morimoriさん
レビュアー:
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2011年3月11日日津波に吞み込まれた日本製紙石巻工場。工場長を筆頭に従業員たちの戦いが、佐々涼子氏の取材によって傑作ノンフィクションとなった。
ノンフィクション作家の佐々涼子氏が9月に亡くなった。まだ56歳という年齢で、とても残念だ。読もうと思っていた「紙つなげ!」を手に取った。この作品を読まなかったら、製紙工場の人達の奮闘を知ることができなかった。さらに、紙を作ることの大切さ、本の種類によって適した紙が違うということを改めて知ることができた。
東日本大震災といえば、地震だけでなく津波の被害が大きかったことはテレビを通して伝わってきたが、製紙工場の被害は佐々氏の取材がなければ伝わらなかったのだと思う。出版用紙の製造マシンである8号機が停まってしまうと日本の出版が危うくなるという。掲載されている写真を見ると工場内には、絶望的な被害が広がり、流れ込んだ瓦礫を人の手で撤去したり、流出したパルプを回収したりと想像以上に過酷な情況の中、ひとりひとりの力を集結して再生へとつなげた様子は読み手にも痛いほど伝わってきた。
日本製紙石巻工場のほかにも、1986年旧十条製紙石巻工場で発足した日本製紙石巻硬式野球部の話や震災にあった中でも良い話ばかりではなく、バットを持って店舗に侵入し窃盗する者の存在も綴られていた。石巻の人達のご苦労を少しでも知ることができたことは、これから本を読む上でも大切にしたいと思う。最後に佐々さんが取材を終えて、工場の運転手さんに仙台駅まで送ってもらう時の会話が特に印象的だった。石巻の人達は実直な人が多いのだということが伝わる描写だった。運転手さんが佐々さんにまた来てくださいと言ったのに、それは叶わなかったのだろうか。
東日本大震災といえば、地震だけでなく津波の被害が大きかったことはテレビを通して伝わってきたが、製紙工場の被害は佐々氏の取材がなければ伝わらなかったのだと思う。出版用紙の製造マシンである8号機が停まってしまうと日本の出版が危うくなるという。掲載されている写真を見ると工場内には、絶望的な被害が広がり、流れ込んだ瓦礫を人の手で撤去したり、流出したパルプを回収したりと想像以上に過酷な情況の中、ひとりひとりの力を集結して再生へとつなげた様子は読み手にも痛いほど伝わってきた。
日本製紙石巻工場のほかにも、1986年旧十条製紙石巻工場で発足した日本製紙石巻硬式野球部の話や震災にあった中でも良い話ばかりではなく、バットを持って店舗に侵入し窃盗する者の存在も綴られていた。石巻の人達のご苦労を少しでも知ることができたことは、これから本を読む上でも大切にしたいと思う。最後に佐々さんが取材を終えて、工場の運転手さんに仙台駅まで送ってもらう時の会話が特に印象的だった。石巻の人達は実直な人が多いのだということが伝わる描写だった。運転手さんが佐々さんにまた来てくださいと言ったのに、それは叶わなかったのだろうか。
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多くの人のレビューを拝見して、読書の幅が広がっていくのが楽しみです。感動した本、おもしろかった本をレビューを通して伝えることができればと思っています。
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- ISBN:9784150504861
- 発売日:2017年02月09日
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