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三太郎さん
三太郎
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大阪市内の公立中学の三年生たちのある一年を描く。
津村記久子氏が2013年に発表した長編小説。中学校を舞台にした学園ものと言えるのだろうか。しかし大事件などは起きない。一件だけいじめの事件が起きるが、担任の女性教師が探偵のように真相を調べて見事に解決する。中学校の先生も大変だなあ。

主人公は中学三年の山田ヒロシ、それに友人の矢澤を中心に中学最後の1年間を描いていく。他の主要登場人物は同じクラスの女子が野末、大土居、増田。それに他の中学のフジワラ(男子)とフルノ(女子)。登場人物が漢字表記の場合とカタカナ表記しかない場合があるが、その理由はちょっと謎だ。

物語の中心は同じクラスのヒロシ、矢澤、野末、大土居、増田の五人が一緒に学園祭の出し物を作る話かな。そこに矢澤とクラスのある男子とのトラブルや大土居の家庭問題が絡んでくる。

場所は大阪のどこかで、土地勘のある読者ならモデルになった場所が分かるのだろう。海に面していて、区役所の近くにミスドとスシローが、すこし離れてイケアの大型店舗や化学工場群がある。

矢澤は大阪駅の周辺に土地勘があり、あのおそるべき地下街も自由に歩けるが、ヒロシは街中にそれほど精通してはいないようだ。

主人公の山田ヒロシは同級生の中でも背が低く、学校の成績もほどほどで、名前からして決して目立たない平凡な男子という設定のようだ。絵を描くことが好きで内向的な性格のように見えるが、同級生に対しての観察眼は鋭いし、行動は勇気がある。女性である作者から見た理想の男性像は山田ヒロシなのではないかしら。よう知らんけど・・・

因みに、知らんけど、というのは登場人物の大阪人らしい?口癖です。
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三太郎
三太郎 さん本が好き!1級(書評数:830 件)

1957年、仙台に生まれ、結婚後10年間世田谷に住み、その後20余年横浜に住み、現在は仙台在住。本を読んで、思ったことあれこれを書いていきます。

長年、化学メーカーの研究者でした。2019年から滋賀県で大学の教員になりましたが、2023年3月に退職し、10月からは故郷の仙台に戻りました。プロフィールの写真は還暦前に米国ピッツバーグの岡の上で撮ったものです。

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この書評へのコメント

  1. ゆうちゃん2022-04-24 18:54

    僕は関西の財閥系のメーカ勤務ですが、関東地方の勤務地であるにもかかわらず、関西出身の人が多く、社内で関西弁が飛び交う部署にいたことがあります。仰る通り「知らんけど」は大阪に限るかどうかわかりませんが関西の方がよく使いますね。僕は「自信がない、文責は負わない、助言通りにしてなんかあってもお前の責任」くらいの意味にとっていました。
    なお、関東出身の僕がこれを言うと平版なイントネーションか、「し」から始まり下るような感じのイントネーションになりますが、関西の方は独特で「らん」くらいにイントネーションのピークがあるように思えます。

  2. 三太郎2022-04-24 19:29

    関西の人のイントネーションは独特ですよね。僕は真似できません。もっとも僕の出身地の仙台は抑揚がフラットな地域として知られていて、そもそもイントネーションが使い分けできないのですがね。柿と牡蠣の区別も僕はできません。

  3. No Image

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