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たけぞう
レビュアー:
ロシアからのとっても濃ゆい便り。
新刊情報で目を惹いたので手に取りました。
ヌマヌマとは、翻訳者の沼野夫妻の共作という意味です。
収録されているのは現代ロシア文学の短篇です。
ゴルバチョフによる1985年のペレストロイカで、
検閲に縛られていたソ連文学が自由になり、
革新的な小説が発表されるようになりました。

この短篇集にも、レーニンを馬鹿者扱いした作品があります。
ペレストロイカ前なら、こんなものを書いたら著者の命にかかわるでしょうね。
そんな尖った物語がてんこ盛りです。
────── というか、スーパーメガ盛りです。
抑圧されていた反動の大きさが分かるというものです。

わたしはロシア小説に馴染みがなかったこともあり、
短篇集だからいいかなと思っていた部分もあるのですが、
作品の圧倒的な破壊力の前に完膚なきまでやられました。
少なくとも自分が知っている小説の範疇は軽々と超えてきました。
気に入るかどうかは別として、それだけで判断すべきではありません。
未知のものを読み、刺激をもらうというのが
ふさわしい読み方ではないかと思います。

糞尿やセックス、貧困を真正面から扱った作品が目につきます。
ロシア社会の影響ではないかと考えると、自分の住む世界とは
違うのだろうと想像が膨らみます。

例えばこうです。
どうして、酒を飲み過ぎて頭がぼうっとなったこの生活保護者
この文章で、「ぼうっと」の部分のルビが「チンポコみたいに」です。
そんなことは誰にもわかるものか。
「誰」のルビが「チンポコ」
よく翻訳しましたね。そんなクレイジーな作品なんです。

自分がなんとか読みきれた作品で、これならばと思う作品は次の通りです。
「庭の経験」「馬鹿と暮らして」「刺青」
強烈な読書経験ができる一冊ですよ。
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たけぞう
たけぞう さん本が好き!免許皆伝(書評数:1465 件)

ふとしたことで始めた書評書き。読んだ感覚が違うことを知るのは、とても大事だと思うようになりました。本が好き! の場と、参加している皆さんのおかげです。
星の数は自分のお気に入り度で、趣味や主観に基づいています。たとえ自分の趣味に合わなくても、作品の特徴を書評で分かるようにしようと務めています。星が低くても作品がつまらないという意味ではありません。

自己紹介ページの二番目のアドレスは「飲んでみた」の書評です。
三番目のアドレスは「お絵描き書評の部屋」で、皆さんの「描いてみた」が読めます。
四番目のアドレスは「作ってみた」の書評です。
よかったらのぞいてみて下さい。

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この書評へのコメント

  1. かもめ通信2022-03-10 06:10

    可愛らしい表紙の短篇集ということで、ぱっと見ヌマへの入門編のように装いながら、実は中身は劇薬系という感じの本でしたよね。

    この本で沼にハマりかける読者がいたなら、それはそれで今後が心配というか(^^ゞ

  2. たけぞう2022-03-10 22:44

    〉かもめ通信さん
    いやー、本当に驚きました。まあ、これはこれで楽しみかたがあるのかなあと。
    確かに、これが最高という人がいたら、それもまた読書の幅広さですよね。

  3. No Image

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