書評でつながる読書コミュニティ
  1. ページ目
詳細検索
タイトル
著者
出版社
ISBN
  • ログイン
無料会員登録

DBさん
DB
レビュアー:
カラス屋の研究と仕事の本
カラス屋といえば松原始の本を何冊か読んだが、その中に凍死したカラスの肉を焼いて食べた話が出てきていた。
肉は硬くてモツのようなねっとりとした味がしたそうだが、その時にさらにグルメを追求したければカラス料理研究家の塚原氏が出した本があると紹介されていた。
さすがにカラスを食べてみたいとは思わなかったのでその料理本もまだ未読ですが、本書では塚原氏がカラス料理研究家となった理由や、実食レポートについても詳しく語られていて面白い。

烏の胸肉は一羽あたり約80グラム、シンプルに塩コショウで焼いて食べると硬くて咀嚼しているとカラス小屋の臭気が襲ってくるという。
臭い対策にと丁寧に処理してシチューにしてみたが、悪くないけどやはりカラス臭がしてカラスの世話をしたことがある人には不評だったようです。
だがここでめげずにレシピを追求し、カラスカレーや薬味をたっぷりきかせたカラス餃子、カラス肉のジャーキーなどを作って試食会をしたそうだ。
塩茹では作った本人が吐き出すほどまずかったが、それ以外は割と好評だったという。
さらには長野のオーベルジュで提供される「カラス胸肉のポワレとモモ肉のパイ包み」や「カラスのセルベルのオーブン焼き」は絶品だったようで、料理は奥が深いものだと思った。
現実的にはカラスをジャーキーにして「夢の島ジャーキー」とかで東京都の名物にしてみるとか。
カラスをあまり見かけない海外の人には売れるかもしれない。

カラスはゴミを散らかすだけでなく、農作物や畜産での被害が大きい。
そこでカラス屋としてはカラスを追い払うための装置を開発しているそうです。
カラスの鳴き声を録音した大量のデータから、カラスが猛禽と戦っている時の鳴き声や、集団でいる時に不審物を発見したカラスがあげる警戒の鳴き声を組み合わせてカラスの集団を駅前から裁判所の敷地内に誘導することに成功した。
だが賢いカラスは最初は警戒しても慣れてくると問題なしと判断してしまうそうなので、案山子のように単純にはいかない。
鷹匠による追い払い作戦もカラスの集団モビングという逆襲にあって失敗したそうです。
やはり一番の対策は町中でカラスが増える原因となるゴミ対策をきっちりとして全体数を減らしたうえで共存するという地道なもののようだ。
カラスと人間の関係を追求した楽しい本だった。
掲載日:
外部ブログURLが設定されていません
投票する
投票するには、ログインしてください。
DB
DB さん本が好き!1級(書評数:2034 件)

好きなジャンルは歴史、幻想、SF、科学です。あまり読まないのは恋愛物と流行り物。興味がないのはハウツー本と経済書。読んだ本を自分の好みというフィルターにかけて紹介していきますので、どうぞよろしくお願いします。

読んで楽しい:1票
参考になる:22票
あなたの感想は?
投票するには、ログインしてください。

この書評へのコメント

  1. wm2024-10-24 12:09

    石原慎太郎が都知事の時に東京のカラス駆逐大作戦を敢行したのですが、カラスはその復讐心で石原亭のある田園調布に集まったという都市伝説を思い出しました。実際、田園調布でカラスを矢鱈とみかけたのですよね。

  2. DB2024-10-24 14:14

    カラスは賢いので、都知事に復讐説は真実かもしれませんね(^.^)

  3. No Image

    コメントするには、ログインしてください。

書評一覧を取得中。。。
  • あなた
  • この書籍の平均
  • この書評

※ログインすると、あなたとこの書評の位置関係がわかります。

『カラスをだます』のカテゴリ

フォローする

話題の書評
最新の献本
ページトップへ