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efさん
ef
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ハムネットとはハムレットのこと
 昔は英語の表記って結構揺れていたようで、Hamnet(ハムネット)もHamlet(ハムレット)も同じ名前で、どちらで書いても構わなかったそうです。
 じゃあ、シェイクスピアの『ハムレット』も?……ということで、本書はシェイクスピアはどうして『ハムレット』を書いたのかをテーマにしたフィクションです。

 シェイクスピアの正体については諸説あるわけですが、その素性についてはある程度の資料は残っているようですね。
 それによれば、シェイクスピアにはハムネットという息子がいたことが分かっているんだそうです。
 作者はここから物語を膨らませたのですね。

 物語は、シェイクスピアがまだ若く、アグネスという娘と結婚するに至る時代のお話と、結婚後、シェイクスピアがハムレットを書くに至る時代のお話が交互に語られていきます。
 全体的にシェイクスピアの影は薄く、主人公はアグネスの方でしょう。
 全体的に、当時のイギリスの人々の生活が色濃く描かれるのですが、肝心のハムネットもペストにより11歳で亡くなってしまうので、そこもあまり多くは語られません(作中ではペストにかかった双子の妹の身代わりになって死んだと表現されています)。

 ということで、タイトルやテーマからすれば主人公になりそうなシェイクスピアやハムネットが実は主人公ではない物語なので、最初、私はなかなか視点が得られず、ちょっと読み方がズレちゃったかもしれません。

 物語のコアとなるのは、周囲の反対を押し切って結婚したシェイクスピアとアグネスが、シェイクスピアがロンドンに出て劇作家として成功するに連れて徐々に心が離れて行き、子供を失って大きな悲しみに暮れること、アグネスにしてみればそれは自分の過ちとしか思えなかった事、夫の態度に不満を抱くことなどでしょう。

 そして最大の問題は、我が子を失ったというのに、『ハムレット』などという作品を書くのはどういうつもりなんだ!ということです。
 アグネスにしてみれば、そんなことは想像もできないことだし、許すことなどできないわけです。

 アグネスは決定的な決意を秘めながら、夫がどういう芝居を書いたのか見てやる!と、ロンドンの芝居小屋に乗り込むことになります。

 当初予想していたのとはちょっと違った作品でしたが、こういうことだったんじゃないかな?という作者の視点は楽しめました。
 

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ef
ef さん本が好き!1級(書評数:4910 件)

幻想文学、SF、ミステリ、アート系などの怪しいモノ大好きです。ご紹介レビューが基本ですが、私のレビューで読んでみようかなと思って頂けたらうれしいです。世界中にはまだ読んでいない沢山の良い本がある!

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