たけぞうさん
レビュアー:
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スリランカ女性の入管施設での死亡がテーマ。
いつから日本はこんなに人権侵害をする国になったのだろうという怒り、
国連人権理事会からの国際法違反の意見書や国連難民高等弁務官事務所による
日本政府の入管法改正案に対する人権基準違反の指摘など、
国連から何回も指摘されているのに直さない恥ずかしさ、
なによりも罪のないスリランカ女性が、日本の行政機関のでたらめな運営で
亡くなったというのに、世論はたいして動いていない情けなさ。
そんな気持ちが、わーっと押し寄せてきました。
日本には、まだ第二次世界大戦の帝国軍の精神性が残っているのではなどと、
突飛な発想まで飛んでいきました。
この作品は、入管施設で亡くなったスリランカ女性の事件が
裁判によって広まったことをきっかけにして書かれています。
小説という型式が非常にいいです。
わたしは事件を新聞で知っていたものの、詳しくは分かりませんでした。
文章化されたものを読むことで深く理解しました。
興味を持ち、Webで事件を再確認し、言葉に詰まりました。
でも、それでも完全な理解からは程遠いのでしょうね。
この作品は小説なのでハッピーエンドですが、
現実世界では人の命が失われたのです。
何の罪もなく、むしろ日本人が避けるような低賃金労働までして
日本を支えてくれている人たちの一人です。
際限のない搾取。気違い沙汰です。
これって、いじめの構図ですよね。
派生形がパワハラ、セクハラに始まるハラスメントの数々ですが、
根っこは同じです。読んでいて、そんなことを考えました。
語り手はマヤです。早くして父を亡くし、
母のミユキさんと二人暮らしで育った人です。
ミユキさんは感情を優先して行動するタイプです。猪突猛進型ですね。
3.11の東日本大震災のあと、向かったボランティア先の公民館で
クマラというスリランカ人に会いました。
すぐにクマさんと呼ぶようになります。
クマさんの優しさ、人柄のよさを気に入るミユキさん。
ボランティアは数日間だけなので、そのまま別れましたが
時間をおいて二人は偶然の再開を果たします。
ちょっと都合のいい感じで、いかにも小説的な展開になるところですが、
そこに日本の法律濫用の人権侵害の壁が立ちはだかります。
意表を突かれました。そうくるのかと。
最初は警察。次はビザ。外国人居留制度の異常さ。
結婚制度の珍妙さ。最後に鬼畜の入管法。
どこから手をつけたらいいのだという、
すべてが間違った構図が日本にはあるのです。
わたしたちが知らないだけで。
こんなことは書きたくないけれど、これらすべての理不尽さは
アジア人に対して行われるのです。
アメリカ人やヨーロッパ人には決して行いません。
もし、行政職員が自分たちの行動に正義があると信じるのなら、
相手が誰であっても同じものさしで見るべきでしょう。
本当に偏見がないのか、この問題に関与する行政職員は
自分のこころに聞いて欲しいです。
そして、わたしたちも同じであることを、声を大にして言いたいです。
こういう時、いまのSNSでは誰かを一方的に攻撃して
悦に入っている輩が少ないながら一定数います。
自分がそうならないためにも、自分の行動が知らないうちに
いじめの構図になっていないか、点検する必要を感じました。
この本の書評を日本国政府首相に書いてもらいたいですね。
国連人権理事会からの国際法違反の意見書や国連難民高等弁務官事務所による
日本政府の入管法改正案に対する人権基準違反の指摘など、
国連から何回も指摘されているのに直さない恥ずかしさ、
なによりも罪のないスリランカ女性が、日本の行政機関のでたらめな運営で
亡くなったというのに、世論はたいして動いていない情けなさ。
そんな気持ちが、わーっと押し寄せてきました。
日本には、まだ第二次世界大戦の帝国軍の精神性が残っているのではなどと、
突飛な発想まで飛んでいきました。
この作品は、入管施設で亡くなったスリランカ女性の事件が
裁判によって広まったことをきっかけにして書かれています。
小説という型式が非常にいいです。
