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ぷるーと
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語りなおしシェイクスピアシリーズ。『リア王』は、どのように変わって語られているか。
アメリカのメディア王ダンバーは、40年来の親友で顧問弁護士でもあるウィリアムの反対を押し切って、三人の娘たちに家業を継がせようとした。ところが、三女のフロレンスは夫や子どもたちとワイオミングの田舎で静かに暮らしたいと家業を継ぐ道を選ばなかったため、父親の不興を買い、相続人から外されてしまう。

二人の姉は父親が築き上げたメディア王国を我が物にしようと、欲にかられた医者を引き込み、父親をイギリスの施設に閉じ込め薬漬けにしてしまう。だが、ダンバーは、同じ施設にいたアルコール依存症の喜劇役者ピーター(『リア王』に登場する道化で、狂言回し)を使って、二人で施設を脱出する。

こうして、『リア王』の中でも有名な、リア王嵐の荒野の徘徊となる。父親に逃亡されたと知った姉二人が焦燥感に駆られて必死の探索を続ける中、姉たちに父親の居所を教えてもらえないフロレンスもなんとか父親の居場所に当たりをつけて自家用ジェットでイギリスに渡り、ヘリを使っての捜索を始める。

欲のかたまりのような姉たちは原作そのもので、次女が残忍な性格であるのも原作通りだという。次女の残忍さについてはあまり記憶なないが、フロレンスの行動力はいかにも現代的で、ただおとなしいという印象しかなかったコーディリアとはイメージが違うなあと思っていたら、解説に、「リア王に振り回される娘たちにもきちんと肉付けを行い、特に原作ではあまりにも寡黙で薄っぺらなコーディリアにしっかりした人間性を与え、欠点もある生身の人間として登場させたかった」という作者の言葉が紹介されていた。もちろん、いい感じに変わっていると思う。
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ぷるーと
ぷるーと さん本が好き!1級(書評数:2930 件)

 ホラー以外は、何でも読みます。みなさんの書評を読むのも楽しみです。
 よろしくお願いします。
 

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