スーヌさん
レビュアー:
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西部!牧師!ゾンビ!魔物!以上!
泥まみれ埃まみれ、ついでに血まみれ蛆まみれ。
西部劇の世界を舞台に牧師がゾンビ退治をする話。
ほんとにこれだけです。
こういうジャンルをウイアード・ウエストと言うんだそうで、日本で言うなら伝奇時代劇と言ったところでしょうか。
牧師が聖書をマジックアイテムとして使って、ページを破って魔物に投げつけると魔物が嫌がって逃げる、なんていうのは日本のお札みたいで面白いです。
この牧師、ジュビダイア・メーサーが牧師でありながら酒は飲むわ銃はぶっ放すわ、だが心の奥底に悲しみを抱えていて、ただ己の宿命として魔物を狩り、ゾンビを倒すのです。ハードボイルドです。
彼は牧師でありながら神の加護を信じていませんし、神に祈ることもありません。ただ魔物を倒す道具として聖書を使うばかりです。彼にとって神は慈悲深いイエスではなく、むしろユダヤ教の神に近い概念のようです。この信仰感覚も新鮮です。
彼は当てどもなく旅を続けています。旅先でミサを開いて寄付を集めるのが生活の糧のようです。黒澤明の『用心棒』のごとく、旅先で困っている人々を助けることもあります。
少年や美女が彼に憧れてついてきます。まさにヒーローです。
ですがこんなに何でもありの設定で、しかもきちんとおもしろくて、かつ過度に馬鹿馬鹿しくならずに適度に真面目に読めるのはなぜなのか?
ずいぶん考えたのですが、結局著者が締めるところは締めて書いている、というのがミソではないかと。
マジックアイテムを持っていても適当に主人公を苦しませてから敵を倒させたり、そういう手綱捌きが読者を呆れさせずに読み続けさせているのではないかと思いました。
ところで著者はキング・オブ・パルプと呼ばれるくらいのホラー小説の旗手であり、その一方で『ボトムズ』ではエドガー賞を受けていたりと名うての実力派なのです。まさにプロフェッショナル、注文次第で何でも書けるのです。
そういう書き手が本気で書いてる娯楽小説なので、何の心配もなくページを繰っていくことができます。
文句なくおすすめ。これが本物のエンタテイメントです。
西部劇の世界を舞台に牧師がゾンビ退治をする話。
ほんとにこれだけです。
こういうジャンルをウイアード・ウエストと言うんだそうで、日本で言うなら伝奇時代劇と言ったところでしょうか。
牧師が聖書をマジックアイテムとして使って、ページを破って魔物に投げつけると魔物が嫌がって逃げる、なんていうのは日本のお札みたいで面白いです。
この牧師、ジュビダイア・メーサーが牧師でありながら酒は飲むわ銃はぶっ放すわ、だが心の奥底に悲しみを抱えていて、ただ己の宿命として魔物を狩り、ゾンビを倒すのです。ハードボイルドです。
彼は牧師でありながら神の加護を信じていませんし、神に祈ることもありません。ただ魔物を倒す道具として聖書を使うばかりです。彼にとって神は慈悲深いイエスではなく、むしろユダヤ教の神に近い概念のようです。この信仰感覚も新鮮です。
彼は当てどもなく旅を続けています。旅先でミサを開いて寄付を集めるのが生活の糧のようです。黒澤明の『用心棒』のごとく、旅先で困っている人々を助けることもあります。
少年や美女が彼に憧れてついてきます。まさにヒーローです。
ですがこんなに何でもありの設定で、しかもきちんとおもしろくて、かつ過度に馬鹿馬鹿しくならずに適度に真面目に読めるのはなぜなのか?
ずいぶん考えたのですが、結局著者が締めるところは締めて書いている、というのがミソではないかと。
マジックアイテムを持っていても適当に主人公を苦しませてから敵を倒させたり、そういう手綱捌きが読者を呆れさせずに読み続けさせているのではないかと思いました。
ところで著者はキング・オブ・パルプと呼ばれるくらいのホラー小説の旗手であり、その一方で『ボトムズ』ではエドガー賞を受けていたりと名うての実力派なのです。まさにプロフェッショナル、注文次第で何でも書けるのです。
そういう書き手が本気で書いてる娯楽小説なので、何の心配もなくページを繰っていくことができます。
文句なくおすすめ。これが本物のエンタテイメントです。
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50代男性 実は書店員だが業務で書評を書く機会はない。
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- 出版社:新紀元社
- ページ数:0
- ISBN:9784775318836
- 発売日:2021年06月01日
- 価格:2200円
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