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あかちゃんの取り違えが、その後の人生に悲劇を与える。
 感動的な人間ドラマ。しかしミステリー作家第一人者の伊岡ゆえ、質の高いミステリー作品にもなっている。
物語の時代は1988年。そして物語の起点は、20年前の1968年。その年、7月。静岡県の清水に近い千里見町に台風が襲い、町の中心を流れている千里見川が氾濫、大きな土砂崩れが起きる。
その時、製材屋をしていた有村家は両親と生まれたばかりの長男アキヒロ3人で嵐の中、三島にいる父親の弟の家に避難するため家を出る。しかしその道程で、土砂崩れが起き、道が通れなくなる。そのため、車から出て、避難中継地まで歩くことになる。その途中で母親がアキヒロを落とし、アキヒロの行方がわからなくなる。
そのアキヒロは捜索していた消防団員により、救出されたのだが、同じような状況で別の赤ちゃんが不明になっていた、それでアキヒロは別の夫婦に渡されて20年後を迎える。
アキヒロの名前は津村裕二となっていた。
その津村が、千里見町に現れ、すでに廃業した旅館清風館に、宿泊させて欲しいと懇願。清風館の女将が了解して宿泊することになる。この清風館には高校3年の娘千遥がいた。
アキヒロは、間違えて父親になってしまった男に車への当たり屋を強制され、いつもケガが絶えず、やがてこの当たり屋がばれ男が逮捕され、母親も逃げたため、保護施設に預けられる。ここに、アキヒロを養子にしたいという坂井が倉持という弁護士とともに現れ、アキヒロは坂井裕二となり、坂井に引き取られる。坂井は独身で豪邸住まい、女中の鈴村と2人で生活していた。
物語はアキヒロが津村家の息子となり、その後、20年間どんな生活をして、何故20年後に千里見町の清風館に宿泊にやってきたのか、この過程を、清風館の娘千遥との交流を含めて描かれる。
その際、狂言回しとして大事な役割をする男矢木沢が登場する。
実は矢木沢も不幸なもとに生まれ、児童養護施設に育ち、そして坂井が登場して、坂井の仲介で矢木沢家の養子となる。実は、坂井は児童養護施設から5人の子供を引き取っていたが、自分の子供にしたのはアキヒロのみで、後はすべて別の家を養子縁組として紹介していた。
矢木沢は何故アキヒロだけが、養子として坂井に引き取られ優雅な生活を送れるのかを調査して、その真実を徐々に明らかにして、その都度その理由をアキヒロに教える。ここが、上質なミステリーとなっていて、読者を離さない。うまいものだと感心する。
現在、能登半島地震が大災害となり、死者不明者がたくさんでている。今はDNA鑑定をして、死者、被災者の本人確認がなされるから、取違など起きないとは思うが、しかしそれでも心配になる。
それから、アキヒロが、父親から強制され走ってくる車に飛び込むところは、悲しさがこみあげてきてたまらなくなった。
物語の時代は1988年。そして物語の起点は、20年前の1968年。その年、7月。静岡県の清水に近い千里見町に台風が襲い、町の中心を流れている千里見川が氾濫、大きな土砂崩れが起きる。
その時、製材屋をしていた有村家は両親と生まれたばかりの長男アキヒロ3人で嵐の中、三島にいる父親の弟の家に避難するため家を出る。しかしその道程で、土砂崩れが起き、道が通れなくなる。そのため、車から出て、避難中継地まで歩くことになる。その途中で母親がアキヒロを落とし、アキヒロの行方がわからなくなる。
そのアキヒロは捜索していた消防団員により、救出されたのだが、同じような状況で別の赤ちゃんが不明になっていた、それでアキヒロは別の夫婦に渡されて20年後を迎える。
アキヒロの名前は津村裕二となっていた。
その津村が、千里見町に現れ、すでに廃業した旅館清風館に、宿泊させて欲しいと懇願。清風館の女将が了解して宿泊することになる。この清風館には高校3年の娘千遥がいた。
アキヒロは、間違えて父親になってしまった男に車への当たり屋を強制され、いつもケガが絶えず、やがてこの当たり屋がばれ男が逮捕され、母親も逃げたため、保護施設に預けられる。ここに、アキヒロを養子にしたいという坂井が倉持という弁護士とともに現れ、アキヒロは坂井裕二となり、坂井に引き取られる。坂井は独身で豪邸住まい、女中の鈴村と2人で生活していた。
物語はアキヒロが津村家の息子となり、その後、20年間どんな生活をして、何故20年後に千里見町の清風館に宿泊にやってきたのか、この過程を、清風館の娘千遥との交流を含めて描かれる。
その際、狂言回しとして大事な役割をする男矢木沢が登場する。
実は矢木沢も不幸なもとに生まれ、児童養護施設に育ち、そして坂井が登場して、坂井の仲介で矢木沢家の養子となる。実は、坂井は児童養護施設から5人の子供を引き取っていたが、自分の子供にしたのはアキヒロのみで、後はすべて別の家を養子縁組として紹介していた。
矢木沢は何故アキヒロだけが、養子として坂井に引き取られ優雅な生活を送れるのかを調査して、その真実を徐々に明らかにして、その都度その理由をアキヒロに教える。ここが、上質なミステリーとなっていて、読者を離さない。うまいものだと感心する。
現在、能登半島地震が大災害となり、死者不明者がたくさんでている。今はDNA鑑定をして、死者、被災者の本人確認がなされるから、取違など起きないとは思うが、しかしそれでも心配になる。
それから、アキヒロが、父親から強制され走ってくる車に飛び込むところは、悲しさがこみあげてきてたまらなくなった。
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昔から活字中毒症。字さえあれば辞書でも見飽きないです。
年金暮らしになりましたので、毎日読書三昧です。一日2冊までを限度に読んでいます。
お金がないので、文庫、それも中古と情けない状態ですが、書評を掲載させて頂きます。よろしくお願いします。
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- ISBN:B09QQ66233
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