たけぞうさん
レビュアー:
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御茶ノ水のニコライ堂で活躍した聖像画師。
明治から大正にかけてロシア正教会で活躍した山下りんの生涯です。
最近の朝井まかてさんは、埋もれていた女性にスポットを当てて
生涯を書くことが多いです。
山下りん。東京の御茶ノ水のニコライ堂の建設前からロシア正教に関わり、
サンクトペテルブルグに留学して日本人で初めてロシア正教の聖像画師を
務めた人です。
尖った人生を生き抜き、個性が際立っています。
ドラマ化や映画化に向いていますし、何よりも物語が抜群に面白いのです。
著者の作品をそこそこ読んでいますが、眩に匹敵する作品ではないかと思います。
それくらい重要で印象深い人物なのに、初めて名前を知りました。
実際のところつき合いにくそうで、人望もなさそうですが、
職人肌のりんの残した功績はなかなかのもので、
なぜ名前が埋もれていたのかと非常に刺激を受けました。
すごい日本人はまだまだいたんだと知ると、気持ちが上がります。
明治新政府のもと、りんのいた笠間藩にも御一新がおとずれます。
山下家は家禄五十石の下士で、兄は当主になったばかり。
嫁がないりん、母の実家に養子に行った弟など、
混乱の世をどうやって切り抜けていくか困っています。
りんは小さいころから絵師になるとこころに誓っていました。
江戸に行けばなんとかなると思いこみ、
ついには母と兄が折れて東京で絵師への弟子入りが認められます。
しかし、りんのやり方はめくらめっぽうです。
誰かの紹介で弟子入りしては、気に入らない、下手くそだと飛び出して
師匠を渡り歩きます。絵の絶対的な価値観があったのでしょう。
ある師匠との巡りあわせで徐々に未来が開け、
工部美術学校の試験で女子一期生に選ばれるなど、絵の腕は確かです。
そして美術学校での出会いが、りんの運命を形作っていくのです。
あちらでぶつかり、こちらでぶつかりというりんの激しい人生がありました。
人間性はほめられたものではありません。
そんな芸術家肌のりんは、徹頭徹尾自分の生きざまをまっとうした人で、
こういう生きかたをした人がいたんだというのは
読んでいて思うところがありました。
五百頁弱の大作です。
とても強い、意固地ともいえる生涯です。エネルギーがほとばしっています。
最近の朝井まかてさんは、埋もれていた女性にスポットを当てて
生涯を書くことが多いです。
山下りん。東京の御茶ノ水のニコライ堂の建設前からロシア正教に関わり、
サンクトペテルブルグに留学して日本人で初めてロシア正教の聖像画師を
務めた人です。
尖った人生を生き抜き、個性が際立っています。
ドラマ化や映画化に向いていますし、何よりも物語が抜群に面白いのです。
著者の作品をそこそこ読んでいますが、眩に匹敵する作品ではないかと思います。
それくらい重要で印象深い人物なのに、初めて名前を知りました。
実際のところつき合いにくそうで、人望もなさそうですが、
職人肌のりんの残した功績はなかなかのもので、
なぜ名前が埋もれていたのかと非常に刺激を受けました。
すごい日本人はまだまだいたんだと知ると、気持ちが上がります。
明治新政府のもと、りんのいた笠間藩にも御一新がおとずれます。
山下家は家禄五十石の下士で、兄は当主になったばかり。
嫁がないりん、母の実家に養子に行った弟など、
混乱の世をどうやって切り抜けていくか困っています。
りんは小さいころから絵師になるとこころに誓っていました。
江戸に行けばなんとかなると思いこみ、
ついには母と兄が折れて東京で絵師への弟子入りが認められます。
しかし、りんのやり方はめくらめっぽうです。
誰かの紹介で弟子入りしては、気に入らない、下手くそだと飛び出して
師匠を渡り歩きます。絵の絶対的な価値観があったのでしょう。
ある師匠との巡りあわせで徐々に未来が開け、
工部美術学校の試験で女子一期生に選ばれるなど、絵の腕は確かです。
そして美術学校での出会いが、りんの運命を形作っていくのです。
あちらでぶつかり、こちらでぶつかりというりんの激しい人生がありました。
人間性はほめられたものではありません。
そんな芸術家肌のりんは、徹頭徹尾自分の生きざまをまっとうした人で、
こういう生きかたをした人がいたんだというのは
読んでいて思うところがありました。
五百頁弱の大作です。
とても強い、意固地ともいえる生涯です。エネルギーがほとばしっています。
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ふとしたことで始めた書評書き。読んだ感覚が違うことを知るのは、とても大事だと思うようになりました。本が好き! の場と、参加している皆さんのおかげです。
星の数は自分のお気に入り度で、趣味や主観に基づいています。たとえ自分の趣味に合わなくても、作品の特徴を書評で分かるようにしようと務めています。星が低くても作品がつまらないという意味ではありません。
自己紹介ページの二番目のアドレスは「飲んでみた」の書評です。
三番目のアドレスは「お絵描き書評の部屋」で、皆さんの「描いてみた」が読めます。
四番目のアドレスは「作ってみた」の書評です。
よかったらのぞいてみて下さい。
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- 出版社:文藝春秋
- ページ数:0
- ISBN:9784163914022
- 発売日:2021年07月26日
- 価格:1980円
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