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DBさん
DB
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工具の歴史を紐解いた本
ねじとねじ回し。
工具音痴でスパナとレンチ、ペンチとプライヤーをよく間違える私ですが、ドライバーだけは間違えない。
組み立て家具なんかだとドライバーとハサミがあれば大抵のものは組みあがるので、他の工具に用がないとも言いますが。
ちょうど去年の年末に板がたわんで棚が落ちてしまう本棚をどうにかしようと頑張った結果、ネジで棚板を固定して使えるようになったばかりなのもありネジの恩恵は受けている。
だがなぜねじとねじ回しが「この千年で最高の発明」と言えるんだろうかと思いながら本書を読んでみました。

著者は都市学の教授で、ニューヨークタイムスの編集者からミレニアム特集を組むから何か書いてほしいと頼まれたのが本書のきっかけだったそうです。
「最高の都市」や「最高の建築家」ではなくて「道具」といわれ、思いついたのは「眼鏡」だったが編集者の考えは「工具」の話だった。
そこで自分の工具箱を見てみる。
自分の手で家を建ててそれを本にしたこともあるという著者の工具箱にはいろんな道具が入っていそうだが、直角定規、角度定規、チョークライン、下げ振り線用のおもり、アルコール水準器、巻尺のうち定規、下げ振り線チョークラインは古代エジプトで発明されたものだった。
ノコギリやハンマー、釘、かんなといった道具はほとんどが古代エジプトや古代ローマで使われていたし、巻尺やアルコール水準器も代わりになるようなものが使われていたことから最高の発明とはいいがたい。
そこで残ったのがねじとねじ回しだったようです。

ねじ回しの起源を探ってみると、1700年くらいから使われていたのだろうという推測のような結論になっていた。
火縄銃や甲冑にねじが使われていたのを博物館めぐりで見つけた話が続きます。

現代の釘は鋼鉄製で硬い木材は裂けてしまうし保持力は弱いが、船大工が使っていた錬鉄製の釘は木材の繊維を切って進むので一度打ったら抜けないくらい丈夫だそうだ。
だが厚みがないと錬鉄製の釘は打てないので、細かい部分の部品を止めるためにねじが釘にとってかわったとか。
そしてネジ作りの話や旋盤の話、なぜかアンティキティラの機械の話と思いつくままに語っていきます。
工具に縁のない生活の人間にはわかりにくい部分もあったが、電気化したくらいで工具は古代エジプトとあまり変わってないというのはよくわかった。
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DB
DB さん本が好き!1級(書評数:2033 件)

好きなジャンルは歴史、幻想、SF、科学です。あまり読まないのは恋愛物と流行り物。興味がないのはハウツー本と経済書。読んだ本を自分の好みというフィルターにかけて紹介していきますので、どうぞよろしくお願いします。

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