ことなみさん
レビュアー:
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今回は心臓手術現場が舞台。
ロボット支援下手術のエース西條と、ドイツの世界的にも高名な心臓手術専門病院から招聘された真木、彼はメス捌きでは天才的な正確さとスピードを持っていた。彼らは難しい手術現場にどう向かったか、作者の人道的な姿勢が心地よい、これも読みどころ。
北中大病院(北海道中央大学病院)でロボットのミカエルを操って難しい心臓手術をこなしてきた自負を持つ西條。彼は北中大病院の看板であり重要な位置にいる。
病院は、ロボット(ミカエル)を使った手術を採用していち早く最先端医療を持ち込みその結果患者の不安を払拭し、実績を重ねていた。
北中大病院でのミカエルの執刀操作は別室で座って行い、長時間の立ったままの作業負担を軽くしている。接眼レンズに写る心臓を(15倍まで拡大できる)見ながら、両手でコントローラーを握り手術室のアームを操作する。器具はアームに取り付けられ交換しながら進めていく。
高価なミカエルを設置できる病院は少ない。しかしその力は多くの患者の支持を得て今ミカエル手術は北中大病院の西條と言われている。
今まで要請を何度も拒否していた真木が突然帰国し、西條が不在の折、彼の神業で手術を行っていた。
理由は西條の不在ということだけではない。彼は知らなかったがミカエルを使わない手術は真木を試すのではなく、病院の意向だった。
だが華々しい経歴を持つ経営者側の職員雨宮は、未来の医療はロボット支援下で成り立つと言っていたはず。
そこに房室中隔欠損症の男児が入ってくる。先天性の病気で幼児期に手術で治療していたが、成長に伴って弁の異常が発見されていた。
弁置換ならミカエルだと西條は確信していた。患者の負担も最小限で済む。
だが真木は弁整形術を主張した。真木は何よりも術法は早急な検査が第一、その後で決めるという。
本人と両親の希望でミカエルになるが、西條は万一に備えて真木に助手を頼んだ
病院の内部では、派閥があり昇進争いがあり、経営理念はやはり利益優先だったり、医療事故隠しもある。患者の地位にも配慮する。
ここでも巨塔は外見のように白くない、柚月さんは難しい医療の現場を読者の理解できる形に物語を創る。読みやすく現実的で小説であっても面白い。
真木と西條の少しうら寂しい生い立ちもはさんでいる。
それぞれの信じるところが、医師として個人的な人生観を異にする生き方の側面として書いているが上手く面白い。
ダブルキャストのようで、二人の対立と協調の姿勢もいい。医療にかかわる内部描写を含め物語の世界は現実とは多少違っていてもここでは楽しんで読んだ。
不在の折の真木の手術からして西條もなにかに薄々気がついている。読んでいて同じく気がつく。
柚月さんはミステリ作家だった。
ただ締めが少し緩いかも。もしこれを基にした続編の予定があるのなら徐々に明かされる部分もあるかもしれないが。
あれ、これで終わり?ということで。
連載されていたそうで話の締めを急いだのかも。
まぁいいか、初めて読んだ「臨床真理」に比べると面白さでやはり上を行くし。
医療関係の小説は個人的な事情もあってなんとなくよくわかる、なんども入院手術経験があるもので。 笑
伯母も同じ病気で従妹の病院で手術をした「子供の頃から具合悪かったのよ」と言っていたが退院後の電話では元気いっぱいで、その後亡くなった叔父に比べ20年たっても元気でいる。まぁ4人の優しい女児を産んで育てた実績が大いにものを言っているが。
北中大病院(北海道中央大学病院)でロボットのミカエルを操って難しい心臓手術をこなしてきた自負を持つ西條。彼は北中大病院の看板であり重要な位置にいる。
病院は、ロボット(ミカエル)を使った手術を採用していち早く最先端医療を持ち込みその結果患者の不安を払拭し、実績を重ねていた。
北中大病院でのミカエルの執刀操作は別室で座って行い、長時間の立ったままの作業負担を軽くしている。接眼レンズに写る心臓を(15倍まで拡大できる)見ながら、両手でコントローラーを握り手術室のアームを操作する。器具はアームに取り付けられ交換しながら進めていく。
高価なミカエルを設置できる病院は少ない。しかしその力は多くの患者の支持を得て今ミカエル手術は北中大病院の西條と言われている。
今まで要請を何度も拒否していた真木が突然帰国し、西條が不在の折、彼の神業で手術を行っていた。
理由は西條の不在ということだけではない。彼は知らなかったがミカエルを使わない手術は真木を試すのではなく、病院の意向だった。
だが華々しい経歴を持つ経営者側の職員雨宮は、未来の医療はロボット支援下で成り立つと言っていたはず。
そこに房室中隔欠損症の男児が入ってくる。先天性の病気で幼児期に手術で治療していたが、成長に伴って弁の異常が発見されていた。
弁置換ならミカエルだと西條は確信していた。患者の負担も最小限で済む。
だが真木は弁整形術を主張した。真木は何よりも術法は早急な検査が第一、その後で決めるという。
本人と両親の希望でミカエルになるが、西條は万一に備えて真木に助手を頼んだ
病院の内部では、派閥があり昇進争いがあり、経営理念はやはり利益優先だったり、医療事故隠しもある。患者の地位にも配慮する。
ここでも巨塔は外見のように白くない、柚月さんは難しい医療の現場を読者の理解できる形に物語を創る。読みやすく現実的で小説であっても面白い。
真木と西條の少しうら寂しい生い立ちもはさんでいる。
それぞれの信じるところが、医師として個人的な人生観を異にする生き方の側面として書いているが上手く面白い。
ダブルキャストのようで、二人の対立と協調の姿勢もいい。医療にかかわる内部描写を含め物語の世界は現実とは多少違っていてもここでは楽しんで読んだ。
不在の折の真木の手術からして西條もなにかに薄々気がついている。読んでいて同じく気がつく。
柚月さんはミステリ作家だった。
ただ締めが少し緩いかも。もしこれを基にした続編の予定があるのなら徐々に明かされる部分もあるかもしれないが。
あれ、これで終わり?ということで。
連載されていたそうで話の締めを急いだのかも。
まぁいいか、初めて読んだ「臨床真理」に比べると面白さでやはり上を行くし。
医療関係の小説は個人的な事情もあってなんとなくよくわかる、なんども入院手術経験があるもので。 笑
伯母も同じ病気で従妹の病院で手術をした「子供の頃から具合悪かったのよ」と言っていたが退院後の電話では元気いっぱいで、その後亡くなった叔父に比べ20年たっても元気でいる。まぁ4人の優しい女児を産んで育てた実績が大いにものを言っているが。
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徹夜してでも読みたいという本に出会えるように、網を広げています。
たくさんのいい本に出合えますよう。
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- 出版社:文藝春秋
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- ISBN:B09HQHYLVM
- 発売日:2021年10月07日
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