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たけぞう
レビュアー:
やっぱり井上ひさしは最高。
先行書評に誘われて、久しぶりに井上ひさし作品を読みました。
最高でしたね。物語の推進力が強く、くすりと笑えるところが多くて、
弱きを助け強きをくじくスタンスに、知らず知らず気持ちが上がります。

さそりはグレーゾーンをさまよう営業チームで、
WCR(ワールド・キャッシュ・レジスター)社という
ビジネスシステム機器販売の日本支部所属です。
主人公の若林は営業チームさそりのリーダーです。メンバーは四人です。
同じように社内には四人のチームがいくつもあり、
歩合制の強いスタイルでいつも競わせ、煽りまくりという環境です。

若林は会社の環境を利用します。さそりは男二人、女二人です。
配役を決めて、あの手この手で高額のシステム機器を売りつけて、
おさらばするというアコギな商売です。
データセンター・システムやフロントマシンという会計システム、
情報検索機、自動給茶機など、いまなら普通にある商品です。
でも、四十年前の小説ですからね。
当時は出始めのいかがわしい商品だと思うのですが、
主人公たちはいろいろとはったりをかまして売りさばいていきます。

でも、四十年たっても人間の小悪党ぶりや器の小ささは変わらないところが
この小説の魅力だったりします。
セコさやはったり野郎など、いまの時代と何も変わりません。
むしろ、人の目を気にする昔の悪党のほうが、
妙に人情味があって面白いですね。

井上ひさし作品ですが、著者紹介でこれまで見たことがありませんでした。
ノーマークでした。初出を見て知ったのですが、二十代中盤という
初期の作品だからかもしれません。その分、楽しさが前面に出ていて、
いつものちょっと考えさせられる部分はあまりなく、
しょうがないなと単純に楽しめる作りでした。

それでも弱者に対する優しさと独特の正義感が垣間見え、
著者の作品らしさを感じられます。
復刻版の発行、ありがとうございます。とても楽しめました。
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たけぞう
たけぞう さん本が好き!免許皆伝(書評数:1466 件)

ふとしたことで始めた書評書き。読んだ感覚が違うことを知るのは、とても大事だと思うようになりました。本が好き! の場と、参加している皆さんのおかげです。
星の数は自分のお気に入り度で、趣味や主観に基づいています。たとえ自分の趣味に合わなくても、作品の特徴を書評で分かるようにしようと務めています。星が低くても作品がつまらないという意味ではありません。

自己紹介ページの二番目のアドレスは「飲んでみた」の書評です。
三番目のアドレスは「お絵描き書評の部屋」で、皆さんの「描いてみた」が読めます。
四番目のアドレスは「作ってみた」の書評です。
よかったらのぞいてみて下さい。

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