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DBさん
DB
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猫としもべの日常の本
カドブン2022参加書評です。
群ようこ作品は猫関係のエッセイが多いのは知っていたが、初めて手に取りました。
「しいちゃん」と名付けた猫との日常を切り取ったエッセイです。
表紙になっているしいちゃんは富士額の白黒猫で、平成十年のゴールデンウィークに著者の住むマンションの敷地内で声がかれるほど泣き叫んでいたのを拾われてきたそうだ。
隣に住む友人の飼っていたハンサムなシャムネコが「ビーちゃん」だったので「しいちゃん」になったとか。
顔つきや態度を見て男の子だと思っていたら、獣医さんで「二カ月くらいの女の子ですね」と言われたそうです。
こうして女王様と乳母の生活が始まる。

しいちゃんは拾われた恩をどう思っているのか、先輩のビーちゃんには動く玩具とばかりに隙あらば飛びついてビーちゃんに悲鳴をあげさせている。
まあ子猫ってそんなものだけどね。
外猫たちにも強気の姿勢でいつも自信満々だったけど、十二歳になった頃に喧嘩に負けたかいじめられたかして以来お外へ出ていくことはなくなったそうだ。

女王様らしくしいちゃんは猫缶を選り好みして出されても食べることなく催促し続け、何種類もプレートに並べて懐石のようになるという。
しかも今日気に入って食べていた猫缶も明日になると食べない。
気まぐれの我儘猫と呼ばれるにふさわしいが、乳母役を自ら任じる著者がしいちゃんの気に入るようなお食事を用意する姿に愛を感じます。
しいちゃんがようやく気に入った餌を食べて満足そうにしていると可愛いという著者の負けでしょう。
食べない方が多いのでお食事代は一日千円くらいかかるそうです。

猫が病院嫌いなのもどこでも同じらしいが、しいちゃんはキャリーバッグに入れられてタクシーで病院に連れられて行く間ずっと「ぎええええええええーっ」と絶叫するそうです。
その割には病院につくとおとなしくて別猫になる。
獣医さんとしてはとってもいい子なんだろう。

しいちゃんの声が「うああ、うあああ」「あーっ、あーっ」「しゃあああ」「きええええ」「にゃー」「わあああ」「あんっ」「んー」と様々に表現されているのが面白い。
夜中に何度も起こされたり、著者がお出かけすると不機嫌になったり、マッサージを命じたりと女王様っぷりが次々に書かれていきます。
還暦を過ぎたという著者としいちゃんの日常と愛情を描いたエッセイだった。
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DB
DB さん本が好き!1級(書評数:2033 件)

好きなジャンルは歴史、幻想、SF、科学です。あまり読まないのは恋愛物と流行り物。興味がないのはハウツー本と経済書。読んだ本を自分の好みというフィルターにかけて紹介していきますので、どうぞよろしくお願いします。

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