三太郎さん
レビュアー:
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オオハクチョウやカモ類の渡りと習性について最新情報が読めます。
宮城県北部の伊豆沼はラムサール条約にも指定された、冬の渡り鳥の大越冬地です。著者は伊豆沼の環境保全財団の研究員でガンカモ類の専門家です。
ガンカモ類とはハクチョウ類、ガン類とカモ類の総称です。体の大きさはハクチョウ>ガン>カモで、ハクチョウとガンは生涯同じカップルで暮らしますが、カモは越冬中にカップルを組みなおす習慣があります。
ところで、昨年の秋に初めて近所の広瀬川にオオハクチョウが来ることを知り、渡りをするガンカモ類に興味を持ちましたが、ガンの仲間は伊豆沼より南には南下しないらしく、仙台の広瀬川でガンを見るのは無理の様です。
ですから広瀬川で昨年見られたオオハクチョウ、オナガガモ、キンクロハジロなどをメインに伊豆沼での彼らの生態を読み解いて見ました。
ガンカモ類は越冬のために日本へ飛来しますが、春になると本来の故郷(繁殖地)へ戻って行きます。
オオハクチョウの繁殖地は北緯70°近い極東ロシアで、春には伊豆沼→北海道東部→アムール川河口→極東ロシアのタイガ地帯と移動し、そこで子育てします。だから日本では子育ては見れないはずですが、まれに怪我などで北へ渡れなかった個体が伊豆沼で子育てすることがあるそうです。
オナガガモはサハリンを経由してカムチャッカ半島で繁殖するグループと、サハリンを経由してオホーツク海沿岸や極東ロシアのコリマ川河口部で繁殖するグループとがあります。秋には春と同じルートを逆に渡ります。
中には北米大陸やウクライナから日本へ渡って来た個体もあり、カモのグループはかなり複雑なようです。
カモ類は越冬地で毎年新たなペアを作りますが、雌は昨年子育てした故郷へ帰りたがり雄は雌についていくので、故郷の異なるグループが混ざって行くらしいです。
オオハクチョウは昼間に餌を摂り夜は休んでいますが、カモ類は夜行性で夜に餌を摂るとのこと。伊豆沼のオオハクチョウは朝になると沼の底の蓮根を掘って食べるか、沼から餌(落穂)のある刈り取り後の水田に移動します。一方、マガモは夜行性で夜になると沼から水田へ移動します。カモは夜も目が見えるようです。
ただしカモ類でもオナガガモは昼でも餌を摂るのが確認されるとかで行動は一律ではないようです。
オオハクチョウやマガモ、オナガガモは潜水が出来ないので、水面下の餌は逆立ちして前半身を水に入れ、お尻を水面に出した状態で餌を摂ります。一方、キンクロハジロなどの潜水できるカモ類は昼間に潜水して水底に生えている植物などを採ります。
(広瀬川で昼間に餌の玄米を撒いたところ、オオハクチョウやオナガガモはお尻だけ水面に出した逆立ち状態で餌を食べていました。キンクロハジロは完全に水に潜って餌を摂りに行きます。)
(僕はまだ広瀬川のオオハクチョウやカモが餌場(水田等)に移動するのは確認していません。オオハクチョウが昼間に川の上流へ向かって飛んで行くのを見ましたが、どこかに餌場があるのかも。)
伊豆沼に渡ってくるガンカモ類の個体数は減っている種も増えている種もありますが、年によって変動が大きいようです。繁殖地の気候により幼鳥の数が変わったり、越冬地の選択が年により変わったりするかららしいです。ガンカモ類は出来るだけ繁殖地に近い北の越冬地を好みますが、冬が寒くて雪が多い年には南下してくるとか。
最後に、この本で初めて知りましたが、カモ類は秋の渡りで越冬地に着くと換羽してオスはこの時にメスとは異なる目立つ色の羽根になるそうです。ガンカモ類は春に繁殖地に着くと一度換羽しますが、カモ類だけは年に二度換羽するのだとか。カモ類が越冬中に新しいカップルを見つける習性のためでしょうか。
写真は昨年、広瀬川で写したものです。
ガンカモ類とはハクチョウ類、ガン類とカモ類の総称です。体の大きさはハクチョウ>ガン>カモで、ハクチョウとガンは生涯同じカップルで暮らしますが、カモは越冬中にカップルを組みなおす習慣があります。
