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休蔵さん
休蔵
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戦国時代の主要戦を、13歳をターゲットに優しく、それでいて詳しく解説した概説書。歴史の授業が本格化する中学1年生の時に出会いたかった1冊。
 戦国時代の戦には、学校の授業だったり、本だったり、テレビだったりと、様々な媒体を通じて、それぞれが出会うもの。
 同じ戦を素材としても、難しすぎたり、疑わしい内容を含んでいたりといろいろである。
 本書は活字を読む単行本という形態を媒体とし、「13歳」をキーワードに据えたところに特徴がある。

 本書では桶狭間の戦い、三方ヶ原の戦い、長篠の戦い、本能寺の変、中国大返し、関ケ原の戦いと誰もが知るものばかりを取り上げる。
 もちろん、それ以外の戦やトピックも軽めに紹介する。
 織田信長と明智光秀の関係性にも1章を割く。
 時間軸に沿った仕上がりではあるが、どの章からも楽しむことができる。

 戦の紹介の仕方は、単なる解説とはなっていない。
 もちろん概要を解説するものの、それに加えて主要人物にも状況を語らせているのだ。
 解説も分かりやすい。
 例えば、中国大返しの元となった高松城の水攻め。
 本能寺の変による信長の訃報を受けた秀吉軍は、一刻も早く京に馳せ参じたい気持ちであふれていたはず。
 しかしながら、目の前の清水宗治と周辺の毛利軍がその邪魔となる。
 しれっと京へと東進したいところだが、その際に毛利軍から背後を突かれるわけにはいかない。
 そこで講和となるのだが、黒田官兵衛は妥協しない姿勢を示している。
 「じゃ、仲直りの条件すね。」と軽めに切り出しながら、
 「1.備中、備後、美作、伯耆、出雲の、5ヶ国をもらう。
  2.備中高松城をもらう。
  3.毛利から人質をもらう。
  で、大丈夫です!」ときた。
 あくまで強気。
 決して講和を急いでいるとは相手方に悟らせない態度だ。
 それを官兵衛自身に軽めに語らせるところが良い。
 あくまで急いでいる風を悟らせないため、その気持ち13歳にも理解してもらうため、軽めの語り口で表現しているのだ。

 とはいえ、本書は軽めのテイストでは終わらせない。
 各戦の戦況は当然のこととして、時代背景、関係する人物の人間性まで、きちんと解説してくれる。
 時間軸に則した章立てであるが、信長と光秀を取り上げた章を本能寺の変の次に置く。
 本能寺の変を光秀が起こした理由は不明と明記した後、それぞれの人物について詳述する。
 分からない理由を、読書が想像できるように章立てしてくれているのだ。

 歴史を勉強することは、現代を知るうえでも不可欠なこと。
 でも年号ばかりを覚えさせる勉強法なんて、誰が好き好んでやるものか。
 難しいことを難しく教えられても、ただ眠たくなるだけ。
 何事も興味を持たせる工夫から始めた方が、教育は手っ取り早いと思う。
 もちろん、マンガで学ぶものそんな方法も一つだろう。
 そして、本書は「13歳」がキーワード。
 中学生になったから、そろそろマンガ以外の媒体にも歩を進める人もいるはず。
 本書はそのきっかけとして最適な1冊と言えよう。
 
 
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休蔵
休蔵 さん本が好き!1級(書評数:450 件)

 ここに参加するようになって、読書の幅が広がったように思います。
 それでも、まだ偏り気味。
 いろんな人の書評を参考に、もっと幅広い読書を楽しみたい! 

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