たけぞうさん
レビュアー:
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直木賞受賞はもっと早いほうがよかった。
デビュー作からしばらく追いかけていた作家さんです。
ある作品をきっかけに距離をおき、しばらく時間がたちました。
本作が直木賞候補となったことを知り、書誌情報でよさそうな印象を
受けたので図書館に予約を入れ、その後に直木賞受賞となり
どんな作品だろうと思っていました。
全五篇の短篇集です。
各話とも、星座にふれる描写が少しあり、
それぞれの扉絵が星座を印象づけていて、いい雰囲気があります。
各話とも恋愛がからんでいて、登場人物たちのエゴが
いろいろな形で噴出しています。
万人受けしそうな失恋話や、不倫話、片思いの話などが目につきました。
一話目、真夜中のアボカド。
扉絵はふたご座のジェミニで、カストルとポルックスと書いてあります。
寄り添うように二人の女の子が小さく書かれています。
主人公は綾。ちょっと前まで、双子の妹がいました。
そう、過去形なのです。
妹の弓は、二十九才で脳出血で突然亡くなったのです。
綾は婚活アプリで恋人を探しています。
この人いいかもと思ったのが、二才年上の麻生さん。
でも、コロナの自粛期間に入り、連絡は滞りがちです。
綾に、定期的に連絡をしてくる人がいます。
弓が結婚するつもりだった村瀬君です。
弓の死があまりにも突然だったから、
二人とも弓の不在を受け止めきれないのです。
恋愛感情、友情、同情と揺れ動くままに、
喪失と再生を紡いでいく物語です。
短篇なので展開が少ないのは仕方ないとしても、
予定調和すぎるかなという印象でした。
しかし、二話目、三話目と読み進めても、印象は変わりません。
物語がきれいに成形されているだけに、引っかかりを感じない
無難感がありました。
つまらないわけではないのです。
しかし、初期に追いかけていた頃の独特の迫力を思い出すと、
窪美澄さんの実力はこんなものじゃないんだよなと、
釈然としない思いが残りました。
この作品が直木賞だからと読むよりは、わたしは初期の作品を
手に取ることをお薦めします。
しかし、もうひとつ引っかかることがあります。
かつて著者のインタビューを読んだ時に、読者の手ごたえのなさに
悩んでいたようで、かなり激しい作品を発表したことがあります。
わたしはそれがきっかけで距離を置いたのですが、
逆に今回の万人受けしそうな作品が著者の目指したもので
あるならばと思うと、複雑な気持ちになるのでした。
ある作品をきっかけに距離をおき、しばらく時間がたちました。
本作が直木賞候補となったことを知り、書誌情報でよさそうな印象を
受けたので図書館に予約を入れ、その後に直木賞受賞となり
どんな作品だろうと思っていました。
全五篇の短篇集です。
各話とも、星座にふれる描写が少しあり、
それぞれの扉絵が星座を印象づけていて、いい雰囲気があります。
各話とも恋愛がからんでいて、登場人物たちのエゴが
いろいろな形で噴出しています。
万人受けしそうな失恋話や、不倫話、片思いの話などが目につきました。
一話目、真夜中のアボカド。
扉絵はふたご座のジェミニで、カストルとポルックスと書いてあります。
寄り添うように二人の女の子が小さく書かれています。
主人公は綾。ちょっと前まで、双子の妹がいました。
そう、過去形なのです。
妹の弓は、二十九才で脳出血で突然亡くなったのです。
綾は婚活アプリで恋人を探しています。
この人いいかもと思ったのが、二才年上の麻生さん。
でも、コロナの自粛期間に入り、連絡は滞りがちです。
綾に、定期的に連絡をしてくる人がいます。
弓が結婚するつもりだった村瀬君です。
弓の死があまりにも突然だったから、
二人とも弓の不在を受け止めきれないのです。
恋愛感情、友情、同情と揺れ動くままに、
喪失と再生を紡いでいく物語です。
短篇なので展開が少ないのは仕方ないとしても、
予定調和すぎるかなという印象でした。
しかし、二話目、三話目と読み進めても、印象は変わりません。
物語がきれいに成形されているだけに、引っかかりを感じない
無難感がありました。
つまらないわけではないのです。
しかし、初期に追いかけていた頃の独特の迫力を思い出すと、
窪美澄さんの実力はこんなものじゃないんだよなと、
釈然としない思いが残りました。
この作品が直木賞だからと読むよりは、わたしは初期の作品を
手に取ることをお薦めします。
しかし、もうひとつ引っかかることがあります。
かつて著者のインタビューを読んだ時に、読者の手ごたえのなさに
悩んでいたようで、かなり激しい作品を発表したことがあります。
わたしはそれがきっかけで距離を置いたのですが、
逆に今回の万人受けしそうな作品が著者の目指したもので
あるならばと思うと、複雑な気持ちになるのでした。
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ふとしたことで始めた書評書き。読んだ感覚が違うことを知るのは、とても大事だと思うようになりました。本が好き! の場と、参加している皆さんのおかげです。
星の数は自分のお気に入り度で、趣味や主観に基づいています。たとえ自分の趣味に合わなくても、作品の特徴を書評で分かるようにしようと務めています。星が低くても作品がつまらないという意味ではありません。
自己紹介ページの二番目のアドレスは「飲んでみた」の書評です。
三番目のアドレスは「お絵描き書評の部屋」で、皆さんの「描いてみた」が読めます。
四番目のアドレスは「作ってみた」の書評です。
よかったらのぞいてみて下さい。
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- 出版社:文藝春秋
- ページ数:0
- ISBN:9784163915418
- 発売日:2022年05月24日
- 価格:1540円
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