わたしは事件を新聞で知っていたものの、詳しくは分かりませんでした。
文章化されたものを読むことで深く理解しました。
興味を持ち、Webで事件を再確認し、言葉に詰まりました。
でも、それでも完全な理解からは程遠いのでしょうね。
この作品は小説なのでハッピーエンドですが、
現実世界では人の命が失われたのです。
何の罪もなく、むしろ日本人が避けるような低賃金労働までして
日本を支えてくれている人たちの一人です。
際限のない搾取。気違い沙汰です。
これって、いじめの構図ですよね。
派生形がパワハラ、セクハラに始まるハラスメントの数々ですが、
根っこは同じです。読んでいて、そんなことを考えました。
語り手はマヤです。早くして父を亡くし、
母のミユキさんと二人暮らしで育った人です。
ミユキさんは感情を優先して行動するタイプです。猪突猛進型ですね。
3.11の東日本大震災のあと、向かったボランティア先の公民館で
クマラというスリランカ人に会いました。
すぐにクマさんと呼ぶようになります。
クマさんの優しさ、人柄のよさを気に入るミユキさん。
ボランティアは数日間だけなので、そのまま別れましたが
時間をおいて二人は偶然の再開を果たします。
ちょっと都合のいい感じで、いかにも小説的な展開になるところですが、
そこに日本の法律濫用の人権侵害の壁が立ちはだかります。
意表を突かれました。そうくるのかと。
最初は警察。次はビザ。外国人居留制度の異常さ。
結婚制度の珍妙さ。最後に鬼畜の入管法。
どこから手をつけたらいいのだという、
すべてが間違った構図が日本にはあるのです。
わたしたちが知らないだけで。
こんなことは書きたくないけれど、これらすべての理不尽さは
アジア人に対して行われるのです。
アメリカ人やヨーロッパ人には決して行いません。
もし、行政職員が自分たちの行動に正義があると信じるのなら、
相手が誰であっても同じものさしで見るべきでしょう。
本当に偏見がないのか、この問題に関与する行政職員は
自分のこころに聞いて欲しいです。
そして、わたしたちも同じであることを、声を大にして言いたいです。
こういう時、いまのSNSでは誰かを一方的に攻撃して
悦に入っている輩が少ないながら一定数います。
自分がそうならないためにも、自分の行動が知らないうちに
いじめの構図になっていないか、点検する必要を感じました。
この本の書評を日本国政府首相に書いてもらいたいですね。
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ふとしたことで始めた書評書き。読んだ感覚が違うことを知るのは、とても大事だと思うようになりました。本が好き! の場と、参加している皆さんのおかげです。
星の数は自分のお気に入り度で、趣味や主観に基づいています。たとえ自分の趣味に合わなくても、作品の特徴を書評で分かるようにしようと務めています。星が低くても作品がつまらないという意味ではありません。
自己紹介ページの二番目のアドレスは「飲んでみた」の書評です。
三番目のアドレスは「お絵描き書評の部屋」で、皆さんの「描いてみた」が読めます。
四番目のアドレスは「作ってみた」の書評です。
よかったらのぞいてみて下さい。
この書評へのコメント
- ゆうちゃん2021-12-18 21:04
遅いコメントで申し訳ありません。
入管のこの事件、新聞では必ず記事を読むことしておりました。そもそも、この事件に限らず、日本の入管の第三世界の方への扱いはひど過ぎると思います。以前からもそういう記事を読んでおりましたが、起こるべくして起きた事件のような気がしますし、まだまだ公になっていない事件もある気がします。一体、係官にどういう教育をしているのかと思いました。今年の法改正であれだけ反発が起きたのも当然ですが、日本で起きた事件だと言う点もショックです。こんなことでは中国のウイグルの扱いへの批判などできないのではないかと思いました。クリックすると、GOOD!と言っているユーザーの一覧を表示します。 
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