ところで、昨年の秋に初めて近所の広瀬川にオオハクチョウが来ることを知り、渡りをするガンカモ類に興味を持ちましたが、ガンの仲間は伊豆沼より南には南下しないらしく、仙台の広瀬川でガンを見るのは無理の様です。
ですから広瀬川で昨年見られたオオハクチョウ、オナガガモ、キンクロハジロなどをメインに伊豆沼での彼らの生態を読み解いて見ました。
ガンカモ類は越冬のために日本へ飛来しますが、春になると本来の故郷(繁殖地)へ戻って行きます。
オオハクチョウの繁殖地は北緯70°近い極東ロシアで、春には伊豆沼→北海道東部→アムール川河口→極東ロシアのタイガ地帯と移動し、そこで子育てします。だから日本では子育ては見れないはずですが、まれに怪我などで北へ渡れなかった個体が伊豆沼で子育てすることがあるそうです。
オナガガモはサハリンを経由してカムチャッカ半島で繁殖するグループと、サハリンを経由してオホーツク海沿岸や極東ロシアのコリマ川河口部で繁殖するグループとがあります。秋には春と同じルートを逆に渡ります。
中には北米大陸やウクライナから日本へ渡って来た個体もあり、カモのグループはかなり複雑なようです。
カモ類は越冬地で毎年新たなペアを作りますが、雌は昨年子育てした故郷へ帰りたがり雄は雌についていくので、故郷の異なるグループが混ざって行くらしいです。
オオハクチョウは昼間に餌を摂り夜は休んでいますが、カモ類は夜行性で夜に餌を摂るとのこと。伊豆沼のオオハクチョウは朝になると沼の底の蓮根を掘って食べるか、沼から餌(落穂)のある刈り取り後の水田に移動します。一方、マガモは夜行性で夜になると沼から水田へ移動します。カモは夜も目が見えるようです。
ただしカモ類でもオナガガモは昼でも餌を摂るのが確認されるとかで行動は一律ではないようです。
オオハクチョウやマガモ、オナガガモは潜水が出来ないので、水面下の餌は逆立ちして前半身を水に入れ、お尻を水面に出した状態で餌を摂ります。一方、キンクロハジロなどの潜水できるカモ類は昼間に潜水して水底に生えている植物などを採ります。
(広瀬川で昼間に餌の玄米を撒いたところ、オオハクチョウやオナガガモはお尻だけ水面に出した逆立ち状態で餌を食べていました。キンクロハジロは完全に水に潜って餌を摂りに行きます。)
(僕はまだ広瀬川のオオハクチョウやカモが餌場(水田等)に移動するのは確認していません。オオハクチョウが昼間に川の上流へ向かって飛んで行くのを見ましたが、どこかに餌場があるのかも。)
伊豆沼に渡ってくるガンカモ類の個体数は減っている種も増えている種もありますが、年によって変動が大きいようです。繁殖地の気候により幼鳥の数が変わったり、越冬地の選択が年により変わったりするかららしいです。ガンカモ類は出来るだけ繁殖地に近い北の越冬地を好みますが、冬が寒くて雪が多い年には南下してくるとか。
最後に、この本で初めて知りましたが、カモ類は秋の渡りで越冬地に着くと換羽してオスはこの時にメスとは異なる目立つ色の羽根になるそうです。ガンカモ類は春に繁殖地に着くと一度換羽しますが、カモ類だけは年に二度換羽するのだとか。カモ類が越冬中に新しいカップルを見つける習性のためでしょうか。
写真は昨年、広瀬川で写したものです。
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1957年、仙台に生まれ、結婚後10年間世田谷に住み、その後20余年横浜に住み、現在は仙台在住。本を読んで、思ったことあれこれを書いていきます。
長年、化学メーカーの研究者でした。2019年から滋賀県で大学の教員になりましたが、2023年3月に退職し、10月からは故郷の仙台に戻りました。プロフィールの写真は還暦前に米国ピッツバーグの岡の上で撮ったものです。
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- 出版社:緑書房
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- ISBN:9784895317627
- 発売日:2021年10月07日
- 価格:2090円
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