休蔵さん
レビュアー:
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真の中国三大怪奇小説の1冊と著者に評された『封神演義』。『週刊少年ジャンプ』でマンガ化されたが、自分の頭のなかで増槽を膨らませたほうがはるかに楽しい小説です。
本書はまず「まえがき」から始まる。
『封神演義』とは何かということを解説するから着手するのだ。
こんなの、小説の分野の文庫部本ではなかなか無い。
この「まえがき」がまた面白い。
本書が刊行される前までは、『封神演義』は知られていなかったという。
数世紀前に世に出されているにも関わらずである。
日本の中国文学者にすら知られていなかったというのだ。
中国三大怪奇小説は『西遊記』と『三国志演義』、『水滸伝』とのことだが、著者は『封神演義』こそがそこに加わるべきで、何だったら首席という。
落ちるべきは『水滸伝』という。
その真偽はともかく、そのことが容易に納得できるほど『封神演義』はずば抜けて面白い。
ついには『週刊少年ジャンプ』で連載されてしまうほどだ。
それが日本に知られていなかったのは、孔子の陰謀というのだ。
その真偽もさておき、今や『封神演義』は日本にある程度浸透していることは間違いない。
本書はその立役者だ。
30年以上前に読んだ本書を久しぶりに手にとった。
当時の純粋な感想は覚えていないが、三分冊を一気読みしたことだけは覚えている。
今回も純粋に楽しめた。
という「まえがき」のようなものから書評をはじめてみた。
時代は今から三千年以上まえの紀元前十一世紀のこと。
時代は商から周に転換しようとしていた時代。
「商周易姓革命」だ。
商から周に国は大転換する。
その背後に神の怒りを設定して物語はスタートする。
女媧神像に懸想し、その想いを託した歌を女媧宮の壁に書き付けた名君紂王。
その卑猥とも言える内容に激怒した女媧は、紂王を滅することに。
そして、そのもとに妖妃妲己が遣わされた。
絶世の美女に身を転じた妖狐妲己に骨抜きにされ“バカ皇帝”となり下がり、異様なまでの暴虐の数々を繰り返す。
その暴虐に知恵を授けるのが妲己だ。
妲己は奇想天外なアイデアマン。
次々と残酷非道な拷問方法を思いつく。
そして、それを紂王に進言し、素直な紂王は妲己の操り人形がごとく、その権力を行使する。
暴君紂王を滅するため、太公望が選ばれた。
そう、それも神の御心のままに。
人間同士の肉弾戦ではなく、宝貝(パオペイ)という神の武器を操った凄まじい戦争が開かれた。
始皇帝が活躍するより何百年も前の話で、まるでSFのような展開!
特殊な武器を使い、神や仙人、妖怪が暗躍する戦い。
『週刊少年ジャンプ』が食いつく要素が盛りだくさんの『封神演義』。
純粋に面白い!
マンガで読むのもいいが、正直、マンガ『封神演義』の絵の雰囲気は想像するものとは相当に乖離していた。
頭の中で描き出した『封神演義』は、マンガには負けない魅力を持つ。
もちろん、マンガにはマンガの魅力があることは言うまでもないが。
誰のエッセンスも加えていない『封神演義』は、己の頭の中で映像化する行為は、きっと人生を豊かなものにするはず。
少なくとも、読んで想像している時間は満ち足りたものになると思う。
積極的に一読をお薦めしたい1冊だ。
『封神演義』とは何かということを解説するから着手するのだ。
こんなの、小説の分野の文庫部本ではなかなか無い。
この「まえがき」がまた面白い。
本書が刊行される前までは、『封神演義』は知られていなかったという。
数世紀前に世に出されているにも関わらずである。
日本の中国文学者にすら知られていなかったというのだ。
中国三大怪奇小説は『西遊記』と『三国志演義』、『水滸伝』とのことだが、著者は『封神演義』こそがそこに加わるべきで、何だったら首席という。
落ちるべきは『水滸伝』という。
その真偽はともかく、そのことが容易に納得できるほど『封神演義』はずば抜けて面白い。
ついには『週刊少年ジャンプ』で連載されてしまうほどだ。
それが日本に知られていなかったのは、孔子の陰謀というのだ。
その真偽もさておき、今や『封神演義』は日本にある程度浸透していることは間違いない。
本書はその立役者だ。
30年以上前に読んだ本書を久しぶりに手にとった。
当時の純粋な感想は覚えていないが、三分冊を一気読みしたことだけは覚えている。
今回も純粋に楽しめた。
という「まえがき」のようなものから書評をはじめてみた。
時代は今から三千年以上まえの紀元前十一世紀のこと。
時代は商から周に転換しようとしていた時代。
「商周易姓革命」だ。
商から周に国は大転換する。
その背後に神の怒りを設定して物語はスタートする。
女媧神像に懸想し、その想いを託した歌を女媧宮の壁に書き付けた名君紂王。
その卑猥とも言える内容に激怒した女媧は、紂王を滅することに。
そして、そのもとに妖妃妲己が遣わされた。
絶世の美女に身を転じた妖狐妲己に骨抜きにされ“バカ皇帝”となり下がり、異様なまでの暴虐の数々を繰り返す。
その暴虐に知恵を授けるのが妲己だ。
妲己は奇想天外なアイデアマン。
次々と残酷非道な拷問方法を思いつく。
そして、それを紂王に進言し、素直な紂王は妲己の操り人形がごとく、その権力を行使する。
暴君紂王を滅するため、太公望が選ばれた。
そう、それも神の御心のままに。
人間同士の肉弾戦ではなく、宝貝(パオペイ)という神の武器を操った凄まじい戦争が開かれた。
始皇帝が活躍するより何百年も前の話で、まるでSFのような展開!
特殊な武器を使い、神や仙人、妖怪が暗躍する戦い。
『週刊少年ジャンプ』が食いつく要素が盛りだくさんの『封神演義』。
純粋に面白い!
マンガで読むのもいいが、正直、マンガ『封神演義』の絵の雰囲気は想像するものとは相当に乖離していた。
頭の中で描き出した『封神演義』は、マンガには負けない魅力を持つ。
もちろん、マンガにはマンガの魅力があることは言うまでもないが。
誰のエッセンスも加えていない『封神演義』は、己の頭の中で映像化する行為は、きっと人生を豊かなものにするはず。
少なくとも、読んで想像している時間は満ち足りたものになると思う。
積極的に一読をお薦めしたい1冊だ。
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ここに参加するようになって、読書の幅が広がったように思います。
それでも、まだ偏り気味。
いろんな人の書評を参考に、もっと幅広い読書を楽しみたい!
この書評へのコメント
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- 出版社:講談社
- ページ数:0
- ISBN:B00GY19O60
- 発売日:1988年11月15日
- 価格:880円
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