますが、僕が仙台で子供の頃に食べたのは大粒の納豆でした。これは東北でも地域差が大きそうです。
あなたにとって「お肉」とは何肉ですか?
これも西と東で綺麗に分かれています。関西を中心に西では「肉」は牛肉を指しますが、東では特にこだわりがなく豚肉も肉と呼びます。新入社員のころ、京都出身の先輩社員に豚入りの肉まんじゅうを「肉まん」と言ったら、それは「豚まん」だとえらく怒られました。なんのこっちゃ、という感じでしたが。ちなみに僕が子供の頃に仙台で食べた肉は豚、鶏とクジラでした。クジラは結構食べた記憶があります。牛は今でもあまり食べないなあ。
ところでこの肉まんないし豚まんですが、関西では辛子をつけて食べ、九州では酢醤油で食べるのが基本らしい。東日本には見られない習慣なのでちょっと驚きました。
年越し魚はブリですか鮭ですか
これも東西ではっきり分かれています。西ではブリを東では鮭を年越しには食べるようです。でも例外は多く、信州や甲州など昔は魚の入手が困難だった地域では特に定まった年越し魚がない傾向があります。またブリでも鮭でもない地域もあります。本書には書かれていませんが、仙台では昔から年越しにはナメタガレイの煮つけを食べます。今でも近所のスーパーには年末が近づくとナメタガレイが並びますが、大晦日が近づくにつれて価格が上昇するようです。
ぜんざいかおしるこか
お餅が入った甘い小豆のお汁をぜんざいと呼ぶかおしること呼ぶかも東西ではっきり分かれています。もっとも西のぜんざいは粒あんの汁ですが、東のおしるこはこしあんの汁です。仙台でもこしあんのお汁粉をお正月に食べます。なお東京ではぜんざいというと、汁のない粒あんのことだとか。粒あんのお汁は田舎汁と呼ぶのだとか。京都の人が聞いたら怒りそう。
多くの食習慣で東西の分離が見られますが、地域限定の食習慣、例えば昆虫食やイルカ食なども日本にはまだ多くあります。本書にはありませんが、在来種のイチジクの実を甘露煮にして食べる習慣は仙台を中心にかなり限られた地域のものだとか。子供の頃は庭のイチジクを使ってよく食べていたので、仙台出身の作家、佐伯一麦氏の指摘を読んでちょっと意外でした。近所のスーパーには季節になると甘露煮用の小さな青いイチジクが棚に並んでいます。
食習慣の違いというのはまだまだいくらでも発掘できそうです。
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1957年、仙台に生まれ、結婚後10年間世田谷に住み、その後20余年横浜に住み、現在は仙台在住。本を読んで、思ったことあれこれを書いていきます。
長年、化学メーカーの研究者でした。2019年から滋賀県で大学の教員になりましたが、2023年3月に退職し、10月からは故郷の仙台に戻りました。プロフィールの写真は還暦前に米国ピッツバーグの岡の上で撮ったものです。
この書評へのコメント
- 三太郎2025-06-26 14:55
たけぞうさん、爽風上々さん、コメントありがとうございます。
愛知県は東西の食文化の境界線に近いですが、この本の調査結果によるとぜんざい/お汁粉では西に入り、豚まん/肉まんでは東側に入るようです。天ぷらをソースで食べるかどうかでは、愛知県は東西の中間みたいでした。愛知は豆味噌の食文化に特徴がありますから、東西どちらとも言えないようですね。
この本でそうか、と思ったのはかつ丼の地域差です。かつ丼というと豚かつを出汁で煮てとき卵でとじるのものと思っていましたが、トンカツをソースに漬けてご飯に載せるタイプのかつ丼を食べる地域が結構広くあることを知りました。そういえば仙台のお弁当売り場で、ソースをかけたトンカツをご飯に載せただけのかつ丼を見かけますが、ソースで食べるかつ丼文化の影響なのかも。クリックすると、GOOD!と言っているユーザーの一覧を表示します。 - keena071511292025-06-28 13:36
>豚まん
僕は“豚まん”って
食べものの名前じゃなくて
商品名じゃないかと思うのです
京都出身の僕にとって
“肉まん”といえば蓬莱の“豚まん”なのですが
関東って蓬莱がないんですよね
これには本当に驚きました
しかも 関東の“肉まん”はどれもマズい!
これも驚きですクリックすると、GOOD!と言っているユーザーの一覧を表示します。 
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- 出版社:筑摩書房
- ページ数:0
- ISBN:9784480435286
- 発売日:2018年07月06日
- 価格:968円
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