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多くの言語が存在する一方で、失われつつある言語もあるそう。その喪失の損失を嘆くより、いまある言語について知っておきたい。そんな思いに少しでも応えてくれる1冊。著者が言語学者ではないところも面白い。
世界には7000もの言語があるそうだ。
7000!
英語が“公用語”という短絡的な議論がある一方で、そんなにも膨大な言語が存在していたとは!
言語の数は、それだけ独特な文化の数を示しているはず。
もちろん、共通の言語下でも異なる生活文化はひろがっている。
ただ、7000もの独特な文化もあるという単純な理解は、極端に間違ってはいないはず。
なぜに、こんなにも独特の言語が存在するのだろう。
「旧約聖書」に登場するバベルの塔。
人は天高く塔を築き上げていったけど、神の怒りを誘ってしまい、それまで1つだった言葉を混乱させて意思疎通ができないようにして、塔の建設工事が継続できなくなった、とか。
その塔が地名由来のバベルの塔。
多くの言語が溢れ、意思疎通ができない様が軸に組み立てられた説話なのだろう。
映画「バベル」は異なる言語であるため、意思疎通がうまくいかない悲劇を巧みに描きあげていた。
7000もの異なる言語は、単なる分断を意味するのか。
その解は「否」と思う。
“公用語”たる英語を話すことができれば、なんでもOKというわけではないし、通訳がいれば大丈夫というわけでもない。
先にも書いたが、言葉と文化は密接な関係があるはず。
ただ言葉を翻訳しても真意が伝わるとは限らない。
日本語でも地域より解釈が変わる言葉はいくらでもある。
京ことばの解釈の難しさは、さまざまな場面で耳にしてきた。
言語の差、そして異なる言語の多さは、分断を意味するわけではけっしてない、はず。
少なくともそう信じたい。
多くの言語があるということは、多くの文化で溢れているということ。
それを理解しようという気持ち、歩み寄ろうとする態度があれば、異なる言語同士でも距離が近くなることは珍しくない。
海外で活躍するスポーツ選手のみんなが、語学堪能とは言い切れないが、一つの共通する競技のもと参集することで、分かりあえることはありふれた情景ともいえる。
本書の著者は、現在のセルビアの中央にあるゴル二・ミラノバツという都市で生まれたそうだ。
生まれた時はユーゴスラビアと呼ばれていたが、その国は6つの共和国とセルビア内の2つの自治州となった。
公用語はセルビア・クロアチア語であったが、言語も分断し、セルビア語、クロアチア語、ボスニア語、モンテネグロ語になったそうだ。
でも、それぞれの言語でも相互理解はできるそうだ。
さらに、ユーゴスラビアではほかにもスロベニア語、マケドニア語、ハンガリー語、ルーマニア語、スロバキア語、チェコ語、イタリア語、アルバニア語、ポーランド語などなど、さまざまな言語が飛び交っていたという。
子どものころ、それほど多くの言語が日常にある毎日を過ごしていた著者が、言語そのものに興味を抱いたのは普通のことだったのかもしれない。
国営テレビはニュースや文化・芸術番組をさまざまな言語で放映していて、自分の知らない言語に耳を傾けるのが好きで、分かる言語がないか聞き取ろうとしていたとか。
なかなか日本では考えられない状況だけど、そのおかげで本書の出版に結実しているから、この世は面白い。
そして、著者のこの考え方、姿勢に、異なる言語の存在が、そのまま分断を意味しないことがみてとれる。
大切なのは、相手を理解しようとする気持ちなのだと思う。
7000!
英語が“公用語”という短絡的な議論がある一方で、そんなにも膨大な言語が存在していたとは!
言語の数は、それだけ独特な文化の数を示しているはず。
もちろん、共通の言語下でも異なる生活文化はひろがっている。
ただ、7000もの独特な文化もあるという単純な理解は、極端に間違ってはいないはず。
なぜに、こんなにも独特の言語が存在するのだろう。
「旧約聖書」に登場するバベルの塔。
人は天高く塔を築き上げていったけど、神の怒りを誘ってしまい、それまで1つだった言葉を混乱させて意思疎通ができないようにして、塔の建設工事が継続できなくなった、とか。
その塔が地名由来のバベルの塔。
多くの言語が溢れ、意思疎通ができない様が軸に組み立てられた説話なのだろう。
映画「バベル」は異なる言語であるため、意思疎通がうまくいかない悲劇を巧みに描きあげていた。
7000もの異なる言語は、単なる分断を意味するのか。
その解は「否」と思う。
“公用語”たる英語を話すことができれば、なんでもOKというわけではないし、通訳がいれば大丈夫というわけでもない。
先にも書いたが、言葉と文化は密接な関係があるはず。
ただ言葉を翻訳しても真意が伝わるとは限らない。
日本語でも地域より解釈が変わる言葉はいくらでもある。
京ことばの解釈の難しさは、さまざまな場面で耳にしてきた。
言語の差、そして異なる言語の多さは、分断を意味するわけではけっしてない、はず。
少なくともそう信じたい。
多くの言語があるということは、多くの文化で溢れているということ。
それを理解しようという気持ち、歩み寄ろうとする態度があれば、異なる言語同士でも距離が近くなることは珍しくない。
海外で活躍するスポーツ選手のみんなが、語学堪能とは言い切れないが、一つの共通する競技のもと参集することで、分かりあえることはありふれた情景ともいえる。
本書の著者は、現在のセルビアの中央にあるゴル二・ミラノバツという都市で生まれたそうだ。
生まれた時はユーゴスラビアと呼ばれていたが、その国は6つの共和国とセルビア内の2つの自治州となった。
公用語はセルビア・クロアチア語であったが、言語も分断し、セルビア語、クロアチア語、ボスニア語、モンテネグロ語になったそうだ。
でも、それぞれの言語でも相互理解はできるそうだ。
さらに、ユーゴスラビアではほかにもスロベニア語、マケドニア語、ハンガリー語、ルーマニア語、スロバキア語、チェコ語、イタリア語、アルバニア語、ポーランド語などなど、さまざまな言語が飛び交っていたという。
子どものころ、それほど多くの言語が日常にある毎日を過ごしていた著者が、言語そのものに興味を抱いたのは普通のことだったのかもしれない。
国営テレビはニュースや文化・芸術番組をさまざまな言語で放映していて、自分の知らない言語に耳を傾けるのが好きで、分かる言語がないか聞き取ろうとしていたとか。
なかなか日本では考えられない状況だけど、そのおかげで本書の出版に結実しているから、この世は面白い。
そして、著者のこの考え方、姿勢に、異なる言語の存在が、そのまま分断を意味しないことがみてとれる。
大切なのは、相手を理解しようとする気持ちなのだと思う。
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ここに参加するようになって、読書の幅が広がったように思います。
それでも、まだ偏り気味。
いろんな人の書評を参考に、もっと幅広い読書を楽しみたい!
この書評へのコメント

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- 出版社:日経ナショナルジオグラフィック社
- ページ数:0
- ISBN:9784863135314
- 発売日:2022年06月17日
- 価格:2750円
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