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祐太郎さん
祐太郎
レビュアー:
男たるもの金持ちじゃなくて「王」になれ。東欧の小国(地域)モルドヴァの人々の思い。
ウクライナの西側に細長くある内陸国、それがモルドバ共和国である。しかし、同国はモルドバ文化圏のうち小さい区域でしかない。ルーマニアの北東部とウクライナの南西部(オデッサの西側)の海辺も含めて「モルドヴィア」と呼ばれている。

14世紀半ばにボグダニア公国(後のモルダヴィア公国)が建国されたあと、15世紀に最盛期を迎えたもののその後はオスマン=トルコとロシアに挟まれ、トルコの属国になったり、現在のモルドバ共和国部分がロシアに編入されたりと小国の悲哀を味わってきた。

本書は、そんなモルドヴィアの民話である。詳しくはぽんきちさんの書評を見ていただきたい。私が考えたいのは、この本で紹介されている民話のほぼすべてが、最後には国王になるか宮殿の主になっている。日本の民話だと、ほとんどが「長者」どまりなのと対照的である。自国の権力者を超える勢力があるなかで、「地主」程度だとダメ、トップにならなければならないのだろう。そして、多くの話は3人の兄弟の話であり、最終的に末っ子がのし上がっていく。ロシアとトルコという上の兄たちを打ち破る末っ子モルドヴァという想いが込められているのかなと思いつつ読んでいた。

もう一つ面白いのは、ヒロインとなる女性の存在。日本なら「お姫様」みたいな表現なのだろうが、「イリーリャ コスンズィアーナ(Ilyana Konsziyyana)」という名前が与えられている。日本語にするとなんという意味になるのだろうか。

それにしてもモルドヴァもユーラシア大陸の広い空間の中に位置づけられているんだなと思うのは、話も時間的空間的大きさ。平気で何年間も地上や天空を進んでいく。その距離はモルドヴァの区域をはるかに凌駕する。周囲を海に囲まれた日本だとその発想は出てこない。

自然豊かなモルドヴァの民話をお楽しみください。
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祐太郎
祐太郎 さん本が好き!免許皆伝(書評数:2350 件)

片道45分の通勤電車を利用して読書している
アラフィフ世代の3児の父。

★基準
★★★★★:新刊(定価)で買ってでも満足できる本
★★★★:新古書価格・kindleで買ったり、図書館で予約待ちしてでも満足できる本
★★★:100均価格で買ったり図書館で何気なくあって借りるなら満足できる本
★★:どうしても本がないときの時間つぶし程度ならいいのでは?
★:う~ん
★なし:雑誌などの一言書評

※仕事関係の本はすべて★★★で統一します。

プロフィールの画像はうちの末っ子の似顔絵を田中かえが描いたものです。
2024年3月20日更新

読んで楽しい:4票
参考になる:19票
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