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ぷるーと
レビュアー:
二大超大国の力が拮抗していると考えられていた冷戦期のアメリカ、その国内では・・・。
上下巻合わせての書評です。

物語は、1951年10月3日。ニューヨークのポログラウンド球場で、ブルックリン・ドジャースとニューヨーク・ジャイアンツのプレーオフ第3戦を描いたプロローグから始まる。勝った方が優勝というこの試合をフランク・シナトラらと一緒に観戦していたFBI長官フーヴァーに、ソ連領土内のどこか秘密の場所で核実験が行われ実験に成功したという連絡が入る。

アメリカは、二大超大国のひとつとしての権威をひけらかし、平和に酔いしれていた。だが、もうひとつの超大国ソ連は秘かに核実験を繰り返している。フーヴァーはこの核弾頭がいくつもじりじり接近し、追いつき、自分が呑み込まれるような気がする。 と感じずにはいられない。

物語は、これ以降90年代にいたるまでの時代のエピソードが、時代も場所もバラバラに並べられていく。それらのエピソードで、50年代から90年代のアメリカ現代史を著名人や普通の市民たちの日常が浮き彫りにされていく。

その中の、主な登場人物の一人で廃棄物処理の会社に勤めているニックの言動を通して描かれるのが、核廃棄物処理問題、ダイオキシンの問題、有害廃棄物が第三世界に押し付けられている現実だ。他にも、ニックの知り合いのクララは廃棄処分となった戦闘機を着色しアートとして砂漠に並べたりと、この作品にはゴミに関わる記述が多い。この作品が書かれた時代、すでに無限に増え続けるゴミが社会問題となっていたということだ。

他にも、薬物、セックス、宗教、音楽がちりばめられていて、いかにもアメリカという感じだ。だが、ここに描かれているアメリカ人の感覚は、その時代に生きたアメリカ人でないとわからないものなのではないか、という気がする。
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ぷるーと
ぷるーと さん本が好き!1級(書評数:2929 件)

 ホラー以外は、何でも読みます。みなさんの書評を読むのも楽しみです。
 よろしくお願いします。
 

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