休蔵さん
レビュアー:
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皆さんご存じの小泉八雲の『怪談』です。村上豊がカバー絵・さし絵を担当していること、ポプラ社から刊行されているところがエッセンスとして加わっています。良いスパイスです。

 日本で生まれ育った多くの人が、小泉八雲の『怪談』に触れるのではないか。
中学生の英語の教科書には「MUJINA」があったと記憶している。
当然のことながら、“Lafcadio・Hean”作であったが。
誰でも通るであろう本作を、ついに小学生の子どもが手にして帰宅してきた。
当然のことながら、それはこちらにも回ってくるシステムになっている。
そして、これも当然のことだが、書評もセットになる。
ところで、全18章からなる本作は、カバー絵・さし絵を村上豊が担当している。
夢枕獏の『陰陽師』シリーズで表紙絵を担当しているあの村上豊が絵を担当しているのである。
それだけでも魅力増大である。
さて、本書の中身を改めて書くこと必要があろうか。
そう思いながらも、やはり魅力的な話に魅かれてついつい書き始めてしまった。
第1章目は「耳なし芳一の話」だ。
誰も悪い登場人物・幽霊はいない。
求められるがまま高貴なる人物に琵琶を奏でながら壇ノ浦の戦いを語った芳一。
霊に取りつかれた芳一を救わんと身体中にお経を書いた和尚。
自らを主を慰めんと芳一を連れてきた武者の霊。
ただただ、自らの無念を芳一の琵琶語りに託した主。
ほんの少しのミスが、大変な事態を巻き起こすことに・・・
最終的には芳一が一人かわいそうなだけなのだが、後日談が記されていた。
後日談なんか、まったく忘れていた。
芳一の傷は腕のいい医者の手当てでたちまち治療。
そして、不可思議な話が遠方まで拡散されたことで芳一は有名となり。
大勢の身分の高い人たちが芳一の琵琶を聞きに訪れ、芳一は金持ちになったとか。
 
「ろくろ首」は夢枕獏の『陰陽師』にも登場。
単行本カットもされている。
『陰陽師』シリーズから単行本として刊行された「ろくろ首」は、村上豊の挿絵たっぷりの絵本仕立てとなっている。
さて、その「ろくろ首」であるが、首がにゅ~っと伸びるわけではない。
身体から離脱した首が空中を浮遊するというもの。
中国の『捜神記』や『南方異物誌』からその生態が引用されつつ、それに従うようなまとめ方がされている。
主人公は磯貝平太左衛門武連という武士。
九州の菊池公に仕えていた武連は、主家が滅亡したため、頭を丸めて世を捨て、回竜と名乗って諸国を行脚することにした。
その途中でろくろ首に遭遇することになったのだ。
5人のろくろ首のうち、その主を退治した武連。
しかし、敵もなかなかのもので、武連の袖に喰らいつて離れない。
仕方なく、彼は首を下げたまま行脚を続けていった。
なんたること!
小泉八雲の『怪談』には、様々な訳文があり、なかなか難解な文体のものもある。
本書はポプラ社から刊行された1冊で、小学高学年以上を対象としている。
当然、相当に読みやすい。
それでも『怪談』が醸す不気味さを保持したままである。
多くの人が通るであろう小泉八雲の『怪談』であるが、それは何歳になっても、何回目であったとしても通りがいのある道。
読書の秋をやや通り過ぎてしまい、地域によっては雪も舞っている時節であるが、それでも自信をもってお薦めできる1冊である。
  
 
中学生の英語の教科書には「MUJINA」があったと記憶している。
当然のことながら、“Lafcadio・Hean”作であったが。
誰でも通るであろう本作を、ついに小学生の子どもが手にして帰宅してきた。
当然のことながら、それはこちらにも回ってくるシステムになっている。
そして、これも当然のことだが、書評もセットになる。
ところで、全18章からなる本作は、カバー絵・さし絵を村上豊が担当している。
夢枕獏の『陰陽師』シリーズで表紙絵を担当しているあの村上豊が絵を担当しているのである。
それだけでも魅力増大である。
さて、本書の中身を改めて書くこと必要があろうか。
そう思いながらも、やはり魅力的な話に魅かれてついつい書き始めてしまった。
第1章目は「耳なし芳一の話」だ。
誰も悪い登場人物・幽霊はいない。
求められるがまま高貴なる人物に琵琶を奏でながら壇ノ浦の戦いを語った芳一。
霊に取りつかれた芳一を救わんと身体中にお経を書いた和尚。
自らを主を慰めんと芳一を連れてきた武者の霊。
ただただ、自らの無念を芳一の琵琶語りに託した主。
ほんの少しのミスが、大変な事態を巻き起こすことに・・・
最終的には芳一が一人かわいそうなだけなのだが、後日談が記されていた。
後日談なんか、まったく忘れていた。
芳一の傷は腕のいい医者の手当てでたちまち治療。
そして、不可思議な話が遠方まで拡散されたことで芳一は有名となり。
大勢の身分の高い人たちが芳一の琵琶を聞きに訪れ、芳一は金持ちになったとか。
「ろくろ首」は夢枕獏の『陰陽師』にも登場。
単行本カットもされている。
『陰陽師』シリーズから単行本として刊行された「ろくろ首」は、村上豊の挿絵たっぷりの絵本仕立てとなっている。
さて、その「ろくろ首」であるが、首がにゅ~っと伸びるわけではない。
身体から離脱した首が空中を浮遊するというもの。
中国の『捜神記』や『南方異物誌』からその生態が引用されつつ、それに従うようなまとめ方がされている。
主人公は磯貝平太左衛門武連という武士。
九州の菊池公に仕えていた武連は、主家が滅亡したため、頭を丸めて世を捨て、回竜と名乗って諸国を行脚することにした。
その途中でろくろ首に遭遇することになったのだ。
5人のろくろ首のうち、その主を退治した武連。
しかし、敵もなかなかのもので、武連の袖に喰らいつて離れない。
仕方なく、彼は首を下げたまま行脚を続けていった。
なんたること!
小泉八雲の『怪談』には、様々な訳文があり、なかなか難解な文体のものもある。
本書はポプラ社から刊行された1冊で、小学高学年以上を対象としている。
当然、相当に読みやすい。
それでも『怪談』が醸す不気味さを保持したままである。
多くの人が通るであろう小泉八雲の『怪談』であるが、それは何歳になっても、何回目であったとしても通りがいのある道。
読書の秋をやや通り過ぎてしまい、地域によっては雪も舞っている時節であるが、それでも自信をもってお薦めできる1冊である。
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 ここに参加するようになって、読書の幅が広がったように思います。
 それでも、まだ偏り気味。
 いろんな人の書評を参考に、もっと幅広い読書を楽しみたい! 
この書評へのコメント
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書評一覧を取得中。。。
- 出版社:ポプラ社
- ページ数:0
- ISBN:9784591088647
- 発売日:2015年01月02日
- 価格:627円
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